わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【謹賀新年】一夜限りの夜行特急「外房初日の出号」で南房総へ!

 

2022年12月31日(土)

令和4年の年の瀬、大みそかの夜。今回は新宿駅にやってきました。

2022年も残すところあと50分ほど。渋谷では日本を代表するアーティストの皆様による素晴らしい歌合戦が行われている頃ですが、私はこれからとある「夜行列車」へと乗車していきます。

その夜行列車とは、新宿23時53分発の特急〔外房初日の出号〕千倉行です。ギリギリ日付を跨ぐ前に新宿駅を出発することになりますので、列車の中で年越しの瞬間を迎えられる臨時特急列車です!

ホームに向かうと、ちょうど列車が入線。普段房総方面の特急列車として活躍する、E257系500番台(5両編成)での運行となります。発車時刻の30分以上も前に入線してきたのには驚きました。

この列車のポイントは、単に座席夜行列車であるだけでなく、普段定期特急列車の乗り入れがない千倉駅まで直通運転を行うこと。東京~安房鴨川駅間では特急〔わかしお〕が、新宿~安房鴨川駅間では臨時特急〔新宿わかしお〕が頻繁に運行されていますが、安房鴨川よりもさらに先へ特急車両が乗り入れることはなかなかありません。

途中停車駅は秋葉原錦糸町船橋津田沼、千葉、蘇我安房鴨川。主に安房鴨川駅周辺・千倉駅周辺で初日の出鑑賞を行うために概ね毎年運行されている列車です。

直近7年間の運行をまとめると、上表の通りとなります。いずれも終着駅は千倉ですが、始発駅および時刻に細かな変更が生じているのです。

これまで外房初日の出号は基本的に、新しい年が明けて未明に東京都心を出発するダイヤとなっていました。新宿駅を午前3時台に出発しており、深夜帯の運行とはいえ「夜行列車」と呼ぶにはやや的外れな列車でした。

しかし新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2021年は年末年始間際に運行が取りやめとなる異例の事態に。また翌2022年は珍しく両国始発で運行され、出発時刻・千倉駅到着時刻とも大幅に繰り上げられました

そして今年、2023年は3年ぶりに新宿始発での運行が復活したことになりますが、その発車時刻は3年前から大幅に繰り上げられ、遂に日付を越える前(=大みそか)の発車となったのです。3時台ならまだしも、23時台の発車となればこれは「夜行列車」と呼ぶにふさわしいダイヤと言えるのではないでしょうか。

列車は乗客をのせ、定刻通り23時53分に新宿駅を発車。東京・後楽園にある大きなドームでは今ごろキラキラした男性アイドルの皆様によるカウントダウンライブが開かれていることと思いますが、そんな盛り上がりとは対照的にこちら列車内は大変静かです。

先述の通り外房初日の出号は全車指定席ですので、事前に座席の指定を受けた有効な特急券が必要となります。一方、普段同形式の車両で新宿駅へと乗り入れる〔新宿わかしお〕〔新宿さざなみ〕には自由席の設定があるため、今回の列車には自由席特急券で乗車できない旨を繰り返し車内放送にて案内していました。

座席は全て発売済みとのことでしたが、まだ新宿駅を発車する時点では空席もあちこちに見られる状態です。この先の停車駅から多くの乗車が見込まれているものと思われます。

 

2023年1月1日(日)

新宿駅を出てまずは中央線・総武線を進み山手線の円の真ん中を横切っていきます。その途中でちょうど年越し(0時)の瞬間を迎え、何と車掌さんより2023年の幕開けを告げるアナウンスがありました! これは予想外でしたので大変驚きました。

2023年に入り、列車は秋葉原錦糸町など各停車駅でどんどんお客さんを乗せていきます。まだこの辺りでは総武線の最終列車を待つ乗客の姿がホームで見られ、聞きなれない行先を掲げた謎の特急列車の入線に目を丸くしている方もいました。

千葉県内に入ると船橋津田沼…と停車。新宿~千葉駅間においては、普段運行されている臨時特急〔新宿わかしお〕〔新宿さざなみ〕と相違はないようです。

津田沼駅ホームの発車標では普段とレイアウトが異なっており、後続の臨時特急〔犬吠初日の出号〕銚子行と文字数が同じであるにも関わらず千倉だけが右に少しずれたデザインとなっていました。

新宿駅を出て約1時間、0時48分に列車は千葉駅へと到着。駅構内に乗客の姿はまばらですが、どのホームも煌々と明かりがついており、ここからも多数の乗車がありました。

新宿駅を3時台に出発していた頃との違いとしては、途中駅で降車する乗客がほとんどいなかった点です。

以前は都内で開かれる年越しイベント・ライブ・初詣等の終了後に千葉県内の自宅へ帰るための手段として、初日の出列車がホームライナー的な使い方をされることは少なくありませんでした。しかし新宿駅の発車時刻が23時台ともなるとそうした使い方をすることは極めて難しく、結果的に初日の出鑑賞をする乗客(と鉄道ファン)でほぼ全ての座席が埋め尽くされる状態となりました。

0時57分に蘇我駅へと到着。隣のホームには京葉線の電車が停車していましたが、既に1日の業務を終えて車内は消灯されているようでした。

1時00分に蘇我駅を出発し、いよいよ車内はどこを見渡しても空席がほぼ見当たらないほどの満席状態となりました。

そしてここで、何と車内の照明を落とすサービスが行われました。一般的に座席夜行列車においては、防犯上の都合等から車内の照明は一晩中明るいままであることが多いため、これは驚きました。頭上の照明のうちいくつかに1つは明るいままなので、車内が完全に真っ暗というわけではありませんが、確かにこの程度の照明の落とし方であれば防犯上のメリットも損なわれず、かつ乗客にとって休みやすい空間と言えそうです。

その後しばらく意識を失っておりましたが、ある時はっと気づき目が覚めると列車は上総一ノ宮駅に停車中。ドアは開かず、時間調整のための運転停車のようです。隣には京葉線E233系の夜間滞泊が行われておりました。時間帯的に駅としての営業は終了しているはずですが、ホームの明かりはついています。

そこから再び意識を失い、再び目が覚めるとそこは勝浦駅。ここもやはり運転停車のようです。ホームの明かりが眩しくてこまめに目が覚める感覚はまさに往年の夜行快速列車を彷彿とさせます。こちらには209系の夜間滞泊が行われておりました。

そこからさらに進み、2時39分に安房鴨川駅へと到着。外房線内房線の境界駅で、一般的に特急列車がこの駅を跨いで運行されることはありません。ここ安房鴨川では21分間停車します。

運転停車ではなくしっかりとした客扱いの停車ですが、ホーム上の発車標には特にこの列車に関する情報等は表示されていませんでした。

真っ暗な深夜の安房鴨川駅。外の気温は3℃ほどしかなく、暖房の効いた車内から出てくると凍えそうなほどの寒さです。一般の乗客の多くは車内でお休みになっていますが、鉄道ファンを中心にホーム上では撮影会状態となっていました。こうした光景を見ると、下りのムーンライトながらが深夜の浜松駅に30分ほど停車していたのを思い出します。

一方、終点の千倉駅まで乗車せずにここ安房鴨川駅で下車する乗客も一定数います。しかし初日の出の時刻まではあと4時間ほどあり、深夜の鴨川の街に放り出されるのはあまりにも酷と言わざるを得ません。

そこで安房鴨川駅の1番線を利用し、209系(8両編成)を待合室として開放する取り組みが行われていました。こちらは安房鴨川を6時00分に発車する外房線の千葉行となる列車で、もし万が一車内で寝坊した場合は初日の出を見れないどころか千葉へ連れ戻されるということになります(笑)。

8両編成と長いこともあってか、この209系待合室が混雑している様子は特に見られませんでした。ボックスシートロングシートなど休みやすい態勢を考えて座席を選ぶとよさそうです。

3時00分に列車は安房鴨川駅を発車。確かに車内が少し空いた感覚がありますが、鉄道ファンとしてはむしろこの先の区間の方が普段E257系の走行しない区間ですから貴重と言えます。

3時30分、定刻通り列車は終点の千倉駅に到着。1年のうちで一度限り、特急列車が千倉駅にやってくる貴重な瞬間です。

しかし初日の出の時刻まではまだ3時間以上あり、外は変わらず極寒です。そこで、ここまで乗車してきたE257系の車内に5時50分頃まで滞在できるようになっており、列車が千倉駅に到着した後も2時間ほど多く仮眠を取ることができます。

時刻表を見るだけでは終点駅に3時台に到着するため過酷にも思える列車ですが、実際には季節柄も鑑みてしっかりと考慮されていることがよく分かります。

私もこれを利用して、2時間ほど長く列車の中に滞在しておりました。しかしこれから初日の出が見られるという興奮のあまりそれほど深い眠りへと至ることができず、残りの時間は徒にスマホをいじったりしておりました。

やがて滞在時間はリミットを迎え、駅の外へ。もちろん日の出前ということで、まだ辺りは真っ暗です。駅前では小規模ながら屋台が出ていました。

千倉駅から海岸までは徒歩10分ほど。街灯も少ないため見通しは良いとは言えませんが、前の人についていけば迷うことはあまりないと思います。

6時頃、瀬戸浜海岸へと到着。太平洋に面した初日の出スポットで、既に東の空が少し明るくなってきています!

列車の到着から既に2時間以上が経過していることもあり、砂浜にはそれなりに多くの人がいます。また外房初日の出号だけでなく車でやってきている人も多いと思われます。

しかし砂浜なのでとても広大で、混雑や密を感じることは全くありません。人口密度としては銚子市犬吠埼の初日の出と比べると格段にマシだと思います。

そして…ついにその瞬間が!

7時07分頃、一筋の眩しい光が海岸にいる人全員を目いっぱい照らしてきました。無事に日の出を迎え、雲の後ろからのご来光を見届けることができました。

この景色が美しいことは言うまでもありませんが、同時にそのエネルギーを全身で浴びることで、幸せで実りある1年にしていきたいと心から願うことができました。

 

今回はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました。

2023年も「わたかわ 鉄道&旅行ブログ」をどうぞ宜しくお願い致します!!