わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【小田急なのに】唯一の新宿発着路線バス「宿44」全区間乗車

 

2022年12月11日(日)

今回は新宿駅へとやってきました。JR各線、小田急、京王、地下鉄各線といった様々な路線が乗り入れる、日本最大級の交通ターミナルです。これからバスでとある場所へと移動していきます。

鉄道のみならず、新宿駅に隣接する「バスタ新宿」からは全国各地へ向かう高速バスが発着しており、各地方のお国訛りも聞こえてきそうな”令和の上野駅”的存在です。しかし今回利用するのは、高速バスではなく路線バス。ということでバスタ新宿ではなく、新宿駅西口バスターミナルへとやってきました。

新宿駅をターミナルとする私鉄の一つに「小田急」があります。新宿を起点に小田原・箱根・湘南・多摩方面へと路線を展開しており、ロマンスカーであれ快速急行であれ、あらゆる小田急の列車が新宿駅へと集結していることは言うまでもありません。

では、そのグループ企業である「小田急バス」はどうでしょうか。実は小田急バスの定期路線のうち、新宿駅へ乗り入れている系統は1つしかありません

それが「宿44」と呼ばれる路線バスです。新宿駅武蔵境駅の間を1時間15分かけて結んでおり、その距離何と18.6km。京王井の頭線全線を乗り通すよりも長く、小田急小田原線では新宿~生田駅間の距離に匹敵します。

単に新宿から武蔵境まで移動したいのであれば、99%以上の人は中央線を使うことでしょう。中央線であれば所要時間わずか20分で移動できる距離です。

いったいどんな路線バスなのか…気になったので、全区間乗り通してみることにしました。

新宿駅西口では、35番乗り場から発車します。B17出口の目の前にあり、小田急ハルクへ連絡するペデストリアンデッキの真下なので昼間でも薄暗い雰囲気です。

バス乗り場には早い時間から長蛇の列が出来ており、「想像以上の混雑だ…」と思っていましたが、ドアが開いてもほとんど乗り込む様子はなし。どうやら後続の「三井アウトレットパーク木更津」行のリムジンバスを待っていたようでした。日曜日なのでそれなら納得。

「宿44」は平日・土休日とも1日2往復ずつの運行で、土休日は新宿駅西口を11時55分15時45分に発車します(平日は11時45分発と16時05分発)。今回は新宿駅西口11時55分発の便へと乗車することにします。

ちなみにバス停の行先にはほかにも「よみうりランド」「若林営業所」の文字がありますが、これらはいずれも毎年6月のみの季節運行。新宿~よみうりランド間を運行するバスは「宿44」を越える長距離路線バスとしても有名ですので、またの機会に乗車してみたいところです。

11時55分、バスは定刻通りに新宿駅西口を発車。乗客は全部で4名程度で、特段混雑している雰囲気はありません。

運賃は均一220円で、前払い制になります。前乗り・後降りで、長距離路線バスにしては少し珍しい気がします。

小田急百貨店京王百貨店をかすめながら、ロータリーを抜けます。西新宿1丁目の交差点を右折し、甲州街道国道20号へと入ります。

車窓の両側には、新宿のビル群がしばらく続きます。各企業のオフィス、飲食店、コンビニ等々…何度か歩いたことはあるものの、路線バスの車内から見ることはあまりないので新鮮です。

甲州街道の真下には、京王新線が走っています。「小田急バス京王新線がほぼ同じ場所を走る」というのは何とも面白い光景ですが、そんなことも言っていられないくらい甲州街道の交通量の多さには驚かされます。

また、真上には首都高速が通っています。様々な道路や交通機関が複雑に絡み合う、大都市の光景を堪能しながら進んでいきます。

また、途中のバス停名が「東京オペラシティ」「新国立劇場」等のようにめちゃくちゃ東京らしいのも魅力の一つ。

各バス停でバスを待つ人は少なくないものの、このバスへの乗車はほとんどありません。すぐ後に阿佐ヶ谷駅前行の京王バスが続いており、これを待っているものと思われます。

笹塚駅へとやってきました。京王新線京王線はここで合流します。

上の画像だと少し分かりにくいのですが、バス停の看板のデザインは京王バスで、下に小さく都営バスと小田急バスが併記されています。甲州街道沿いを走る路線バスにおいてメインを張るのはあくまでも京王バスですので、1日2往復しかない小田急バスは場所を借りているような状態です。

明大前駅を目前にし、松原交差点で右折。ここで甲州街道からは離れ、井の頭通り(渡道413号)を進んでいきます。

国道から1本脇道へ逸れると、路線バスの本数は激減。この区間を走るのはどうやら「宿44」のみだそうで、バス停の看板も「小田急バス」のみのものに変わりました。

新宿駅周辺のビル群とはうってかわって、高い建物も少ない郊外の住宅街といった雰囲気。前方にはなぜか福島交通のバス(回送)が走っています。

永福町に到着。バス路線としては宿44のみですが、京王井の頭線が並走しており、永福町駅などはまさに井の頭通りのすぐそばにあります。

西永福の交差点を直進し、吉祥寺方面を目指します。ちなみにここを右折して少し進むと、東京メトロ丸ノ内線方南町駅があります。

驚くべきことに、井の頭通りに入ってからはかなり乗客も増え、最終的には座席の8割ほどが埋まる状況になっていました。さすがに立ち客が出るほどではありませんでしたが、日曜日の日中で多くの人が活動する時間帯とはいえ1日2本しかない路線バスにもしっかりとした利用者がいるというのは意外です。週に1本程度しか運行されないような免許維持路線とは異なり、毎日運行されるのも納得がいきます。

まもなくすると吉祥寺の街が見えてきました。新宿駅西口を出てからここまで特にすれ違う小田急バス等もありませんでしたが、吉祥寺駅より向こう側では多数の小田急バスの路線が設定されています。小田急バスにとっては、やっとホームに帰ってきたような雰囲気です。

ようやくバスは吉祥寺駅へと到着。ここでは予想通り、かなりの数の方が降りていかれました。乗車も多少はありましたが、車内の混雑は幾分マシになったと感じます。

吉祥寺駅前の交差点を左折し、井の頭公園方面へと向かっていきます。人通りも多く、新宿駅周辺以来の都会ぶりを感じます。

バスは井の頭公園三鷹の森ジブリ博物館を横目に、自然豊かなエリアを進んでいきます。吉祥寺通り(都道114号)を進み、狐久保の交差点で右折をして連雀通り(都道134号)へと入ります。

禅林寺八幡大神社といった昔ながらの寺社仏閣も多いこの地域。工事をしていたこともあり、路線バスが通るにしてはやや狭隘な道ですが、渋滞しながらも難なく抜けていきます。

武蔵境駅を目前にして最後のバス停となるのが、武蔵野赤十字病院。駅からもほど近い場所にありますが、いったん病院のロータリーへと入り込みます。日曜日ということもあってか今回は一切乗降がありませんでした。

武蔵野赤十字病院を出ると、次がいよいよ終点の武蔵境駅南口となります。交通量の多い区間を走ることもあり、実は武蔵野赤十字病院を出る時点で定刻(12時54分)よりも約11分ほど遅れて走行していました。しかしそこから数分で到着するはずの武蔵境駅南口の到着予定時刻は13時10分となっています。

病院から駅まで16分もかかるような距離ではないはず…ですが、実はこうした遅延が発生したとしても終点への到着時刻とその先の乗り継ぎに響かないよう、余裕をもった運行となっているのです。そのため、むしろ渋滞やトラブル等なくするすると運行される場合には、定刻よりも早着する…なんてこともあり得るかもしれません。

そんなわけで、終点の武蔵境駅南口には定刻通り13時10分頃に到着。1時間15分かけて新宿駅西口からここまでやってくることができました…!!

途中何ヵ所か駅を通りながらも、新宿から武蔵境までの全区間を乗り通すというのはどうやら私一人だけのようでした。また吉祥寺まではほとんどの区間京王線京王新線京王井の頭線と並走しているため、長距離での利用はそもそもあまり想定されていないように感じます。

しかし実は、同区間を走る中央線と比べると88円も安いことが判明しました。

もし新宿から武蔵境まで少しでも安く移動したいけど時間だけは有り余っているという方、いらっしゃいましたら是非利用してみてください。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。