2023年3月19日(日)
本日は京葉線の東京駅へとやってきました。これから、昨日開業したばかりの「幕張豊砂駅」へ向かいます。
幕張豊砂(まくはりとよすな)駅は、2023年3月18日のダイヤ改正で京葉線の新習志野~海浜幕張駅間に誕生した新駅です。千葉県内では2010年に開業した成田スカイアクセス線の「成田湯川駅」以来13年ぶりの新駅となります。
幕張豊砂駅に停車するのは各駅停車のみ。特急・快速は通過となります。また東京駅から向かう場合、府中本町方面へ向かう武蔵野線の列車は幕張豊砂駅を経由しないので注意が必要です。
今回は東京12時54分発の各駅停車 海浜幕張行へ乗車していきます。ちなみに東京駅からはちょうど30.0km離れた位置にあるので、近くの駅まで快速で行ってから各駅停車に乗り換える方が早く着く場合があります。
列車は定刻通りに東京駅を発車。車内LCDの路線図にもしっかりと「幕張豊砂」の文字があります。
越中島を出ると列車は地下から一気に高架へ。この先京葉線はほとんどの区間で高架線を走行していきます。京葉線が「風に弱い路線」と呼ばれる理由でもあります。
東京都内最後の駅「葛西臨海公園」では、後続の特急〔わかしお9号〕を先に通します。わかしお9号は東京を出るとこの列車の終点である海浜幕張までノンストップのため、残念ながら幕張豊砂駅は通過してしまいます。
千葉県に入ると、すぐに夢の国が見えてきました。週末早朝の京葉線はこの夢の国への乗客で相当な混雑だろうと思いますが、昼間の時間は特にそのようなこともありません。
新浦安駅では数分停車し、後続の快速との待ち合わせを行います。時間帯にもよりますが、東京駅から幕張豊砂駅まで移動する場合はこのように途中まで快速で移動するのが賢明といえそうです。
1990年に全線開業を果たした京葉線。かつて「東京ベイライン」という愛称もあったようですが、現在では使われていません。ただし現在もなお東京湾沿いの景色の良い区間を走ることに変わりはありません。
一つ手前の新習志野駅を発車すると、LCDにはいよいよ「幕張豊砂」の文字が。新習志野・海浜幕張のどちらからも1.7kmほどしか離れておらず、郊外にしては比較的駅間距離の短い方ではないでしょうか。
到着直前、車窓左側には広大な車両基地が見えます。京葉線や武蔵野線の車両が多数留置されており、中には京葉線の209系の姿も確認することができました。
そして13時36分、ついに新駅「幕張豊砂駅」へと到着!!
私を含めかなり大勢のお客さんが降りました。
駅ナンバリングはJE13で、今回の開業に合わせ海浜幕張~千葉みなと駅間の各駅はナンバリングを1つずつずらす形となりました。
そして駅名標の右側にもある通り、この駅は「イオンモール幕張新都心」の最寄駅として設置されたのがその最大の目的です。
面白いことに、この駅は下り線と上り線でホームの高さが異なります。
下り(蘇我方面)ホームは地上とほぼ同じ高さにあり、短い階段を降りるのみで改札口へとたどり着けます。
一方で上り(東京方面)ホームは改札階から長いエスカレーター・階段を上った先にあります。
こちらが上りホーム。地上2~3階ほどの高さにあると思われます。
京葉線の東京方面のほか、武蔵野線に直通し西船橋・新松戸・武蔵浦和・府中本町方面へと直通する列車もこちらのホームを利用します。
ヨットの帆のような白い屋根は「膜構造」になっており、日中は自然光が差し込むようになっています。環境負荷を考慮し、消費電力を抑える取り組みの一つのようです。
上りホームからは、イオンモール幕張新都心を見渡すことができます。また駅前の広場やロータリーもかなり広く造られており、駅本体をかなり手狭な位置に造ったのとは対照的でゆとりがあります。
改札階には新駅開業をお祝いするポスターやイベント情報がずらり。コンセプトである「ゆったりとした時間が流れる新しい駅」と書かれたポスターは、見る角度によって駅舎のイラストが浮き出てくる仕様になっています。
また駅構内のいたるところに木目調のデザインが見られますが、こちらは千葉県産のスギを使用しており、中でもベンチには2020東京オリンピック・パラリンピックの選手村で使用された木材を再利用しているのだそうです。
精算機のそばには、同様に新駅開業をお祝いするヘッドマークもずらり。昨日実際に使われたもの…ではないと思いますが、鉄道ファンのみならず一般の方もカメラを向けていました。
改札口頭上には発車標があり、文字の書かれている部分は駅のデザインに合わせてか白い背景となっています。東京方面と蘇我方面とで時刻のフォント(全半角?)が異なっておりましたが、これはおそらく東京方面のみ路線名を表示する都合なのではないかと思います。
改札口付近には、昨日の出発式で使用されたと思われるプレートが置かれていました。プレートの後ろに回り込んで記念撮影も自由にできるようになっています。
自動改札機は4台並んでおり、スペースに対して少し余裕をもたせているように見えます。列車の到着時などは混雑することがあるかもしれませんが、基本的には十分な台数と言えそうです。
このうち1台は二次元コードに対応している(と思われる)最新鋭の自動改札機のようでしたが、どうやって使うのかパッと見ただけでは分かりませんでした…。一時期他の駅でも話題になったものとはまた少し形状が違うように思います。
駅の入口はこの1か所のみで、イオンモール幕張新都心に面する南側(海側)となります。
「幕張豊砂」という駅名は公募を元に決定されたもの。1万4000件を超える応募の中から第13位であったこの駅名が採用されました。ちなみに公募の中での第1位は「幕張新都心」で、これでも個人的には悪くないかなという気がしました。一方で「幕張ゲートウェイ」にも一定の応募があったようで、もし仮に本当に採用されるようなことがあれば二番煎じ感が否めないところでした(笑)。「豊砂」はこの付近の地名ですから、多くの人にとって納得のいく結果となったところかと思います。
券売機は3台で、このうち1台はチャージ専用のものです。みどりの窓口の設置はなく、また驚いたことに指定席券売機の設置もありません。一応あと1台設置することのできるスペースもあるにはあるようですから、今後に期待したいと思います。
改札を出ると、目の前にイオンモールがあります。上からも確認した通り駅前はかなり広々で、多くの人で賑わっています。駅前はまだ工事の囲いがあるところも多く、完成すればさらに広々とした駅前になるのではと思います。
広々とした駅前のバスロータリーからは、海浜幕張駅・稲毛駅・新検見川駅などへ向かうバス路線が確認できます。海浜幕張駅までは運賃100円のようで、これならJRよりも安く移動することができます。
イオンモールの館内でも駅の開業を祝う演出が随所に見られ、幸せな雰囲気に包まれています。
「イオンモール」というと郊外のロードサイドに建設されているようなイメージが強い一方で、鉄道駅の近くに開業したり、あるいはイオンモールがあることによってその近くを通る鉄道路線に新駅が誕生する、というケースも近年多く見られるようになってきました。幕張豊砂駅の場合はまさに後者であり、このほか同じく今回のダイヤ改正で岩手県に誕生したJR田沢湖線の「前潟駅」も同様に後者の理由となっています。
現在のところ駅周辺は商業施設や工業団地が多く、周辺人口としてはそれほど多くなさそうです。一方で駅舎と反対側には千葉県運転免許センターもあり、今後次第では「二俣川に行く」「鮫洲に行く」と同様に「幕張豊砂に行く」という隠語も生まれるかもしれません。
様々な可能性を秘めた新駅の今後に目が離せません!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。