わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【お手軽小旅行】1泊2日で効率良く回る! 飯田線秘境駅巡りの旅

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みなさんこんにちは! わたかわです。

最近ブログの更新頻度が格段に落ちてしまって本当にすみません、、、

それでもこうして読んでくださる皆様には感謝してもしきれません。

もしかするとまだしばらくはこんな具合での低頻度更新が続いてしまうかもしれませんが、状況が整い次第またすぐにまた元の頻度に戻していきたいと思っております!

 

12月に入り、かなり寒さも厳しくなってきましたね。

私はここ数年、足先の冷えが凄まじいことになっているので、自室では1年前に導入した電気ヒーターを今シーズンも日々愛用しております。

今回は、季節に合わせた記事ということで「秋の飯田線秘境駅巡りの旅」の模様をお届けしていきます!

 

2021年10月30日(土)1日目

さて、今回は愛知県の豊橋駅へとやってきました。最長片道切符の時以来、約2ヵ月ぶりの来訪です(最長片道切符の記事もまた順次出していきます…!)。

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ここ豊橋駅からのびる長大なローカル線、それがJR東海飯田線です。

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東海道本線豊橋駅から中央本線辰野駅までを結ぶ飯田線。その営業キロ200km近くにも及び、途中には何と92もの駅が設置されています。あまりにも長いため、路線図の限られたスペースの中に収まるようにくねくねと折り畳まれて記されています。

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そんな飯田線は、ただ長いだけでなく、途中にいくつもの「秘境駅」があることでも知られています。飯田線は大部分の区間がローカル線ということで列車の本数が少ないため、秘境駅巡りをしようにも「いったん途中下車したら次は数時間後」などではなかなかうまく巡ることができません。そこで毎年、主に春と秋を中心に急行「飯田線秘境駅号」という臨時列車が運行されており、沿線の秘境駅に少しずつ停車しながらうまく巡れるようにダイヤが組まれています。

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しかし! 実は秘境駅号に乗らずとも飯田線秘境駅を(比較的)効率よく回れる方法があるのです。というわけで、今回はその秘境駅号は利用することなく、まず豊橋駅を10:08に発車する特急〔伊那路1号〕飯田行に乗車していきます。

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特急伊那路号には、特急車両373系3両編成で運用に入ります。特急伊那路号の他にも身延線の特急「ふじかわ号」や東海道本線静岡地区のホームライナーで使用されている車両です。近頃あまり見かけなくなった「ヘッドマーク」が今も健在です。

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特急伊那路号は、豊橋飯田駅間で1日2往復運行されています。長大な飯田線のうちざっくり南側半分程度で、飯田より北側では定期優等列車の運行はありません。

発車時刻が迫っていたので、とりあえず乗り込みます。列車は定刻通りに豊橋駅を発車。

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豊橋駅を出てしばらくは、名鉄とJRが線路を共有しているため、隣には名鉄名古屋本線の車両が見えます。今見えている車両が何系なのかとかは知識がないので全く分かりませんでした。

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特急車両なので車内は2+2列のリクライニングシートが並びます。週末ということで自由席はかなり盛況で、私も何とかギリギリ座席を確保できたような状況でした。373系にはグリーン車こそないものの、普通車指定席扱いで発売される4人用のコンパートメント席というのもありますので、グループでの旅行にはそちらもオススメです。

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途中の豊川駅新城駅あたりまでは何とか市街地区間が続いているのですが、その先は車窓が大きく様変わりします。辺りには畑や山や川が広がるようになり、徐々に秘境へと近づいていることを実感するものです。

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ここで、ずばり今回の秘境駅巡りの手順をご説明します。

今回は上図のように、上下列車をうまく交互に使い、進んだり戻ったりを繰り返しながら7つの秘境駅小和田、中井侍伊那小沢為栗、田本、金野、千代)を巡っていきます。もちろん飯田線には他にも秘境駅と呼ばれるものはたくさんあるのですが、ここにご紹介した7駅は特に人気の高く、それらが全てこの中部天竜天竜峡駅間に集中しているため、今回はこの区間を2日間かけてひたすら行ったり来たりします。

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1日目は「青空フリーパス」を使用していきます。これは名古屋近郊を中心としたJR東海伊勢鉄道線の普通列車が1日乗り放題になる企画乗車券で、飯田線豊橋飯田駅間がフリーエリアに含まれています。価格は2,620円ということでちょうど首都圏で言うところの「休日おでかけパス」のような位置づけですが、今回の旅程では飯田線内を何度も行ったり来たりして短区間での乗車を繰り返すだけで元が取れてしまうのです。

特急券豊橋天竜峡で自由席を利用。東海道新幹線を利用して豊橋まで来たので乗継割引が利用でき、料金は半額の930円です。

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豊橋駅を出て約2時間、12:24に天竜峡駅へと到着です。最長片道切符の時はここで2時間近い待ちぼうけを喰らったのを思い出します。まさかこんな短いスパンで再び来訪することになるとは思いませんでした。

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実はこの時点で、既に今回巡る7つの秘境駅を全て通ってきています。しかし”秘境駅”という名の通り主要駅ではないわけですから、いずれも特急が停車することはありません。これから2日間かけてじっくり下車しながら見ていこうというわけです。

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それでは、天竜峡12:50発の普通列車 豊橋へと乗り込み、少し来た道を戻る形で移動していきます。天竜峡駅から乗車するお客さんもそこそこいるみたいです。

 

田本駅

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まず訪れたのは、天竜峡駅から20分ほどのところにある「田本駅」。1面1線の棒線駅です。

ここは画像からも分かる通り、ホームが断崖絶壁にある駅としてとても有名です。

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上から見てみるとご覧の通り。いかに厳しい地形の中に駅が造られているかが良く分かります。ちなみにホームと反対側の線路の下はすぐ天竜川が流れており、こちらに線路を敷いたりホームを設置したりすることができないのは言うまでもありません。

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田本駅の近くには民家や車の通れる道はなく、駅へと続く山道には柵がないため一歩踏み間違えると奈落の底へと落とされます。延々歩いていけば集落があるようですが、今回私は時間と体力の都合で厳しかったので途中で引き返しました。

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駅の近くには「竜田橋」という橋も架けられており、真ん中あたりまで歩いていくと美しい天竜川の眺めを一望できます。橋を渡って駅の対岸へ行くと、そちらにも小さな集落があるようです。

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田本駅およびその周辺には約45分ほど滞在し、今度は岡谷方面へと向かう列車に乗り込みます。前面の行先表示器には「岡谷行」と表示されていますが、この列車は田本13:54発の普通列車 伊那新町で、この時はまだ飯田線の辰野~伊那新町駅間が不通のためバスによる代行輸送となっていました。

 

千代駅

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16分ほど乗車し、14:10に千代駅へと到着。こちらが2つ目にご紹介する秘境駅です。

実は特急の停車する天竜峡駅からわずか1駅の位置にあります。

こちらも駅の構造自体は1面1線、しかしその隣には何やら引き込み線のようなものがあります。

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千代駅の駅前までは一応車が通れそうな道が延びており、ここをひたすら歩いていくと集落に辿り着くことができるようです。なかなか急な登り坂ではありますが、田本駅前の道なき道と比べればだいぶ楽です。

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パッと見たところやはり駅周辺に民家等はなさそうに見えますが、実は駅のすぐ裏手のところに数軒程度民家があるようです。駅自体が便利かどうかはさておき、究極の駅近物件だと思います。

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実はこの千代駅最長片道切符の旅でも来訪した「そらさんぽ天龍峡」まで約1kmほどしか離れておらず、歩いてすぐたどり着くことができます。三遠南信自動車道天龍峡PAに隣接して最近オープンした遊歩道で、人里離れた千代駅周辺とは異なりこちらはたくさんの観光客で賑わいを見せていました。

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千代駅およびその周辺では1時間ほど滞在し、千代15:15発の普通列車 豊橋に乗り込み飯田線を再び南下していきます。

 

中井侍駅

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3つ目に訪問した秘境駅は、中井侍駅千代駅からは40分ほど南下した位置にあります。

何とも勇ましい駅名ですが、こちらもやはり利用客の姿はありません。

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駅の出入口部分は錆びたガードレールで道幅の3分の2ほどを塞がれていますが、車はその手前部分まで乗り入れることが可能なようです。しかも見てみると、一部分だけ道幅が広くなっているスペースがあり、道はここで行き止まりなので転回できるようになっているのでしょう。

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また、車での乗り入れが可能な出入口とは別に私有地なのか公道なのかよくわからない階段もありました。時間が厳しかったこともあり上まで上っていくことはできませんでしたが、この先がどうなっているのかがとても気になります。

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夕方に差し掛かり列車の本数も増えてきたところで、中井侍16:17発の普通列車 天竜峡に乗り込みます。中井侍駅の滞在はやや短めの25分程度となりました。

今回の飯田線秘境駅巡りの旅では初めてとなる213系の運用に当たりました。転換クロスシートを基本とした2ドアの車両で、ずらーっと並ぶ座席はまるでかつての急行列車のようです。

 

伊那小沢駅

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1日目最後の訪問となる秘境駅は、中井侍の一つ隣にある伊那小沢駅です。中井侍駅からわずか3分で到着します。

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ここは何と2面2線で対向式ホームの構造を持ち、単線の飯田線において列車の行き違いができる貴重な駅となっています。ここまでに見てきた他の駅と比べるとかなり設備は充実しているように見え、「田舎の駅」ではあるものの「秘境駅」と呼べるかどうかは若干微妙な気もします。

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しかし駅から少し歩き、駅を遠目で見てみると「秘境駅」と呼ばれるのも分かる気がします。川岸ギリギリ、無数の木々に囲まれた山のへりにポツンとホームが設置されていて、ちょうど豊橋行の特急伊那路号が通過している辺りが伊那小沢駅のホームです。

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駅周辺には若干の民家もあるようですが、人通りも車通りもなく閑散としている点は他の秘境駅と同様です。駅前から徒歩数分のところには、天竜川に架かる大きな橋(水神橋)もあります。

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また、飯田線の線路から何やら線路が分岐しているように見えたので少し歩いていってみると、何やらホームのようなものと事業用車両(?)的なのが留置されていました。この方面には明るくないのでよくわかりませんが、構造的におそらく線路と道路の両方を走れる土木車両か何かのように見えます。傍にあるホームも、何だかかつては旅客営業をしていたように見えなくもないですが…しかしこの先はすぐ行き止まりになっているので、真意の程は定かではありません。

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辺りがだんだんと暗くなってきたので駅まで戻ってきました。駅前には公衆電話がポツンと1台だけ置かれており、下の電話帳ボックスを開けてみると2015年頃の電話帳が入っていました。電話帳がそこまで古くない、ということはもしかするとこの公衆電話に一定の需要があるのか…? 近くに民家があるとはいえ、この公衆電話の使い道は想像もつきません。

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1時間ほど滞在し、辺りもすっかり真っ暗になったところで、最後は伊那小沢17:25発の普通列車 伊那新町に乗り込み本日の宿がある平岡駅を目指します。

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帰宅時間帯にあたるためか、日中よりこの時間帯の方が少し列車本数が多いですが、車内は実際にはガラガラでした。新型車両315系の営業運転が間近に迫り、東海地区では古株と言えるこの213系の余命もそう長くはないものと思われますが、鉄道ファンで埋め尽くされることなくガラガラの車内を楽しめるのは今がチャンスかもしれません。

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17:32に平岡駅へと到着。まだ秘境駅7駅中4駅しか巡れていませんが、日もとっぷり暮れてしまったので1日目の移動はここまでです。

平岡駅は島式1面2線のホームを構える駅で、長野県天龍村の中心駅のようです。特急伊那路号も停車します。

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平岡駅で宿泊」と聞いてピンときた方もいらっしゃるかもしれません。そう、今夜は「ふれあいステーション龍泉閣」さんで1泊します。

この旅館は平岡駅の駅舎と一体的になっており、改札口を出てすぐ右へ進むと目の前が旅館のフロントになっています。

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今回は大学の友人と2人旅なので、洋室ツインルームを予約してもらいました。予約にあたってくれた友人によれば、和室が満室だったようです。部屋総数が10室ほどしかない宿なので、週末は早めの予約がオススメです!

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旅館内にも食事会場はありますが、今回は素泊まりプランなので同じ建物内にあるレストランで「信州サーモン丼」をいただきました。海のない長野県でなぜサーモンが…?と疑問でしたが、恐らく海ではなく川で獲れたサーモンなのかもしれません。知らんけど。

香味野菜のシャキシャキ感が脂ののったサーモンと絶妙にマッチして、とても美味しかったです! お味噌汁付きで900円ほどだったと思いますので、お値段も比較的お手頃でした。

食後は温泉にじっくり浸かり、旅の疲れを癒します。ここは宿泊客だけでなく日帰り入浴もやっているようで、また立ち寄る機会があれば日中にも訪れてみたいものです。部屋数の少なさの割には広々としていて、他のお客さんと鉢合わせることもほとんどなかったのでとても快適に過ごせました。

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部屋に戻ると、ホームには明かりを消した213系が停車していました。明朝の始発列車にでも使われるのでしょうか。部屋の窓から平岡駅のホームを一望できるのもこの旅館の大きな魅力の一つです。

 

2021年10月31日(日)2日目

ふかふかのベッドでぐっすり眠り、迎えた2日目。今回巡る予定の秘境駅残り3つを巡っていきます。

f:id:watakawa:20211201224607j:plain明るくなったので改めて平岡駅の外観を見てみましたが、完全に「龍泉閣」と一体化しています。というかむしろ龍泉閣の中に駅設備があると言った方が正しい表現かもしれません。

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平岡駅の裏手は高台になっており、中心街を見渡すことができます。飯田線の途中駅の中では比較的建物が多い集落ですが、とはいえ村内にはコンビニすらなく、素人考えですが暮らすには不便も多そうな気がします。

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2日目は各区間でそれぞれ正規運賃を支払い移動していきます。まずは平岡9:54発の普通列車 中部天竜で南下していきます。

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途中の伊那小沢駅では「臨時」と表示された313系と行き違いを行いました。どこからどこまでを走る臨時列車なのかよく分かりませんが、お客さんはそこそこ乗車しているように見えました。

 

小和田駅

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平岡駅から約20分、10:11に小和田駅へと到着です。ここでいったん下車をします。

飯田線の数ある秘境駅の中でもトップクラスの知名度を誇るのが、この小和田駅です。その所在地は愛知県でも長野県でもなく、静岡県浜松市となっています。この駅のホームでうなぎパイが販売されていても何もおかしくないわけです(んなわけない)。

ホームは現在では1面1線ですが、2008年までは2面2線構造だったようです。意外に最近まで交換設備が残っていたんですね。

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小和田駅の最大の特徴は、この超絶古い木造駅舎です。駅の開業自体は1936年とのことですが、まさかその頃からずっとこの場所にあるのでしょうか…? さすがにそれはないか…?

もちろん無人駅ですが、駅舎内にはかつて切符を売っていたであろう窓口の跡のようなものも見受けられ、タイムスリップしたかのように思えてきます。

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小和田駅田本駅と同様に駅前まで車で乗り入れることはできず、駅へと続く道はこの細い坂道1本のみ。意外にも舗装されていて田本駅よりは整っている気がします。

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駅からずっと川岸の方まで降りていくと、木々の間に放置されたミゼットの廃車体を確認することができます。いつ頃まで走っていたものなのか、いつ頃誰がここに放置したのかは知る由もありません…。

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また、駅前すぐの場所には廃屋も数軒建ち並んでいます。今にも崩れそうな見た目をしており、当然今はもう何にも使われていないわけですが、中をちらっと覗いてみると何やら工場か作業場のような造りをしていた様子があり、また別の建物には台所に食器類や流しの跡もしっかりと残っていたことから、かつてはここに住む人がいて、同時にここで何かが製造(?)されていたようです。

今回の訪問時はまだ明るかったので良かったですが、夜は明かり一つない真っ暗な場所でしょうから、この小和田駅周辺を歩くのにはかなり勇気がいります。

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そこからさらに歩いていくと、天竜川を見渡せる場所がありました。少し雨も降っていてパッとしない空模様ではありますが、これもまた幻想的です。よもやここが静岡県下最大の都市とは思うまい。

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小和田駅には約1時間少々滞在し、11:17発の普通列車 天竜峡へと乗り込み逆方向へ移動していきます。ここに関しては1時間程度の滞在ではもったいなく感じるほどあっという間でした!

 

金野駅

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6駅目にやってきたのは金野駅。12:01に到着です。

すぐ一つ隣には前日に訪問した千代駅があります。

「金」野ということで金運が上がる(?)駅らしく、同じ列車に乗り合わせていたハイキングのおばさま方がわずかな停車時間の中でドアを開けて駅名標にスリスリしに行く様子も見られました。降車客と間違えられてドア閉められてしまってはとんでもないことになりますからあまりオススメはできませんが…。

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こちらが金野駅の駅前広場です。んー駅前というかただの空き地にしか見えませんが(笑)、ここは駅の目の前まで車での乗り入れが可能になっています。広く空いたこの駅前一等地のスペース、昔は何か他の用途でにも使われていたのでしょうか。

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駅から続く一本道をひたすら上っていきます。一応ずっと歩いていけば大きな道路に出るみたいなのですが、何と数km単位で離れており、かなり遠いようです。この道もほぼ金野駅にアクセスするためだけの道という感じがします。

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付近では木々が色づき始めていました。まだ紅葉と呼ぶには早かったかもしれませんが、秋らしい景色で遠くまで来たことを実感します。

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1時間弱の滞在時間の後、再び逆方向の飯田線に乗り込みます。金野12:55発の普通列車 豊橋313系での運行でした。

 

為栗駅

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今回の秘境駅巡りのトリを飾るのは、為栗駅です。金野駅からは20分ほどの距離にあります。

難読駅名の一つとしても知られるこの駅は、特急停車駅である平岡駅温田駅に挟まれた秘境駅となっています。

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何といってもここでの見どころは、駅の目の前に広がる雄大天竜川の眺めです(逆光でほんとすみません)。この辺りはかなり川幅が広く穏やかで、まるで湖のような眺めを楽しめます。

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駅まで続く一本道は一応県道になっているのですが、その途中には歩いて渡るのにも勇気がいるほどの吊り橋がこのように架けられているため、駅の目の前まで車で乗り付けることは厳しそうです。

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ちょうど三角屋根のある白い小さな小屋が為栗駅の駅舎となっています。遠くから見ると本当に自然の中に溶け込んでいるように見えますね…。こんな駅、都会にはまずありません。

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そんなわけで、今回の目的であった秘境駅7つを2日間で全て巡り終えることができましたので、為栗13:45発の普通列車 伊那新町に乗り込みいよいよ秘境からの脱出を図ります!

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疲れもあり爆睡していましたが、14:43に飯田駅へと到着。長野県南部最大の都市で、長い飯田線で見るとだいたい真ん中より少し上くらいの場所にあります。

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ということで秘境駅巡りはここまで。

飯田線秘境駅号」に乗るのも楽しいですが、運行日が限られプラチナチケットでもありますので、是非曜日や季節に左右されずに秘境駅巡りを楽しんでみたいという方の参考になれば幸いです!

最後に、今回の行程を掲載しておきます。なお、列車の運行時刻は乗車当時のものですので、行かれる際は必ず最新の情報をご確認ください。

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※特急伊那路1号以外は全て普通列車

【10月30日(土)】
豊橋10:08発→天竜峡12:24着(特急伊那路1号・飯田行)
天竜峡12:50発→田本13:09着(豊橋行)
田本13:54発→千代14:10着(伊那新町行)
千代15:15発→中井侍15:55着(豊橋行)
中井侍16:17発→伊那小沢16:20着(天竜峡行)
伊那小沢17:25発→平岡17:32着(伊那新町行)

【10月31日(日)】
平岡9:54発→小和田10:11着(中部天竜行)
小和田11:17発→金野12:01着(天竜峡行)
金野12:55発→為栗13:17着(豊橋行)
為栗13:45発→飯田14:43着(伊那新町行)

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(37)JR四国「最古参」と「最新鋭」の特急車両を乗り継ぐ!【最長片道切符の旅2021】[徳島→高知]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅21日目の後半の様子をお届けしていきます。

 

2021年8月26日(木)21日目②

四国を含めて実施している今回の「最長片道切符の旅2021」。この日は早朝から動き始めてスタート地点の阿波海南からまずは牟岐線で徳島へとやってきました。

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徳島駅は一見すると大変立派な造りをしており、駅舎には商業施設やJR系列のホテルまで入っています。駅前のバスロータリーもかなり広大で、常に多数の路線バスや高速バス等が発着しています。

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しかし改札口はこの一ヵ所のみ。当然のように自動改札機など設置されているはずもなく、ラッチの数自体も県庁所在地の駅にしてはかなり少ないように見えます。列車が到着した際など一時的に改札口が混みあうことはあるかもしれませんが、それ以外は基本的に改札口を出入りする人の姿もあまりなく、これで事足りてしまうというのも納得です。

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阿波海南→佐古を6の字で結ぶ「四国最長片道切符」では四国を時計回りに一周する場合と反時計周りに一周する場合のどちらでも可能ですが、今回私は時計回りに一周するため、徳島駅からは徳島線に乗車し阿波池田方面へと向かいます。乗車するのは徳島12:00発の特急〔剣山5号〕阿波池田です。

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ホームへ入ると、既に列車は入線していました。こちらが特急剣山号に使用される「キハ185」です。185という数字を見ると首都圏民の私は踊り子号を連想してしまいますが、四国の場合は「キハ」がつくことからも分かる通り気動車です。

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今から30年以上前に製造された国鉄末期の車両ということで、行先表示器は昔ながらの国鉄フォントの方向幕。出入口の号車札の下には「禁煙車」の文字もあり、時代を感じさせます。

この列車は3両編成ですが、そのうち真ん中2号車のみ「アンパンマンカー」となっており、内装・外装ともにド派手なデザインになっております。JR四国ではアンパンマンとタイアップした特急車両や観光列車を四国内各地で運行しており、これもその一つというわけです。

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さっそく車内へと入ります。キハ185系にはグリーン車がなく、前から順に3号車が全席自由席、2号車が全席指定席、1号車が一部指定席となっております。くすんだ色のモケットなどを見ると車両の古さを感じます。

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列車は定刻通りに徳島駅を発車。前面展望が楽しめる席を確保できました。

まずは一つ隣の佐古駅を通過していきます。この佐古駅を出ると徳島線高徳線から分岐していくことになり、四国全体をぐるっと一周してきた後にもう一度ここへやって来れば四国最長片道切符のゴールとなります。

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高徳線と分岐。この列車は左へと進みます。なお徳島駅からここまで複線のようにも見える区間が続いていましたが、それぞれ単線の線路として分岐していくことからも分かる通り、ここはあくまでも「単線並列」の区間となっています。

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車内でも徳島のご当地グルメをいくつかあじわっていきます。鳴門金時ポテト(2個入298円/「日本の食」81品目)と、ザ・すだち(108円/「日本の食」82品目)で優雅なアフタヌーンティー(?)の時間を過ごします。

鳴門金時ポテトはとっても甘く、ラーメンを食べた後でもあっという間にペロリでした! ザ・すだちというのはその名の通り徳島県の名産であるすだちを使ったジュースで、すだちの独特の風味とさわやかな酸味を存分に味わえます。

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徳島線内は基本的に単線ですが、途中一部の駅には交換設備があり列車の行き違いができるようになっています。徳島~阿波池田駅間はわずか74.0kmしかありませんが、途中蔵本、鴨島阿波川島阿波山川、穴吹、貞光、阿波加茂の計7駅に停車していきます。いずれも線内で比較的利用者の多い駅なのだろうとは思いますが、そもそも徳島線自体が特急の走るような幹線というよりは地域密着のローカル路線という印象なので、特急停車駅とは言うもののどの駅もこぢんまりとしています。「とにかく多くの駅を飛ばして徳島~阿波池田駅間の所要時間を短くすることに意味がある」のではなく「途中の短区間利用者に便利な運行をする」ということなのでしょう。

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しばらくすると、車窓右手に吉野川が見えてきます。徳島線は大部分を吉野川に沿って走り「よしの川ブルーライン」という愛称までついています。雲は出ていますが川の眺めはとても美しかったです。

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そして列車は佃駅を通過。ここで多度津方面からやってきた土讃線と合流します。分岐駅なので主要駅かと思いきや、ここも佐古駅と同じく通過のようです。

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13:17に終点の阿波池田駅へと到着。わずか1時間少々でしたが、国鉄時代の趣を色濃く残す素晴らしい特急の旅となりました。

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阿波池田からは土讃線に乗り換え、さらに先へと進んでいきます。乗車するのは阿波池田13:32発の特急〔南風9号〕高知行です。約15分の待ち時間と接続も比較的良好で、先ほどの特急剣山5号とは対面ホーム乗り換えなので焦ることはありません。

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待っていると、列車がやってきました。先ほどのキハ185系とは大きく異なり、こちらは最新型の2700系です。さっそく乗り込み、定刻通りに阿波池田駅を発車しました。

阿波池田を出ると、途中大歩危土佐山田、後免に停車して終点の高知へと至ります。

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南風9号は3両編成。この点は先ほどの剣山5号と同じですが、客室内はまるで新幹線かと思ってしまうほどの洗練されたデザインでキハ185系とは大違いです。それもそのはず、この特急南風号は岡山~高知を結ぶ四国縦断ルートの主要路線であり、特急の運行頻度も徳島線とは比べ物にならないほど多いです。先頭車両は一部グリーン車となっているほか、約1.5両分が自由席となっています。

夏休み期間中とはいえ、平日の日中にも関わらず自由席の車内は相当な混雑です。というか土讃線の特急は日時を問わず常に混雑している印象があるのですが、逆にガラガラな時などあるのでしょうか…?

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2021年現在、徳島~高知駅間を直通で結ぶ特急列車の運行はありません。しかし、阿波池田駅で改札を出ずに乗り継ぐ場合であればこの区間は特急料金を通算できることになっています。

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なお、これはあくまでも徳島線経由の場合でのみ通算され、高松経由の場合には通算されません。まぁ高松経由の方がそもそも遠回りですので、もし両駅間を移動する際は多くの人が徳島線経由を選択すると思いますが、特急の本数で見ると剣山よりもうずしおの方が圧倒的に多いため、利用する際は注意しておく必要がありそうです。

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列車は徳島線に引き続きこちらでも吉野川に沿って進みます。ただ徳島線沿線の比較的開けた地形とは裏腹に、土讃線へ入るとかなり険しい渓谷となり、厳しい地形に合わせ線路も右へ左へくねくねと曲がりくねっています。

この美しい渓谷風景は「大歩危小歩危」と呼ばれ、少しの時間ですが列車の車内からもその眺めを楽しむことができます。

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土佐山田付近まで来ると、一気に車窓が開けてきました。ドア上部のディスプレイも、まるで最新式の新幹線のようです。

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14:42に終点の高知駅へと到着。開放的なドーム型の高架ホームがとても印象的で、少し小さめの旭川駅といった感じです。

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まだ明るい時間帯ですが、最長片道切符の旅21日目の移動はここまでとします。高知には一度だけ来たことがあるのですが、まともな滞在はまだ一度もできていないので、今回は一晩滞在してしっかり休息を取りたいと思います。

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高知駅構内のお土産物屋さんで、まずはこちらを購入。「ごっくん馬路村」(135円/「日本の食」83品目)です。高知県馬路村公認のゆずはちみつドリンクで、蓋を開けた瞬間からゆずの香りがいっぱい溢れてきます! 小さめの飲みきりサイズなので、名前の通りごっくんといただいてしまいましょう。

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まだホテルにチェックインするには少し早い時間なので、高知を代表する観光名所の一つ「桂浜」へと行ってきました。高知駅~桂浜間は観光周遊バス「MY遊バス」が約50分で結んでおり、ちょうど桂浜行の最終便が15:40に高知駅バスターミナルを発車するということで乗り込みます。乗客は最初から最後まで私一人だけでした。

バスを降りてから砂浜までは少し歩きますが、夕刻の開放的な桂浜で少しばかりのんびり過ごすことができました。重い荷物を肩から降ろし、波の音に耳を傾けるだけでもとても良い気分転換になります。

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最長片道切符の旅を計画し実行される方は世の中にたくさんいますが、その中で桂浜に足を運ぶ人はあまりいないでしょう。というかそもそも最長片道切符の旅の途中に四国を挟む人がそう多くはありませんから、これは私だからこそ味わえた貴重な経験だと思います。

約3週間前に始まった途方もない挑戦は、この時既に折り返し地点を過ぎていました。今思い返せばこの後ゴールまでの道のりはあっという間だったと胸を張って言えますが、当時の自分にとってはまだこの先に途方もない道のりが待っていて、しっかり旅を続けていけるかという不安を抱きながらもその道のりにワクワクしていた頃だったように記憶しています。

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帰りは路線バスに30分ほど揺られ、はりまや橋に到着。高知駅前よりもこの辺りの方がはるかに賑わっていて、街の中心であると感じます。

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そして「ひろめ市場」へとやってきました。

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ひろめ市場でいただく「日本の食」84品目はもちろん鰹のたたきです。

目の前で豪快な藁焼きの様子を見ることができ、出来立てを提供してくださいます。塩味をいただきましたが、一口頬張ると驚くほど柔らかく、至福の時間を味わえます!

ほんのり香ばしい藁の香りがまたいいアクセントになっていて、気づいたら完食してました…。これは高知に行ったら是非また食べたい味です。

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今夜は高知駅から徒歩圏内の「ホテルタウン錦川」に泊まります。友人と2人で移動しているためツインルームですが、1人あたり2,750円で泊まることができました。決して広くはありませんが、必要なものは揃っていてコスパ十分です。

 

というわけで、最長片道切符の旅21日目はこれにて終了。

次回は窪川宇和島方面へと進んでいきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(36)四国スタート! まずは朝から牟岐線をシャトルラン【最長片道切符の旅2021】[阿波海南→徳島]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅21日目の序盤の様子をお届けしていきます。

 

2021年8月26日(木)21日目①

まだ夜が明けきらぬ早朝の快活CLUB徳島大学前店を早々にチェックアウト。昨晩の到着も遅い時間だったため、滞在時間は7時間程度となりました。

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今日から3日間は、最長片道切符としては異例ともいえる「四国内の移動」が続きます。前回ご紹介した通り「阿波海南→佐古」で四国を一周ぐるっと6の字で回るわけですが、まずはその地点に向かうべく徳島から阿波海南まで牟岐線で移動していきます。ここは直接的な「四国最長片道切符内の移動」というわけでもないので、ざっくりとご紹介します。

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乗車するのは5:31発の牟岐線朝一番の始発列車です。あくまでも「四国最長片道切符のスタート地点に行くまでの移動」に過ぎないので、駅で阿波海南までの運賃1,660円の近距離乗車券を購入します。とにかく朝早すぎて睡眠不足だったので、道中ではなるべく仮眠を取ることに徹しました。

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約2時間半ほど乗車し、8:03に終点の阿波海南駅へと到着。とはいうものの、これからがいよいよ本番となります。

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それではいよいよ、この阿波海南駅から四国最長片道切符の旅をスタートしていきます。

この阿波海南駅、かつては牟岐線の途中駅にすぎませんでした。1面1線の棒線駅で、駅員さんもいません。以前は牟岐線はこの一つ先の海部駅が終点で、その先は甲浦駅まで阿佐海岸鉄道という第三セクター鉄道にて線路が続いていましたが、2020年11月にDMV化工事のため阿波海南~海部駅間がJRから阿佐海岸鉄道へ移管されました。

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DMV(デュアル・モード・ビーグル)とは道路と線路の両方を走れる車両のことです。阿波海南駅の南側には、何やらそれらしき設備がほぼ完成しているらしい様子も見て取れました。DMV開業準備に伴い阿佐海岸鉄道は昨年よりバス代行輸送が続けられているものの、2021年12月25日よりDMVの運行が始まります。

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四国最長片道切符1本目となる列車は、阿波海南8:17発の牟岐線 板野行です。この列車は先ほど徳島から阿波海南まで移動してきた列車の折り返しですので、阿波海南駅には14分ほどしか滞在することができませんでした。

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四国の車両には明るくないのですが、どうやらこれは1500形という車両のようです。徳島より先は高徳線に直通して板野へと至る列車となります。

8:17に列車は定刻通り阿波海南駅を発車。これを逃すと次の牟岐線の列車は4時間後までありません。

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列車は1両での運行で、車内には転換クロスシートが並びます。まだ阿波海南駅を発車した時点ではお客さんもちらほらといった様子です。

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8:29に牟岐駅へと到着。まだ阿波海南駅を出て数駅ですが、ここで早速列車交換のため15分ほど停車します。徳島~牟岐駅間では1日1往復限定で特急むろと号の運行もあり、時間が合えばそちらにも乗ってみたかったのですが今回は叶いませんでした。

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列車は海沿いにゆっくりと北上していきます。とはいっても険しい地形を走るためトンネルも多く、実際に海が見える区間は少ししかなかったような印象があります。

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牟岐線の中でも特に主要な途中駅の一つである阿南駅には9:41の到着。ここでも何と15分間の停車があります。阿波海南駅からここまで列車はワンマン運転でしたが、ここからは乗客の増える区間へと入り車掌さんが乗務されます。

阿南駅停車中に検札が回ってきたので、四国最長片道切符を呈示。ここでようやく入鋏印が押されました。経路の複雑さもさることながら、車掌さんは「新宿駅発行」の乗車券を初めてご覧になったようで驚かれていました。まさかこれが後に驚くべき展開を生むとは知る由もなく…。

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そして10:41に徳島駅へと到着。スタート地点までの移動も含めると約5時間かけてただただ牟岐線普通列車で往復してきただけみたいになっていますが、ともかくもこれでまずは四国最長片道切符の幸先良いスタートを切ることができました。

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徳島駅はホームの規模感の小ささとは裏腹に駅舎・駅ビルがとても立派なことで知られています。地方都市らしく短編成の列車ばかりで本数も東京と比べれば断然少ないですが、駅ビルの立派さだけは東京に引けを取らないような気がしてきます。

また、徳島県には”電車”が1本も運行されておらず、跨線橋の上から眺めても架線が景観を遮ることはありません。

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昼食には少し早い時間ですが、朝食もまともに食べられていないのでここで徳島ラーメンをいただきます(「日本の食」80品目)。

徳島駅の目の前に位置する「麺王」さんでいただく徳島ラーメンは、こってりとしたスープに細い麺がよく絡みとっても美味しいです! さらに卓上のもやしはのせ放題で、これでたったの550円は安すぎます。立地柄観光客の方もとても多いようでした。

 

この後は徳島線方面へと進みますが、その様子はまた次回ご紹介します。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(35)きのくに線を走るかわいい特急で和歌山縦断!【最長片道切符の旅2021】[新宮→和歌山]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅20日目の後半の様子をご紹介していきます。

 

2021年8月25日(水)20日目②

亀山発のロングラン普通列車に乗車し、約4時間かけて新宮駅に到着。いよいよ和歌山県へ突入し、これより先はJR西日本管内へ入ります。

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乗車するのは、新宮11:27発の特急〔くろしお22号〕新大阪行です。ここ新宮駅を始発として紀伊半島の西岸を走り、新大阪へと至る列車です。今回は最長片道切符のルートと重なる途中の和歌山駅まで乗車していきます。

余談ですが、この新宮駅では名古屋方面と新大阪方面の列車が全てまとめて1枚の発車標に表示されています。たまたまこの日は団体専用臨時列車「WEST EXPRESS銀河」紀南コース復路の運行日だったようで、発車標には名古屋・京都・新大阪の大都市3つが並びました。まるで近鉄特急のようです。

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ホームに入ると、既にくろしお22号は停車していました。JR西日本の287系特急電車6両編成で、白浜アドベンチャーワールドにちなんだ「パンダくろしお」ラッピング車両です。

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車体側面にも実に様々な動物がプリントされており、今回アドベンチャーワールドへは行けないもののまた次の機会に行ってみたくなります。

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車内へ入ると、ヘッドレストのカバーが一つひとつパンダの顔になっているのが分かります。車両前方から乗り込むと大量のパンダがこちらを向いているように見えて一瞬ビビるかも…?

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列車は定刻で新宮駅を発車。早くも車窓左手には太平洋の眺めが広がります。

ちなみに亀山~新宮~和歌山(~和歌山市)駅間が全て「紀勢本線」で間違いありませんが、JR西日本区間の新宮~和歌山駅間のみ「きのくに線」という愛称がつけられています。きのくに線内ではかなり海の眺めが期待できそうです。

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列車は早くも那智駅運転停車し、列車の行き違いを行います。熊野那智大社への玄関口となる駅ですので特急の客扱い停車をしてもよい気がするのですが、現状では臨時停車等も含め特急が客扱い停車をすることはありません。

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そんな特急くろしお号の車内でいただく「日本の食」77品目はさんまの姿寿司(750円)、78品目はめはり寿司(2個400円)です。いずれも新宮駅前の「徐福寿司」さんで購入しました。

さんまの姿寿司はその名の通り、さんまが丸々一匹押し寿司になっています。身が締まっていてとっても美味しかったです! 頭と尻尾の一部には硬い部分がありましたので、無理に食べなくても良いのかもしれません。

めはり寿司は高菜の古漬けで寿司飯を包んだ一品で、寿司とは言いながらも海鮮系の食材は一切使っていません。どちらかといえばおにぎりに近いですが、これもとっても食べ応えがあり美味しかったです。

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列車は入り組んだ紀伊半島の海岸線を走っていきます。繰り返しになりますがJR東海区間とは比べ物にならないくらい海の景色が美しく、透き通るような青い色が夏を感じさせます。空は少し雲がありますが、天気はもってくれたので素晴らしい絶景を堪能することができました。

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途中停車する串本駅は「本州最南端の駅」としても知られ、近くには潮岬もあります。今回は行けませんが、また次回行ってみたいものです。

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今回は自由席特急券を購入して新宮~和歌山駅間を移動しています。その営業キロは何と200.7キロということでギリギリ200キロをオーバーし1,980円となってしまい、新宮より一つ先の紀伊勝浦から乗車すれば200キロを切るため1,760円で乗車できます。しかし実際には新宮~紀伊勝浦駅間にも海の綺麗な区間があり、220円多く払うだけの価値はあったように思います。

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13:19に白浜駅へと到着。ここでは7分間の停車があります。てっきりここで増結でもするのかと思っていましたが特にそういうわけではないようです。

白浜からはかなりの乗車がありました。特急くろしお号の約半数がここ白浜どまりとなっており、それほど関西~白浜間のみでも高い需要があるということなのでしょう。ただそれでも平日だからか、自由席車両が激しく混雑するということはありませんでした。昼間で時間帯的に中途半端だからというのもあるかもしれません。

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白浜を出てからも車窓左手には海が続きます。だいたいみなべ町付近までは断続的に海岸沿いを走りますので、是非乗車される際は注目してみてください。

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その後は車内でウトウトしていましたが、気づけば列車は海南駅に到着。この辺りまで来ると、本数は少ないですが大阪市内からも直通する普通列車がわずかにあるようです。海岸沿いを走る自然豊かな路線から、だんだんと市街地へ入っていきます。

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新宮駅を出てから約3時間半、14:48に定刻通り和歌山駅へと到着!

列車はわずかな停車時間の後、すぐに発車し終点の新大阪へと向かっていきます。まだここから1時間かかる距離ですので、和歌山~新大阪駅間のみで特急に乗車される方も珍しくなさそうです。

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立派な駅ビルがそびえる和歌山駅。ホームでは関西圏でよく聞く接近メロディが絶えず流れ、関西がすぐそこまで迫ってきていることを実感します。

最長片道切符のルート上ですと、この先は和歌山線・桜井線へと進み五条・高田・奈良方面へ、その先大和路線大阪市内へと向かうルートになります。まだ明るい時間ですので、頑張れば奈良か大阪あたりまでは行けるでしょう。ただしこの日進めるルートはここまでとし、翌日からは3日間ほど時間を割いて「四国最長片道切符」へと挑んでいきます。

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ご存じの方も多いと思いますが、稚内から肥前山口までのルートを辿る「最長片道切符」では四国をルートに組み入れることができません。これは本州と四国を結ぶJR線が瀬戸大橋線の1本のみとなっており、一度四国に入ると再び本州へ戻るルートを組み立てることができないからです。

そこで今回、私は「四国最長片道切符」と題し、四国島内のみで完結する最長ルートの片道切符稚内肥前山口とは別に用意しました。四国島内でも引き続き「日本の食」をテーマに、各地の美味しいご当地グルメをたっぷり堪能していきます。

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四国最長片道切符については26日の朝からスタートとなるため、25日のうちに四国へ渡っておく必要があります。和歌山~徳島間では「南海フェリー」が運航されているため、今回はそちらを利用します。ただ新型コロナウイルスの影響でこちらも減便が発生しており、当初組んでいた予定では四国に渡れないことが割と直前で判明したので、ここまでに溜まっていた洗濯物を片付けたりスーパー銭湯に行ったりなどして、和歌山市内で態勢を立て直す時間としました。

前の晩に亀山でシャワーを浴びれていなかったので、和歌山市駅から程近い「ふくろうの湯」でゆっくりここまでの汗を流します。ようやくしっかりと風呂に入ることができ、感無量です。料金は1,000円ということで若干お高めではありましたが、私を長時間入浴ができていない苦しみから解放するには安すぎるくらいでした。

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そして夕刻の和歌山駅に到着。和歌山駅よりもこちらの駅の方が街の中心といった様子で、主に南海の駅ですがJRの和歌山市和歌山駅間の区間列車も乗り入れます。

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これより南海フェリーの発着する和歌山港まで、1駅だけですが南海の特急「サザン号」を利用していきます。指定席車両には別途料金がかかりますが、自由席車両は乗車券のみで利用できます。

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なんばから大量の帰宅客をのせて、列車が入線してきました。多くの特急サザン号はここ和歌山市が終点のようで、フェリーに接続する数少ない何本かのみ和歌山港発着となるようです。

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4分ほどであっという間に和歌山港駅へと到着。なんばから続く線路はここが正真正銘の終点となっているようです。

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改札口を出て右に進み、フェリー乗り場へと続く長い通路を歩いていきます。一応和歌山市街~和歌山港の間は路線バスでも移動できるようです。

その隣には出港時刻も掲載されていますが、概ね1便おきに「休航」と書かれた赤いマグネットが貼り付けられています。本来ならば16:25発の便に乗る予定でしたが、これが休航となってしまったために約3時間後の19:15発まで待つしかなかったというわけです。和歌山港発の最終便に乗船することになります。

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フェリーターミナルにある自動券売機で往復乗船券を購入します。通常片道2,200円ですが、往復で購入する場合は復路のみ10%OFFとなるようです。HP上には学割の設定もあると書いてあったのですが、フェリーターミナルに係員の方がいらっしゃる様子はなく、学割適用のためには時間に余裕をもってインターホンで係員の方を呼ばなければいけないようだったので、それも面倒だと思い学割適用は諦めました。

f:id:watakawa:20211115191045j:plainまもなくすると乗船開始。徒歩での乗船客の数は10~15名ほどと非常に少なく、これでは減便もやむなしと思ってしまいます。

f:id:watakawa:20211115191122j:plain定刻通り船は19:15に和歌山港を出港。これより約2時間かけて対岸の徳島港へと向かいます。今回はこちらの食堂のようなスペースで過ごすことにしました。

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夕食は和歌山らしいものを…と思いましたが、洗濯等バタバタしていたこともあり和歌山市内では食べられなかったので、和歌山市駅のスーパーで買ったチキン南蛮弁当です。これは流石に「日本の食」にはカウントしませんが、もちろんとても美味しかったです。

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食後のデザートはこちら。和歌山・湯浅の醤油を使用したくるみ醤油餅(8個入579円)(「日本の食」79品目)です。同じく和歌山市駅のスーパーで購入しました。かなり弾力があり、ほのかな醤油の風味を楽しめます。くるみも歯ごたえがあって醤油によく合います。

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食後は船内探検もしつつ、ゆっくり過ごします。特急列車のようなリクライニングシートもあるようですが、今回は利用しませんでした。

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船は順調に徳島へと向かっていきます。常に本州・淡路島・四国のいずれかの陸地が近いため、スマホの電波が圏外になることはあまりありませんでした。ただし船内にあるWi-Fiはやはりまともにつながらなかったので、通信を伴う作業を船内に持ち込むのはやめておいた方がよさそうです。

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21:25に船は定刻通り徳島港へと到着。外はもちろん真っ暗ですが、「ようこそ徳島へ」の文字から辛うじで四国へ上陸したことを実感できます!

f:id:watakawa:20211115192856j:plain徳島港から徳島の市街地までは、路線バスがちょうど接続しているので乗り込みます。21:30の発車ということでかなりギリギリでしたが、私一人のみをのせて定刻通りに港を出発していきました。他に乗る人はいなかったのでしょうか…? 気になります。

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今夜の宿は快活CLUB 徳島大学前店です。バスを終点の徳島駅前まで乗ってしまうとやや戻る形になりますので、少し手前の「徳島中央公園・裁判所北」というバス停で降りました。

思えばこの日の朝いた場所は三重県の亀山です。最長片道切符のルート上の移動としては昼過ぎの和歌山駅でこの日は終了ですが、1日で紀伊半島を一周しさらにフェリーで四国に渡ってきたと考えると移動距離自体はかなりのものになりました。

翌26日(木)からは、いよいよ四国最長片道切符の旅が始まります! その模様は次回以降でお届けしていきます。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

有終の美を飾る6時間31分の旅路へ…臨時快速「紀の国トレイナート号」ラストラン【御坊→新宮】

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は、和歌山県内を年に一度だけ走る臨時快速「紀の国トレイナート号」のラストランの様子をご紹介します。

 

2021年11月6日(土)

というわけで、今回は紀勢本線御坊駅にやってきました。これより臨時快速列車〔紀の国トレイナート号〕に乗車して新宮まで向かいます。

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trainart.jp

「紀の国トレイナート」とは、毎年秋に和歌山県の紀南エリアで展開されるアートプロジェクトで、2014年に初めて開催され今年で7回目を迎えました(2020年は新型コロナウイルスの影響で中止)。期間中には沿線のアートを楽しみながら進む臨時アート列車「紀の国トレイナート号」の運行も恒例となり、「鉄道」(Train)と「アート」(Art)が一体となって盛り上がるプロジェクトとして地域の有志とアーティストの方々により展開されてきましたが、この2021年の開催をもって終了することが発表されています。

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ラストとなる2021年の運行区間御坊~新宮駅。その距離146.1キロ、特急ならば約2時間30分程度で移動できる距離ですが、何とこの列車は約6時間30分かけて新宮までを結びます。表定速度は22km/hほどで、とんでもなくゆっくり走る列車のように見えます。

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使用車両は225系(4両編成)。通常は主に和歌山~御坊・紀伊田辺駅間で運用される車両で、紀伊田辺以南へ乗り入れる機会はめったにありません。そして今回この列車は記念列車にも関わらず全車自由席の快速列車として運行されています。事前の予約や申込の類いは必要ありません。

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そしていよいよ御坊駅を発車。市長の発車の合図とともに、定刻通り一路新宮を目指し出発していきます。

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車内は2+1列の転換クロスシートが配置されており、これは四捨五入してグランクラスといえそうな気がします(流石に違う)。全車自由席ということでどれほどの混雑か想像がつかず不安でしたが、幸い発車間際の乗車でも何とか着席できました。

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紀の国トレイナート号の運行ダイヤは上記の通り。例えるなら「飯田線秘境駅号」のように、各停車駅では長めに停車時間が設けられており、各停車駅に展示されているアート作品を鑑賞できるようになっています。なお列車の運行はイベント期間中この1日のみで、しかも片道のみの運行となっています。

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まず最初の停車駅は印南駅。到着と同時に一斉に乗客がホームへ降り立ちます。

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印南駅の駅舎内には、カエルのアート作品がいくつも展示されています。立体的で、近くで見るとちょっとびっくりしてしまうくらいリアルな仕上がりになっています。短い停車時間内ではありましたが、作者の方が実際に居合わせ作品の解説をなさっていました。

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また、町役場の方も駅に赴き、観光パンフレットやキーホルダーを無料で配布していました。

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アートを鑑賞し終えたら、跨線橋を渡り急いで列車へと戻ります。紀の国トレイナート号では各駅でこんなことの繰り返しになります。

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列車は定刻で印南駅を発車。早くも車窓右手には海が見えてきました。ちょうど千里海岸沿いを走っているものと思われます。臨時列車ですがあくまでも「快速」ということで通過駅が多数あり、駅間での運行スピードは特段遅いようには感じられません。

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10:14に南部駅に到着。「なんぶ」ではなく「みなべ」と読みます。町名は「みなべ町」とひらがなで表記するのが正しいようです。

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南部駅前のロータリー中央には、アカウミガメのアート作品が展示されています。また地元のゆるキャラによる出迎えや巨大な絵本の読み聞かせパフォーマンスもあり、駅前は大賑わいでした。

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また、みなべ町は梅の産地として有名のようで、列車の乗客に向けて梅干しや梅ドリンクなどいろいろな特産品が無料でふるまわれました。特急券等が必要な列車ならまだしも、乗車券のみで乗車できる列車の乗客にこんなにも様々なおもてなしをしてくださるとは驚きです。

10:30に南部駅を発車。トンネルをくぐると、すぐに次の停車駅へと到着します。

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10:37に列車は紀伊田辺駅へと到着。ここは全ての特急が停車するほか、普通列車の運行系統が分かれる主要駅です。紀の国トレイナート号は約26分間の停車となります。

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ここでは駅前のロータリー内に「積木の茶室」と呼ばれる作品が展示されています。地元の木材を使用して造られた積木を重ね合わせて美しい幾何学模様が描かれており、少しだけですが中を覗くこともできました。

また、駅周辺では文字が書かれた白い風船をもった人があちこちにいます。これは「フキだしプロジェクトinトレイナート2021」と題し行われているプロジェクトで、今ここにしかない景色を目指し人と言葉の関係を考え直すことがコンセプトになっているようです。

さらに、駅前では特産品のみかんの配布が行われていました。印南駅・南部駅に続き、さっきから食べ物やノベルティを貰ってばかりです(笑)。

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紀伊田辺駅のホームに戻ってみると、何やら個性的な車両が停車しています。これはきのくに線227系を用いて行われた「デザイン列車プロジェクト2021」の最優秀作品で、「先の先の先」をテーマに全国の未就学児~高校生からデザインが募集されました。窓の上下に描かれたいくつもの矢印がまさにテーマを反映しているということでしょう(こなみ)。和歌山市内の小学校3年生の子の作品だそうです。

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側面の行先表示器には「快速 新宮」と表記されています。基本的に普通列車は全列車が各駅停車となる紀勢本線において「快速」の文字は極めて珍しいものでしょう。紀伊田辺駅からの「新宮行」の普通列車は1日に何本も運行されていますが、紀伊田辺始発ではなく御坊からやってきているというのもとても珍しいことです。

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11:03に定刻通り紀伊田辺駅を発車。ここからはかなり乗客が増え、車内はだいぶ混雑してきました。グループで乗車されている方も多いようで、快速列車とは名ばかりの団体臨時列車の様相を呈しています。

なお、この列車の車内では車掌さんによるアナウンスとは別に地元のラジオDJの方による各駅アート作品の案内放送が随時流れていました。

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11:11に到着したのは朝来駅。「そっけなく聞こえる駅名」としても有名なこの駅には、15分ほど停車するという案内がありました。

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朝来駅では「つむぐプロジェクト」というものが展開されています。これは一人ひとりが思っていることを用意されたカードに書き飾っていく参加型アート作品で、神社の絵馬のようなものに近いイメージでしょうか。トレイナート号の乗客のみなさんも思い思いの言葉や絵をしたためているようでした。

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朝来駅の発車は11:26の予定でしたが、何故か時間になってもドアが閉まりません。特に放送もなかったため原因は不明ですが、8分ほど遅れて11:34頃に発車しました。

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そして列車はすぐに次の白浜駅へと到着。定刻よりも7分ほど遅れて11:39頃の到着となりましたが、ここでは30分以上の停車時間が用意されているため遅延が後々まで響くことはありません。

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白浜駅の改札横には、1対のペンギンのパネルが展示されています。このペンギンの前に乗客が集まり記念写真を撮る「青空ペンギン写真館」というプロジェクトが予定されていたようなのですが、新型コロナウイルス感染拡大防止のためこのイベントは中止おとなり、記念写真を撮影したい人は各自パネルの前で撮るというスタイルになっていました。

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紀南エリアの観光拠点とも言える白浜には、新大阪方面からの特急が続々到着します。紀の国トレイナート号が到着した直後、定刻よりも少し遅れてここ白浜駅が終着となる 特急〔くろしお3号〕が入線し、さらにその後続けて新宮行の特急〔くろしお5号〕も到着。どちらの列車からも大量の観光客の方々が降りていかれ、改札口付近はトレイナート号の乗客とあわせ大変な人だかりになっていました。日中は普通列車よりも特急の本数が非常に多い駅で、特にこの白浜どまりとなる特急がかなり多く設定されています。

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白浜駅を定刻通り12:10に発車し、引き続ききのくに線を南下していきます。海側ばかりを注目してしまいがちですが、山側はのどかな景色が広がります。

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続いての停車駅は周参見駅。12:34に到着し、ここでは約25分間の停車があります。

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周参見駅のアート作品は、駅舎内および線路沿いに掲げられている無数の顔のイラスト。かなりインパクトの強い作品ですが、この顔はどうやら特産品のカツオが掛かることで水面が跳ねる様子に喜ぶ周参見の住人のみなさんの顔を表現しているということで、カツオ漁法「ケンケン漁」にちなみこの作品の名前は「ケンケン」となっています。

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列車は周参見駅を12:59に発車。引き続き車窓の右手側には広大な太平洋の景色が広がります。実は御坊駅を発車してからここまでで何と3時間以上が経過しており、これでようやく半分ほどやってきたということになります。

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途中の和深駅には停車こそしないものの、ゆっくりと徐行しながら通過していきます。ホーム上に飾られている石造りのたまごは2015年のトレイナート作品だそうです。

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13:30には紀伊有田駅へと到着。ここでのアート作品は、駅舎そのものです。丸を基調とした鮮やかな絵で駅が埋め尽くされ、無人駅とは思えないような圧倒的な存在感を放っています。わずか15分間しか居られないのがもったいなく感じるほどです。

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紀伊有田駅を発車し、13:52にはすぐに次の串本駅へと到着。ここには特にアート作品はありませんが、ここでは何と14:40まで50分近く停車します。

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この停車時間の中で、希望する乗客のみ駅前の料理屋さんで名物の「鰹茶漬け」を食べることができます。列車内では随時整理券が配布されており、私もいただこうかと思いましたが、極貧大学生にはなかなか勇気のいるお値段だったので今回は列車の実況に徹しようということで諦めました。

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代わりに駅前のスーパーでお寿司を購入。名物の「一口さば寿し」はどう考えても一口サイズではなく、むしろ一般的な握り寿司よりも大きかったように思いますが、とにかくどれもとても美味しかったです。紀南にお越しの際は是非地元のスーパーに立ち寄ってみてください。

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ちなみにこのトレイナート号、アート作品が改札外に存在することも多いわけで、本来途中下車できない乗車券類を所持している場合は改札外に出た時点で前途無効となります。しかし今回アート作品を鑑賞するために改札外に出る際の乗車券の確認等はあまり行われず、JRとしても黙認しているように見えました。もっとも私は「どこでもきっぷ」を所持しておりましたので、グレーな判断とならぬよう常に所持して出入りしていました。

鰹茶漬けを堪能した乗客も列車内に戻り、14:40に串本駅を発車。

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その先の紀伊浦神駅では、列車行き違いのため5分ほど運転停車が行われました。またどうやら3号車では地元和歌山出身女性アーティストの方による独唱ライブが開かれていたようです。

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まもなく列車は紀伊浦神駅を発車。駅を出てすぐ、列車は海岸線のすぐそばを走ります。この先の太地駅周辺にもアート作品があるようですが、今回この列車では通過となります。

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15:14には湯川駅に到着。ここでの停車時間は約12分間でやや短めです。

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海岸からも程近いこの湯川駅には2種類のアート作品が展示されています。まず海岸沿いに一見無造作に置かれているようにも見えるラグビーボール状の作品がありますが、これは「時の舟」と呼ばれる作品です。内側は細いワイヤ―が張ってあるのみで、互いが互いを支えるようにして成り立っています。また、湯川駅自体は現在無人駅ですが、かつて宿直室として使われていた暗い部屋の中に巣穴のような白いドーム状の作品があり、こちらは「nest to」と呼ばれる作品とのことです。

どちらの作品も近づいてじっくり見てみたかったですが、そうすると列車が発車してしまいますので遠巻きに鑑賞するだけにしておきました。

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ここでちょうど新宮からやってきた新大阪行の特急〔くろしお30号〕と行き違いも行ったところで、トレイナート号は15:26に定刻通り湯川駅を発車していきます。

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終点まで残り約30分となり、ここで面白い光景が。何とこの紀の国トレイナート号は、全列車停車駅であるはずの紀伊勝浦駅を颯爽と通過していきます。特急・普通列車を問わず定期ダイヤでは必ず全ての列車が停車し客扱いを行う主要駅で、名古屋方面からの特急はここを終着駅とするほどですが、お客さんをのせたこの4両編成の225系が運転停車さえも行うことなく通過していく光景は違和感しかありません。

特に紀伊勝浦駅にアート作品があるわけではないといえ、これは貴重な体験をすることができました。

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そして15:34には最後の途中停車駅である那智駅に到着。ここでは約11分間の停車となります。熊野那智大社へのアクセスにも便利な駅となっており、駅前からバスに乗り換えて行くことができます。

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那智駅にも2種類のアート作品があります。駅舎内にあるのは「紀伊半島を巡る掃除道具とコンフェッティ・タロット」という作品で、この周辺に由来するものを掃除道具とリンクさせているみたいです。個人的には数ある作品の中でもこれがコンセプトとしては特に難しく感じ、アートの奥深さを感じることができました。

また駅から少し歩いた海岸沿いにあるのは「ショッピングカート」。大きくカラフルな作品で、きのくに線沿線の自然やそこに住む人々の豊かな暮らしや文化がポップな色使いで表現されています。

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那智駅では、紀の国トレイナート号を降りて後続の普通列車へと乗り換える人が一定数居ました。この先の三輪崎駅にもアート作品があるのですが、紀の国トレイナート号は三輪崎駅では客扱いの停車を行わないため(運転停車はある)です。アート鑑賞目的でこの列車に乗車してきた人がどっと降りた印象で、最後の一区間だけですが車内は鉄道ファンが中心になりました。

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15:45に那智駅を発車。最後に念押しで車窓右手に太平洋を望みながら、列車はまもなく終点の新宮へと到着します。

終盤の車内では、「紀の国トレイナート2021」実行委員長などから熱い思いのこめられたメッセージが流れました。「ありがとう、紀の国トレイナート号!」という力強い締めくくりの後、車内からは盛大な拍手が巻き起こりました。

2014年に始まったこの「紀の国トレイナート」。毎年開催されてきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響でやむなく中止となりました。今年はそこから復活を遂げたという意味で、このイベントに携わる全てのアーティスト・関係者の皆様のより一層の熱い思いが込められた回のように感じます。「紀の国トレイナート」という形式ではなくなりますが、今後も紀南エリアでは芸術文化の発信が続けられていくということですので、是非今後とも期待したいところです。

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御坊駅を出発してから6時間31分、16:05に列車はようやく終点の新宮駅へと到着。真っ青な横断幕とともに出迎えられ、紀の国トレイナート号は無事にラストランを終えることができました。

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まもなくすると225系は紀伊勝浦方面に前照灯をともし、ゆっくりと来た道を戻るように回送されていきました。

 

というわけで、今回は紀の国トレイナート号のラストランの模様をお届けしました。

紀の国トレイナート号の運行はこの1日限りでもうありませんが、イベント自体は11月21日(日)まで続きますので、是非紀南エリアに足を運んでみてはいかがでしょうか。

長くなりましたが、今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(34)三重県を縦断する驚愕のロングラン鈍行に全区間乗車! 【最長片道切符の旅2021】[亀山→新宮]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅20日目の前半の様子をお届けします。

 

2021年8月25日(水)20日目①

8月3日に稚内からスタートした最長片道切符の旅も今日で20日目。この日のスタートは三重県亀山駅です。

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20日目のこの日は、亀山から紀勢本線で紀南方面へと進み和歌山まで向かいます。和歌山にていったん最長片道切符のルートを中断し、翌日から始まる「四国最長片道切符」のスタート地点へと向かうため南海フェリーで徳島へと渡ります。今回の記事では途中の新宮までの様子をお届けします。

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亀山駅には、JR東海おなじみの「最新式なのに旧型っぽく見える発車案内ディスプレイ」が設置されております。名古屋方面、奈良方面、津方面と3方向に線路がのびていることが分かり、やはり亀山は今もなお交通の要衝であると実感します。

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そんな亀山から乗車する列車は、6:08発の紀勢本線 新宮行。亀山~新宮駅間180.2キロを結ぶロングラン列車に全区間乗車していきます。

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使用される車両はJR東海キハ25形気動車。一見すると313系と非常に良く似ていますが、紀勢本線JR東海区間は非電化路線のため電車が走れるはずはなく…ということでようやくこれがキハ25形であると分かります。

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列車は定刻通りに亀山駅を発車。まだ朝6時過ぎということでかなり早く、正直かなり寝不足感は否めません。せめて転換クロスシートであれば仮眠を取りやすかったかもしれませんが、キハ25形オールロングシートでボックスや転換クロスの座席はありません。

亀山を出ると、この列車は下庄、一身田、津、阿漕、高茶屋、六軒、松阪、徳和、多気、相可、佐奈、栃原、川添、三瀬谷、滝原、阿曽、伊勢柏崎、大内山、梅ケ谷、紀伊長島、三野瀬、船津、相賀、尾鷲、大曽根浦、九鬼、三木里、賀田、二木島、新鹿、波田須、大泊、熊野市、有井、神志山、紀伊市木、阿田和、紀伊井田、鵜殿と約40もの駅に停車して新宮へ至ります。JR東海には飯田線で6~7時間かけ約100駅を進む列車があるため霞んで見えますが、あちらは転換クロスorボックスシート車両での運用ですので、そう考えると今回ロングシートでこれほどの距離を耐えるのはなかなか過酷と言えます。

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6:25に三重県の県庁所在地であるに到着。ここからは四日市(河原田)方面からの伊勢鉄道が合流してくるため、快速みえ号や特急南紀号も多数運行される本線らしい区間へと入ります。

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車内では、前の晩に名古屋で呑み鉄にゃんこさんからいただいた名古屋名物のういろう(「日本の食」75品目)を朝ごはんにいただきます。ようかんのような食感の甘いお菓子で、とても美味しかったです! ありがとうございました。

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列車は津や松阪の辺りを近鉄と適度な距離感を保ちながら走っています。この辺りはまだ開けた地形で、住宅も数多く立ち並びます。車内は思ったよりも多くの方が乗車しており、朝早いながらもしっかり需要のある列車であることが分かります。

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6:57には多気駅へ到着。ここでは約8分間停車し、参宮線へと入る鳥羽行の列車に接続を取ります。

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改めて見てみても、本当に313系とそっくりです。ただ車両の近くまで寄ってみるとけたたましいディーゼル音を出していることが分かり、これでようやく気動車であると気づきます。

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列車は7:05に多気を発車。これより先は紀勢本線の列車のみが走る区間へと入っていきます。

佐奈では3分ほど停車し、列車の行き違いを行います。

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7:40には三瀬谷駅に到着。ここは特急も停車する主要駅です。

紀勢本線では、名古屋~新宮・紀伊勝浦駅間を結ぶ特急「南紀」が1日4往復運行されています。時間が合えば津~新宮駅間で利用したいと思っていたところでしたが、下りの一番列車が津を発車するのは9:01ということで、これでは後の行程に余裕がなくなってしまうため、やむなくそれよりも3時間ほど早い普通列車で移動しています。

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次第に車窓から民家や建物は少なくなっていき、列車は険しい地形の中を進んでいきます。この辺りは大内山川に沿うようにくねくねと線路が走っており、並行する紀勢自動車道と比べるとかなり線形が悪いことが分かります。

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その川の名前にもなっている大内山駅には8:10に到着。ここでも列車の行き違いのため、7分間停車していました。

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紀勢本線というと太平洋沿岸の海の見える区間を走るイメージがある方も多いと思いますが、それは主に新宮より西のJR西日本区間がメインであり、今乗っているJR東海区間はどちらかというと山岳路線の様相を呈しています。山を貫くようにトンネルが掘られたり、地形に沿ってくねくねと線路が敷かれていたりということであまりスピードが出せそうにないのもよく分かります。

紀北町中心市街地にあたる紀伊長島駅には8:30の到着。ここからはかなりの乗車があり、空いていた車内が再びやや混み始めます。

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主要駅の一つ、尾鷲駅には9:01の到着。亀山を出発して約3時間、この辺りに来ると列車の旅を楽しむというよりはお尻の痛みに耐える移動に変わってきます。前の晩がネットカフェであまりしっかりと睡眠を取れていないこともあり、またシャワーを浴びれていない不快感からこの区間では「とにかく1秒でも早く新宮に着いてくれ」と願っていました(笑)。

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そして10:21、ようやく終点の新宮駅に到着です!

亀山駅から何と4時間13分もの時間をかけてやってきました。

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熊野三山への玄関口でもある新宮駅の駅前は南国風の木が植えられ、亀山とはだいぶ気候の異なる地へやってきたことを実感します。それと同時に、この新宮の一つ手前の「鵜殿」という駅までは三重県にあたるため、三重県の大きさも身をもって実感することができます。

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残念ながら今回の最長片道切符の旅では観光に割く時間もお金も体力もないので、熊野三山へ行くことは諦めざるを得ませんが、代わりに新宮駅前で那智黒ソフト」(300円)があったのでこれをいただきます。「日本の食」76品目となります。

那智の名物である黒飴を練り込んだソフトクリームで、あの独特の甘さを手軽に味わうことができます。飴だと大袋入りでだんだん飽きてしまうこともありますが(笑)、これなら最後まで美味しくいただくことができるのでとってもオススメです!

 

この先はJR西日本区間へと入り和歌山を目指しますが、その続きはまた次回お届けします。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(33)特急1本で行けるはずが…茨の道と化した中央西線【最長片道切符の旅2021】[塩尻→亀山]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅19日目の後半の様子をお届けしていきます。

 

2021年8月24日(火)19日目②

f:id:watakawa:20211029113917j:plain中央東線の列車にて塩尻駅には14:51に到着。有名な狭い駅そば屋で遅めの昼食を取り、これからはいよいよJR東海区間へと入っていきます。

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本来ならば、塩尻から名古屋へは中央西線を走る特急「しなの号」で一気に駆け抜けたいところ。特急なら塩尻名古屋駅間は約2時間で移動できます。

しかし去る8月13~14日に発生した豪雨災害の影響で、中央西線沿線では複数箇所で土砂流入や設備の故障等が発生し、その後も降り続く大雨の影響で一時は復旧の見込みが立たない状況となりました。

私自身ももはやこの区間については高速バス等でショートカットし、最長片道切符の券面の経路としては乗車放棄せざるを得ないのでは…と諦めかけていたその時、何と8月23日(月)より不通区間代行バスが運行されることになったのです!

これは本当にギリギリのタイミング。もしあと数日ここを通るのが早かったら、代行バスの運行開始には間に合わなかった可能性が高いです。上図の通り、塩尻奈良井駅間および上松~南木曽駅間が代行バスでの運行となり、その他の区間普通列車による折り返し運行が行われることになりました。特急で一気に駆け抜けるよりも大幅に所要時間がかかってしまいますが、券面経路放棄の必要がなくなっただけでもとても嬉しいです。

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まずは塩尻駅前より、15:55発の中央西線代行バス 奈良井行へと乗車していきます。10数名程度の乗客が待つ乗り場の元へやってきたのは伊那バスの大型観光バス車両ということで、輸送力に関しては申し分ありません。

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バスは定刻通りに塩尻を発車。国道19号を走りながら、途中各駅駅前に寄っていきます。運転手さんとは別に、JR東海の社員さんと思われる方が1名乗務され、各駅到着時に「○○駅到着しました~、降りられる方いらっしゃいませんか~」等と案内をしながら進んでいきます。

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バスは車窓に奈良井川を眺めながら木曽路を進みます。観光バスということでフットレストや背面テーブルも備わっており、普段の普通列車よりも快適な気さえしてきます。

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塩尻を出てから約50分、16:43頃に終点の奈良井駅へと到着。発表されていた運行時刻よりも4分ほど早着となりました。奈良井駅では駅前に大きなバスが乗り入れられないためか、駅から少し離れた道の駅の駐車場へと入りました。

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奈良井駅までは徒歩数分程度。JR東海の社員さんが要所要所で案内してくださっているので迷うことはありませんが、もしかすると普段あまり現場に立つことの多くない社員さんが多数駆り出されているのかもしれません。相当な人件費がかかっていそうだと感じました(笑)。

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奈良井からは、16:58発の中央西線 上松行で移動していきます。2つの代行バス区間に挟まれたこの奈良井~上松駅間でのみ折り返し運転ができており、災害発生の直前に運良くこの区間にあった車両のみを使い、何とかやりくりしているのでしょう。

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列車は定刻通りに奈良井を発車。そこまで乗車時間は長くありませんが、転換クロスシート車両なのはありがたいです。

わずか2両編成ですが、先ほどまでの代行バスに比べるとだいぶ空いている印象を受けます。やはりそれだけ鉄道は大きな輸送力を有しているということなのでしょう。改めてその違いを強く感じます。

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途中の木曽福島からはかなりの数の高校生が乗車してきました。普段なら特急も全て停車するほどの主要駅で、この駅から列車に乗り込み帰宅する人が多いのは理解できますが、残念ながらこの次の駅が終点の上松となっています。

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17:27に列車は終点の上松駅へと到着。快適な列車移動もつかの間、ここでさらにもう1本代行バスへと乗り換えます。

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上松駅前のロータリーから乗車するのは、17:32発の中央西線代行バス 南木曽。こちらは「岡谷観光」のバスのようで、やはり立派な大型観光バスでの運行です。しかも夕方の帰宅時間帯のためか、この便は何と2台体制での運行のようで、「改札口を出たら左右どちらかのバスに乗り込んでください~」という案内がなされていました。

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無事に乗り込み、定刻通りに上松駅前を出発。分乗していますがそれでも車内はかなりの混雑で、しかも多くが地元の高校生ということもあり、何だか知らない高校の修学旅行に自分も混ぜてもらっているような気分になります(笑)。

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上松~倉本駅間には名勝「寝覚の床」があります。列車は高台を走るためその様子がしっかり見えるのですが、残念ながら道路はそれよりも低い位置にあるため代行バスの車内から寝覚の床は見えませんでした。

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国道上ですが、途中一部では先日の土砂崩れからの復旧工事を行っている箇所も通りました。ただでさえ陸路が道路のみに制限されている中で、さらに道路も一部で車線が減らされているということでかなり混雑していたように思います。

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また、これは乗車していて気づいたことですが、鉄道が山を貫く直線的なトンネルで結びがちなのに対し、国道は比較的地形に沿ってくねくねと走っているイメージが強かったです。もちろん国道にもトンネルはありますし、他の地域ではまた状況が異なると思いますので一概には言えませんが、上松~南木曽駅間は鉄道の営業キロが26.9kmなのに対し、道路だともっと距離が長くなりそうだと感じました。ただし今回乗車しているバスはあくまでも「鉄道扱い」となる乗り物ですので、営業キロは同区間の鉄道に乗車したとみなして算出したいと思います。

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そしてまもなく、代行バスは終点の南木曽へと到着。ここは駅前の道路が狭いためか、上松から乗ってきた大型バスは駅前ではなく川を挟んで対岸にある天白公園の駐車場へと入っていきます。天白公園の駐車場から南木曽駅まではさらに駅前乗り入れ可能な小型バスへと乗り換え、18:28頃にようやく南木曽駅前へと到着しました。

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元々上松から乗ってきたバス自体が少々遅れていたこともあり、ここではかなり慌ただしい乗り換えに。辺りもすっかり暗くなってきました。

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南木曽からはようやく再び列車移動になります。18:32発の中央西線 中津川行へと乗り込み、名古屋方面を目指します。

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転換クロスシートの快適な車内でくつろいだのもつかの間、18:51に終点の中津川へと到着です。これより先は名古屋近郊でだんだん列車本数の多い区間へと入っていきます。

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中津川からは18:55発の中央西線 快速 名古屋行へと乗り換えます。名古屋近郊らしく編成は長くなりましたが、引退が危ぶまれる211系での運行です。編成の端の方に行くと車内はかなり空いていました。

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快速とは言っても、途中の多治見までは各駅に停車していきます。その先も古虎渓、定光寺神領新守山以外は全て停車するため、どちらかと言えば快速アクティーのようにあまり普通列車との差がない快速と言えるかもしれません。中津川~名古屋駅間は約80kmも離れており、快速でも1時間以上かかります。

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そして20:18にようやく終点の名古屋へと到着。東海道本線中央本線関西本線といった主要路線を始め、新幹線・名鉄近鉄・地下鉄線も乗り入れる言わずと知れた大ターミナル駅です。

大きな街までやってきたので今日はここまで…!と言いたいところですが、翌日の行程の関係でこの日はさらに先へルートを進めなければなりません。

名古屋駅では「やっとかめ」の挨拶でおなじみのあの白衣鉄道さん@Lab_coat313)をはじめ、わたがし社長さん@watagashi_nh)、呑み鉄にゃんこさん@santa_neko)、ゆうさん@saxyyy1)と合計4名もの方がお出迎えしてくださいました! 特に最長片道切符経験者である白衣さんには旅のスタート前からたくさん応援やアドバイスをいただいていたこともあり、名古屋にて実際にお会いできたことでとても勇気づけられました。

短い時間にも関わらずみなさんからたくさん差し入れ等もいただき、本当にありがとうございました。

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さてこれより先、最長片道切符のルートは関西本線へと進んでいきます。続いて乗車するのは名古屋20:33発の快速〔みえ25号〕伊勢市です。

列車は定刻通りに名古屋を出発。わずか2両編成ということで、帰宅時間帯と重なっていたこともあり車内は大変混雑しておりました。快速みえ号には指定席も連結されていますが、短い時間の乗車ということで立って行くことにします。

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名古屋を出ると次は桑名までノンストップで走ります。

20:54に桑名へと到着し、ここで列車を降りて亀山方面に向かいます。快速みえ号は伊勢鉄道経由で津・松阪方面へと向かう列車のため、亀山経由のルートで作っている最長片道切符では桑名か四日市で列車を乗り換える必要があります。

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桑名からは20:58発の関西本線 亀山行へと乗車。これがこの日最後に乗車する列車となります。混雑を覚悟していましたが、先ほどの快速みえ号よりも長い4両編成だったこともあってか余裕で着席することができました。

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途中も車内は特に混雑することなく、21:43に終点の亀山へと到着。19日目の移動はここまでとなります。

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JR東海JR西日本の境界にもあたるこの亀山駅からは、線路が3方向に向けて伸びています。しかし亀山駅を跨いだ相互区間で列車が運転されることは基本的になく、この駅にやってくる列車は全て当駅始発&終着となるのです。

ともすればターミナル駅の様相を呈し、ホーム上も常に多くの人で賑わっている…と思いがちですが、実際はそんなこともなく、駅の敷地こそ広いものの駅の内外共にとても静かな印象を受けました。

f:id:watakawa:20211108233242j:plainこの日の宿は快活CLUB 亀山エコー店。県道28号線沿いにあるロードサイド店舗ですが亀山駅からもほど近く、十分徒歩圏内と言えます。

しかし入店してから気づいたのですが、何とこの店舗はシャワーがついておりませんでした。シャワー設備の有無については公式アプリでしっかり事前に確認していたつもりだったのですが、どこに泊まるか検討を重ねる中で他の店舗の情報とごっちゃになってしまっていたようで、気づいた瞬間は絶望しました…。大量の汗をかく夏にシャワーを浴びれないというのは本当に過酷です。

しかも亀山駅周辺にはめぼしい銭湯等もないようで、この日の入浴は諦めざるを得ませんでした。代わりに快活CLUBのフロントで販売している170円の「からだふき」を購入し、全身を拭い何とかごまかしましたが、結局この何ともスッキリしない感覚は翌日にも持ち越す羽目になってしまいました。

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そして夕食は名古屋名物の「みそかつサンド」(日本の食73品目)と「なごやん」「生なごやん」(日本の食74品目)です。どちらも名古屋駅で白衣さんとお会いした時にいただいてしまいました…!

みそかつサンドはかなりボリュームがあり、カツがやわらかくてとっても美味しかったです! また「なごやん」「生なごやん」はいずれも名古屋のお菓子だそうですが、「なごやん」は硬めで甘さ控えめなのに対し「生なごやん」はもっちりとした食感でとても甘く、これもとても美味しかったです!

名古屋の滞在時間が元々短い予定だったので名古屋グルメを味わえるか不安でしたが、何とかそれっぽいものにありつけて本当に感謝です。

 

というわけで今回の記事はここまで。

思えば19日目は豊橋から飯田線中央西線を走破し、最終的には亀山までやってくるというかなりハードな1日でした。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。