わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【52年の歴史に幕】「ホリデー快速あきがわ号」ついに廃止へ…涙のラストラン

 

2023年3月12日(日)

本日はJR五日市線の終点、武蔵五日市駅へとやってきました。

今回はここから、〔ホリデー快速あきがわ号〕のラストランに乗車していこうと思います。

ホリデー快速あきがわ号は、1971年に「あきわ」として運行を開始。それまで地域の中で完結していた五日市線の列車が東京までの直通運転を開始したことは、当時大きな話題となりました。

1987年にJR東日本が発足し、1990年には現在に通じる「ホリデー快速」の呼称が登場。週末を中心に東京都心~武蔵五日市間を直通する行楽列車は「ホリデー快速あきがわ号」と名付けられました。五日市線営業キロはわずか11kmほどですが、沿線にはバーベキューやキャンプといったアウトドアを楽しめるスポットが数多く存在し、そうした行楽地への足として重宝されました。

2001年には〔ホリデー快速おくたま号〕とともに定期列車へと昇格し、土休日に年間を通じて運行されるようになりました。2007年から現在に至るまで「E233系」により運行され、全車自由席でありながらも東京都心部と西多摩エリアをつなぐ重要な存在であったことは間違いありません。

しかし、2023年のダイヤ改正でこのホリデー快速あきがわ号〕は廃止となることが発表されました。1971年にデビューした「あきかわ」から52年間に渡り続いてきた、五日市線の都心直通列車の歴史に終止符を打つこととなります。

最終運行となるのは、武蔵五日市17時21分発の〔ホリデー快速あきがわ6号〕東京行です。武蔵五日市を発車する時点では4両編成ですが、この先拝島で奥多摩からやってきた〔ホリデー快速おくたま6号〕6両編成を前方に連結します。

実は私、数年ほど前のある一時期に頻繁に武蔵五日市駅を利用する用事があり、この〔ホリデー快速あきがわ号〕は頻繁に利用していました。特に用事を終えて疲れた状態で駅に戻ってきた時に発車標に「東京」の文字が表示されていると「乗り換えなしで楽に帰れる!」と密かに嬉しく思っていたものです。今回この列車のラストランに立ち会うにあたり、当時の記憶もあれこれと蘇ってきました。

そんな私も含め、様々な人々の思いを乗せた列車は定刻通り17時21分に武蔵五日市駅を発車。東京までは55.5kmの道のりです。

ホリデー快速あきがわ号〕はまず五日市線内の全ての駅に停車します。青梅線内で通過駅の設定がある〔ホリデー快速おくたま号〕とは対照的ですが、こちら五日市線は途中駅の駅数がわずか5つしかなく、また沿線各駅にレジャー施設や商業施設等が分散しているということを考えると、このような判断は妥当でしょう。

途中駅の中には、上下列車の行き違いができる駅もあればそうでない棒線駅まで様々なです。しかし全ての駅に共通しているのは、これまで「土休日の夕方に東京行の直通列車が当たり前のように3本運行されていた」という点にあります。

武蔵引田~秋川駅間では、車窓右手に東京サマーランドの観覧車も見えます。五日市線の駅から歩いていくには少し遠い距離ですが、これも〔ホリデー快速あきがわ号〕の車内から見える景色として私にとってはおなじみの存在でした。

東秋留~熊川駅間では多摩川を渡ります。次第に拝島が近づいていますが、この辺りではまだ車窓にはっきりと見えるほど大きな建物群等はありません。

熊川駅を出ると、次は青梅線と合流する拝島駅です。

拝島駅での連結作業ですが、先に〔ホリデー快速おくたま号〕が停車しており、〔ホリデー快速あきがわ号〕はその後ろにくっつく形となります。東京都心部に列車の遅れを波及させないようにするためにも、ここは迅速かつ丁寧な作業が求められるところでしょう。

3回ほど停車を繰り返し、定刻通り17時45分に拝島駅へと到着。ホーム上で列車の撮影を試みる鉄道ファン、向かいのホームに停車している青梅行の各駅停車に乗り遅れまいと急ぐ地元の方、大勢で右往左往しながら恐る恐る乗り込む部活動の集団…など、あちこちで様々なドラマがいくつも同時に繰り広げられていました。

無事に定刻通り拝島駅を発車。ここから先は〔ホリデー快速あきがわ号〕にも通過駅の発生する区間となります。

拝島より先は西立川、立川、国分寺三鷹、中野、新宿、四ツ谷御茶ノ水、神田と停車して東京へ向かいます。西立川に停車させているのは国営昭和記念公園への旅客需要を鑑みてのことかと思われますが、もう辺りもだいぶ暗く、公園帰りと思われる乗客の姿はほとんどありませんでした。

立川駅到着前には、今回乗車している〔ホリデー快速あきがわ号〕が運行終了となる旨を含めた八王子支社のダイヤ改正の概要もアナウンスされていました。今年の改正では特急よりも普通・快速列車で各路線に大きな変化の生まれる八王子支社ですが、地元の方がどのように受け止めているかは気になるところです。

17時56分に立川駅へと到着。ここから先は中央線へと入ります。

立川駅では、この列車の1本後が17時59分発の〔むさしの号〕大宮行ということで、同一ホームでのスムーズな乗り換えができるようなダイヤになっています。ホーム上ではホリデー快速を見送ってむさしの号を待つ乗客がかなり多かった印象です。

単線ローカルの五日市線とは異なり、中央線は複々線かつ線路が直線的なため「特別快速」らしい走りが展開されます。辺りはすっかり真っ暗ですが、車窓が眩しくなる瞬間に駅の通過を実感することができます。

三鷹駅では、向かいのホームに快速列車が停車中。途中駅で随時快速列車を追い越すことで、東京都心部まで大幅な時間短縮が実現しています。

さて、まもなく新宿の高層ビル群が近づいてきました。中央線に入ると乗客も一気に増え、車内はそれまでの「行楽列車」としての雰囲気から変化し、「週末の夜の東京の日常の電車」という雰囲気に包まれます。

列車は18時22分に新宿駅へと到着。この先列車は快速列車と全く同じ停車駅となるため「快速」と案内されます。ただしホーム上の発車標は「ホリデー快速おくたま」の表示がありました(あきがわはなかった模様)。

中央線に若干の遅れが発車していたようで、列車間隔の調整のために新宿駅は少し遅れて発車。より一層車内は混雑し、乗客全体に対する鉄道ファンの割合はかなり小さくなっています。

列車は国立競技場や東京ドームシティ等、様々な建物群の中を縫って走るように一路東京を目指します。

 

みなさんにとってこの「ホリデー快速あきがわ号」とはどのような列車だったでしょうか。

私は沿線民でこそないものの、先にも述べた通り武蔵五日市方面へ出かける際には頻繁に利用しており、大変重宝していた思い出の列車です。「列車名がついているのに指定席がないとは…!?」と幼いころは不思議に思っていたものですが、「特急にするには短く、かといって各駅停車では時間がかかりすぎる」絶妙な距離感の西多摩地域への移動の快適性を格段に高めてくれた存在であると感じています。

これまで52年間、五日市線には何らかの形で東京都心部への直通列車が運行され続けてきました。しかしそんな当たり前の日常も今日でおしまいです。明日からの五日市線の列車の行先は、最も遠くて立川、そのほかは基本的に全て拝島までとなります。

せっかく東京都心部からそれほど離れていない好立地にありながら、直通列車が消滅してしまうことに残念な思いがあるのは確かです。今回の「ホリデー快速あきがわ号廃止」という判断が、秋川・檜原のレジャー施設衰退の一途を辿るきっかけとなることもないとは言い切れません。

一方で、鉄道は何よりも「地元の方々にとってより使いやすいダイヤに」なることが第一です。都心部で発生した人身事故等の影響で末端の五日市線にまでその遅延が波及することも、これまで幾度となく起こってきたでしょう。直通運転を打ち切ることでそうした影響の拡大を最小限にとどめることができるようになるわけですから、そう考えれば決して悪いことばかりでもないように思います。

現に今日の最終列車でも、終点の一つ手前の神田駅で遅延が増大し、列車間隔調整をする必要が生じていました。本数の多さの割に中央線東京駅のホーム容量が極めて少ないことを考えると、こうした事態ももはや日常茶飯事であったことは想像に難くありません。

18時40分頃、列車は定刻よりも4分ほど遅れて終点の東京駅に到着。

これをもって、ホリデー快速あきがわ号〕としての33年の歴史、また五日市線の東京都心直通運転の52年の歴史についに幕を下ろしました

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。