2022年12月2日(金)
今回は、友人とともに1泊2日の箱根旅行へと出かけていきます!
旅の始まりは小田急小田原線の海老名駅。まずはロマンスカーで箱根湯本へと向かいます。
ロマンスカーというと、東京都内にお住まいの方は新宿駅から乗車する場合が多いかと思います。一方で小田急線の通っていない横浜市に住む私にとって、ロマンスカーは少々使いにくいのも事実。
そんな時には、横浜方面から海老名まで相鉄本線を使うのが便利です。わざわざJR等でいったん都内へ出るよりも、この方が時間的・金銭的にも負担が少ないルートですのでオススメです!
ただしロマンスカーは、便ごとに停車駅が異なります。海老名駅にも一部のロマンスカーは停車しますが、今回の行程においてはちょうど良い時間の海老名からのロマンスカーがなかったので、普通列車で2駅隣の本厚木駅へと移動してきました。
まず乗車するのは、本厚木9時24分発の特急〔はこね5号〕箱根湯本行です。上に表示されている「急行」と同じ赤色の表示ですので、乗り間違いには注意しましょう。
本厚木駅では現在、ホームドアの設置工事が進められています。下りホームから先行して進められているようで、列車がホームにいない間もドアが常に開いたままの状態です。ホーム上には係員の方が数名待機して列車の到着時・発車時等に安全確保を行っていました。
さて、いよいよ2番ホームに今回乗車するロマンスカーがやってきました!
1996年にデビューした小田急30000形(通称”EXE”)で、現存するロマンスカーの車両としては最も古い形式のものです。
途中駅ということで停車時間はわずかのため、すぐに乗車。列車は定刻通りに本厚木駅を発車していきます。
車内には2+2列のシートが並びます。照明の雰囲気やカーテンの模様等、随所に古さを感じるものの、それでも平成に入ってからのデビューですので車内は清潔に保たれています。
特急車両ですが、背面テーブルはありません。その代わりインアームテーブルが備わっており、背面テーブルよりやや劣るものの食事等をするにはそれほど不便がない大きさといえます。
リクライニングの角度がやや浅いのは、他のロマンスカーとの大きな違いでもあります。若干の物足りなさはありますが、しかし快適性が大きく損なわれるほどでもありませんので、それほど大きな問題ではなさそうです。
デッキ部分にはカウンターがありますが、現在は人もおらず営業を取りやめています。冷蔵ケースのようなものもあるので、かつてはここで飲み物や軽食等を販売していたのでしょうか。せっかくならば一度は使ってみたかったものです。
今回はインターネット予約サービス「ロマンスカー@クラブ」にて事前に特急券を予約の上、駅で発券して乗車しています。小田急では2022年10月よりロマンスカーの特急料金が改訂されており、本厚木~箱根湯本駅間の場合は従来の720円から850円(約2割の値上げ)になりました。
なお、ロマンスカーは行先等にかかわらず全車指定席での運行です。事前に特急券を購入せず飛び乗ると、車内で350円増しの特急料金を支払う必要があるため注意しましょう。
また、箱根旅行にはこの「箱根フリーパス」も欠かせません。これは任意の発着駅から小田原までの往復乗車券のほか、箱根エリアのあらゆる乗り物(路線バス、ケーブルカー、船等)が乗り放題になる夢のような企画乗車券です。
小田急線内を発着駅とするものについては有名ですが、実は同様に相鉄線内を発着駅とするものも発売されており、海老名駅・湘南台駅を除く相鉄線各駅からも利用することができるようになっています。諸般の事情で今回の私の発着駅については伏せますが、相鉄線内からの場合は2日間有効の場合だと5,910円から、3日間有効の場合だと6,310円から販売されています。
なお、箱根フリーパスはあくまでも乗車券としての効力しかありません。ロマンスカーを利用する場合には、今回のように別途特急券を購入する必要があるので忘れないようにしましょう。
あいにく雲一つしかない空ですが、列車はのどかな景色の中を走行していきます。
繰り返しになりますが、ロマンスカーは便ごとに停車駅が異なります。今回乗車している〔はこね5号〕は新宿を出ると途中新百合ヶ丘、相模大野、本厚木、秦野、小田原に停車します。平日と土休日でも運行時刻・停車駅・列車号数等が大きく異なりますので最新の情報を確認するようにしてください。
9時55分に小田原駅へと到着。新宿から続く小田急小田原線はここが終点となりますが、線路はまだ続いており、この先は箱根登山鉄道へ乗り入れていきます。
新宿からここまで10両編成でやってきましたが、ここで後4両が切り離されます。平日の午前中ということもあり、ギャラリーはまばらでした。
5分ほど停車し、小田原駅を発車。左手にはJRの架線越しに小田原城が見えます。
小田原~箱根湯本駅間は、時刻表上では全てのロマンスカーがノンストップで運行されることになっています。しかし実際には単線区間のため、途中駅で運転停車が行われ列車の行き違いや時間調整を行うことがあります。
「登山鉄道」の名にふさわしく、勾配やカーブがきついため、列車はかなりゆっくりと走ることになります。後方車両に乗車していると、窓から先頭車両の姿を確認することができるほどです。
やがて温泉街が見えてくると、まもなく終点の箱根湯本に到着します。山あいに旅館や大きなホテルが立ち並ぶ光景はテンションが上がります!
10時17分、列車は定刻通りに終点の箱根湯本駅へと到着です。列車は折り返し準備・清掃作業の後、新宿行の上りロマンスカーとして発車していきます。
箱根エリアの交通が集まる重要なターミナルとなっているのが、この箱根湯本駅。ロマンスカーから接続する形で各方面への路線バスや旅館への送迎バス等がひっきりなしに発着します。また駅前を通る国道1号線は毎年1月2日・3日の箱根駅伝の際のコースにも組み込まれており、テレビ中継でアーチ状の屋根のすき間からロマンスカーが姿を見せることでも知られています。
ロマンスカーとしてはここ箱根湯本駅が終点ですが、これより先も箱根登山鉄道の線路は続いています。というかむしろこれより先がより「登山鉄道」らしい区間となっており、駅を出るとすぐに急勾配を上っていく列車の姿を見ることができました。
というわけで、駅に戻りさらに先へと進んでみましょう。
乗車するのは箱根湯本10時49分発の強羅行です。何だか強そうな行先ですね。
箱根登山鉄道には様々な車両が走っていますが、中でも今回乗車する列車は箱根登山鉄道3000形(通称”アレグラ号”)です。2014年にデビューした新しい車両で、大きな窓が特徴です。
車内には4か国語に対応したLCDも設置。海外からの観光客にとっても優しい仕様になっています。
運良く前面展望席を確保することができたので、強羅まで45分間の旅を楽しみたいと思います。列車は定刻通りに箱根湯本駅を発車し、ポイントを渡って右側の線路へと進んでいきます。
途中の停車駅は塔ノ沢、大平台、宮ノ下、小涌谷、彫刻の森です。勾配・カーブともにロマンスカーの走る区間とは比べ物にならないほどキツく、途中スイッチバックを3回行います。また線路が狭軌ではなく標準軌となっており、この点からもロマンスカーの箱根湯本以西への乗り入れは物理的に不可能となっています。
トンネルを抜けると、すぐ最初の停車駅である塔ノ沢駅のホームがあります。トンネルとトンネルに挟まれた短いホームでは、行き違いとなる箱根湯本行の列車が停車していました。
塔ノ沢駅を出ると、早川渓谷に架かる出山鉄橋を渡ります。沿線屈指の絶景スポットとしても知られています。
鉄橋を渡った先で大きく右にカーブを描き、いよいよ1回目のスイッチバックポイントへと差し掛かります。画像右側に続いているのが強羅方面へ向かう線路で、肉眼でもはっきりと坂道になっていることがわかります。自動車ならまだしも、鉄道でこれほどの勾配はまず見ることがありません。
ゆっくりと進入していくこちらは、出山信号場。ホームのようなものが見えますが、駅ではなくスイッチバックをするだけなので乗降はできません。
スイッチバックを終えると、それまで先頭車両だった部分が一番後ろの車両になります。それまでと逆向きの姿勢で急勾配を上り、次の大平台へと向かいます。
大平台駅の手前で、今度は進行方向左側から合流してくる線路を確認することができます。そう、2回目のスイッチバックポイントはこの大平台駅となっているのです。
大平台駅に到着するやいなや、隣のホームに停車していた箱根湯本行の列車が発車。ここで上下列車の行き違いもできるようになっています。私の乗る列車が通ってきた道を進んでいく様子がちょうど車内から確認できましたが、改めて見てみてもかなり急な坂です。
では意を決し、私の乗る強羅行も大平台駅を発車。2回目のスイッチバックを経て、再びこちら側が前面展望となりました。
大平台駅からさらに進むこと数分、早くも3回目のスイッチバックが行われるポイント「上大平台信号場」へと到着です。出山信号場と同じくホームのようなものはありますが、やはり乗降はできません。
面白いことに、信号場でありながら駅名標のようなものが設置されていました。スイッチバックおよび行き違いの停車中に暇をすることもありません。
3回目のスイッチバックを終え、最終的に私の座る座席は後面展望となった状態で宮ノ下駅に到着。ここではかなりの数の観光客の方が降りていかれました。
続いては小涌谷駅へ到着。ここも箱根駅伝の中継ではよく聞く地名ですね。
実は箱根湯本駅を出てからここまでに40分近くかかっており、路線バスで先回りをすると同区間は約15分ほどで移動することができてしまいます。線路だけでなく道路の方も大変な急勾配のはずですが、現代の土木技術は凄まじいものです。
彫刻の森駅でも箱根湯本行の列車と行き違いを行いました。
箱根湯本~強羅駅間は全区間が単線でありながら日中の運行本数は4本/時と比較的多く、駅や信号場でタイミングよく行き違いできるようなダイヤになっていることがよく分かります。
11時34分、列車は定刻通りに終点の強羅駅へと到着。距離にして約9キロ、平坦な都市部を走る通勤電車なら10分もあれば走れてしまう距離に45分もの時間をかけて走ってきたことを考えれば、この道のりがいかに大変かお分かりでしょう。
強羅駅の標高は541メートル。箱根湯本駅が標高96メートルでしたから、この9キロで約450メートルも上ってきたことになります。平均すると20メートル進むごとに標高が1メートル上がっていた計算です…!
山小屋のようなフォルムが印象的な強羅駅は、関東の駅百選にも選ばれています。2020年6月に来訪した際は箱根登山鉄道が運休だったため代行バスでしたが、ここまでしっかりと線路の上を走り、リベンジを果たすことができました。
ちょうどお昼時でしたので、駅近くの飲食店でかき揚げそば(1,300円)をいただきます。
別皿で運ばれてくるかき揚げはとんでもなく巨大で、食べ応えがありました!
この後はさらに乗り物を乗り継いで先へと進んでいきますが、続きは次回とします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。