わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

【9月23日開業予定】西九州新幹線全駅を”開業前”に訪問。駅舎・駅前は出来上がっているのか!?

 

2022年8月13日(土)

本日やってきたのは長崎駅長崎本線の終点駅であり、また大村線方面へと直通する列車も乗り入れるターミナル駅です。

2020年3月に全面高架化を果たした長崎駅。新たな駅舎はそれまでよりも西方へと移り、正面出入口は駅の西側に設けられています。

いよいよ2022年9月23日、西九州新幹線が武雄温泉~長崎駅間で開業します。70kmにも満たない短い区間ではありますが、途中には3つの駅が設置され、武雄温泉駅では博多方面へと結ぶリレー特急にて対面乗り換えが予定されています。

そこで開業まで約1ヵ月に迫った今、あえて「開業前」に西九州新幹線の各駅を巡り、その完成具合や現地の盛り上がりをたっぷりお届けしてまいります!

まずは長崎駅から。こちらは2年前の高架化により洗練されたデザインへと生まれ変わった長崎駅コンコースです。休日の朝ということで人影はまばらですが、その分新しく綺麗な長崎駅舎内をじっくり見ることができます。

在来線の券売機の脇には、開業までの日数を示したカウントダウンボードも。訪問日は2022年8月13日でしたので、開業まで「あと41日」となっていました。

新幹線改札口の前には緑色の柵こそ立てられているものの、自動改札機や券売機の位置等も外からはっきりと分かる状態で気分が盛り上がります。券売機の左側には待合室が設けられるようです。

自動改札機は正面から見る限り2レーンしか見えませんが、おそらく死角になっているだけでもう数台はあるのだろうと思います。新幹線ホームは何と11~14番線まであるんですね…地理的にこれより先への延伸計画もないはずですので、やや過剰設備な気もしてしまいます。

それでは移動を開始していきます。もちろんまだ新幹線へは乗れませんので、隣にある在来線乗り場から入ります。長崎エリアでは交通系ICカードが使えますので、Suicaでまずは次の新幹線停車駅である諫早へと向かいます。

在来線改札口を入りすぐ左手には、新幹線乗り換え改札も確認できます。新幹線・在来線ともに終着駅である長崎駅ですが、乗り換え改札が設置されるというのは何とも不思議です。恐らく新幹線に乗って長崎駅へ到着し、そこから普通列車で少し来た道を戻るような形で浦上・長与方面等への乗り継ぎが想定されているのかもしれません。

また新幹線の発車標には「新鳥栖・博多方面」と書かれているのも面白いところ。単に「諫早」や「武雄温泉」等といった西九州新幹線内の主要駅は表記されておらず、一日も早くフル規格で博多へ直通させたいであろうJRの思惑すら見て取れます(笑)。

在来線ホームは1~5番線で、この構造自体は新幹線開業後も大きく変わることはないでしょう。

しかし、発車標は「特急」と「快速・普通」に分かれています。新幹線開業後はこの駅に特急が来ることはほとんどありません(観光特急「ふたつ星4047」くらい)ので、現在の仕様の発車標が見られるのもあとわずかです。

まず長崎駅から乗車するのは、8:27発の特急〔かもめ8号〕博多行です。言うまでもないことですが、在来線特急〔かもめ〕は新幹線開業により廃止される予定で、その最終運行日は新幹線開業前日の2022年9月22日となっています。

在来線ホーム上の発車標には「佐賀・博多方面」の文字が残っているものの、果たしてこれが新幹線開業後どうなるかは気になるところです。しかしまぁ特に途中の区間が経営分離されるわけでもありませんので、特急が廃止されようとこのままの気もします。

在来線特急〔かもめ〕には主に白い885系と黒い787系の2種類の車両が使われていますが、新幹線開業後はそもそも長崎本線肥前浜以南が非電化となるため、これらの車両が長崎駅へやってくることは物理的に不可能になります。

今回は4号車の自由席へと乗車。定刻通りに長崎駅を出発です。

列車は長崎駅を出ると、すぐに次の浦上駅へと停車します。ここも長崎駅高架化に伴い高架化された駅ですが、こちらには新幹線の駅は設置されません。

長崎~諫早駅間の営業キロは24.9km。JR九州では25km以内であれば自由席特急料金が500円と比較的リーズナブルに設定されており、この区間はギリギリこれに当てはまります。新幹線開業後も特定特急料金が適用されるかとは思いますが、それでもワンコインとはいかないでしょうから、こんな何でもない自由席特急券さえ将来的には貴重になるかもしれません。

浦上~喜々津駅間では長崎本線が二手に分かれており、特急〔かもめ〕は全て新線の方へと進みます。新線の方が山を貫くように直線的に線路が敷かれており、何とトンネル内で列車の行き違いを行うこともできるのです。

19分間乗車し、8:46に諫早駅へと到着。ここへ降り立つのは最長片道切符の旅以来ということもあって、懐かしさがこみ上げてきます。

諫早駅は2面4線の地上駅。ホーム上には様々な両数に対応した特急〔かもめ〕の乗車位置案内が掲げられていますが、こうした日常の風景もあとわずかで見納めです。

改札階へと上がってくると、現在の出口とは別に青色の柵の向こうに新幹線乗り換え改札口があるのが確認できました。現在はホームから上がってくると向かって左側が有人改札口ですが、新幹線開業後はこの機能が反対側へと移り、新幹線・在来線で共通のものとなるようです。

在来線の改札口を出て右側から回り込んでみると、そこにははっきりと「新幹線のりば」の文字がありました! シャッターが下ろされているので中の様子は詳しくは分かりませんが、丁寧に「2022年秋 新幹線開業」という文字も貼り付けられており、これさえ剥がせばいつでも新幹線駅としてスタートを切れる準備はできているように見えます。

諫早駅では長崎駅と同じく西口側が新幹線駅舎となっており、その外観自体はほぼ完成しているようでした。一方で駅前の広場のようなスペースは今なお重機の姿があり、整備が進められています。

諫早駅の街の中心は東口の在来線駅舎側で、こちらには大きなバスロータリーもあります。2018年にできたためこちらも新しく、新幹線の全列車が停車する駅としての十分なポテンシャルを感じ取ることができます。

他にも「新幹線」の文字は既に駅舎内の至るところで確認することができ、新幹線開業を前にその熱気の高まりを感じることができます。

続いては次の「新大村駅」へと向かうべく、大村線を利用していきます。これより先は現在の在来線特急〔かもめ〕とは異なるルートを進んでいくことになります。

乗車するのは、諫早9:07発の大村線 早岐です。「イカ釣り漁船」の異名をもつYC1系ワンマン列車がやってきました。

列車は定刻通りに諫早駅を発車。まもなくすると長崎本線と分かれ、大村線を進んでいきます。

車窓右手には立派な西九州新幹線の高架も見えます。新幹線は直線的に走るため、目の前に山や丘があればまっすぐトンネルで貫きますが、大村線は古くからある線路ですので海岸に沿ってくねくねと進んでいきます。

列車は大村駅へと到着。それなりに乗降もあり主要駅であることが窺えますが、新幹線のホームが設置されるのは大村駅ではなく"新"大村駅ですので、まだ降りずに進んでいきます。

大村駅を出てしばらくすると、次の諏訪駅が見えてきました。そしてちょうどここで、右側からやってきた新幹線の高架が合流してきます。うまくすればここに新幹線のホームを設置できそうにも見えますが、新大村駅はここではありません。

新幹線のホームが見えてきたのはその直後。そう、「新大村駅」は新幹線開業にあわせ設置される、完全なる新駅なのです。大村線の方では諏訪~竹松駅間に新幹線接続駅として在来線ホームが設置されることになります。

9:25に竹松駅へと到着。ここから少し後戻りする形で、竹松駅から歩いて新大村駅を見に行きたいと思います。

竹松駅のホームは上下線がややずれた位置にあり、列車交換が行えるようになっています。一部列車はこの駅を始発・終着として運行しているようです。

竹松駅を出て左へと曲がり、静かな街の中を歩き進めていきます。この日は朝から大気の状態が不安定で、ときおりザっと雨が降る瞬間もあり、この竹松駅周辺徒歩の際にそうならなければよいなと気をもんでいたところでしたが、幸運にもこのタイミングでは雨はやんでいてくれました。

途中には大村線の踏切があり、これを渡って新幹線の線路の東側へと回り込むことにします。

竹松駅から歩くこと約10分、ついに大村駅の駅舎が見えてきました!

二等辺三角形と台形を組み合わせたお洒落なデザインの駅舎外観は概ね完成しており、駅前のロータリーも完成間近といった様子。一応駅舎の近くは立入禁止になっており、すぐ近くへは近づけないようになっていますが、歩行者用通路からでもその姿ははっきりと確認することができます。

駅前には「来たいがふくらむ、おおむら」というキャッチコピーの書かれた大きな看板が設置されています。「西九州新幹線」ではなくあえて「九州新幹線西九州ルート」という呼称が用いられていることに、何か深い意味はあるのでしょうか。

一方で東側(内陸側)の駅前を見てみると、駅前一等地にほぼ建造物は見当たらず、更地になっています。これからあと1ヵ月でゼロから何か商業施設やホテル等が造られるとは思えませんので、この光景はおそらく新幹線開業後もしばらく変わらないものと思われます。

ホームを横から見ることのできる場所に来ました。在来線ホームに関しては1面1線で、こちらも基本的な構造はほぼ完成しているように見えます。諏訪~竹松駅間は今のままでもとりわけ駅間が長いというわけではありませんので、この新大村駅の開業によって諏訪~新大村駅間・新大村~竹松駅間それぞれが大村線としてはかなり短い駅間になることでしょう。

駅舎の西側へと回ってきました。こちらもデザインは反対側とほぼ同じで、駅前ロータリーの規模も同等に見えます。しかし東西で駅前の様子を見比べてみると、東よりも西の方が駅前に住宅が多く、更地が広がる東側に比べれば駅前の人口が多い西側の方がより多くの利用を見込めるのではと感じました。

また、新大村駅の近くにある交差点を見てみると道路看板に「長崎空港」の文字も。

長崎県の空の玄関口である長崎空港は、実は長崎市内ではなく大村市内にあります。ゆえに長崎市内からはかなり距離があり、空港リムジンバスが直結しているものの所要時間は45分程度かかり決して近いとは言えません。

一方でこの新大村駅は、長崎空港からかなり近い位置にある新幹線駅と言えます。そこで一部報道では、新幹線開業に合わせ大村市長崎空港~新大村駅間を結ぶ予約制タクシーの運行を開始する予定であると報じています。尤も、空港~市内の移動がバスのみであればまだしも、タクシー+新幹線となれば仮に実際の所要時間が短縮されたとしても心理的な距離を感じざるを得ないため、この新大村駅での乗り継ぎアクセスルートが空港利用者にどこまで受け入れられるかは疑問が残ります。

そこから歩いて、竹松駅へと戻ってきました。駅舎は無人の状態ですがSUGOCAの簡易タッチ機は設置されています。

しかし実はSUGOCAをはじめとする交通系ICカードが利用できるのは竹松以南のみで、これから進む竹松以北の区間は券売機にて乗車券を購入しないといけません。というわけで、忘れずに280円のきっぷを購入しておきます。

大村駅の新幹線ホームをバックに、竹松10:58発の区間快速シーサイドライナー〕がやってきましたのでこれに乗車していきます。新大村駅の次の目的地は嬉野温泉です。

新幹線開業に合わせ、実は大村線では新大村駅の他にもう1つ新駅が誕生します。その名も竹松~松原駅間に設置される「大村車両基地」。車両基地の名前がそのまま駅名になってしまうというのも驚くべきことですが、駅が設置される予定の区間を通るとまさに真新しい1面1線のホームが確認できました。

この「車両基地」とはもちろん西九州新幹線車両基地で、新幹線開業後は一部の列車が新大村発着で運行されるようです。

松原駅を出ると、車窓左手には大村湾の絶景が広がります。これが何と言っても大村線の最大の見どころで、入り組んだ地形に沿ってギリギリのところを進んでいきます。

途中にある千綿駅は、海が近くにある駅として2014年に青春18きっぷのポスターにも採用されています。駅舎の方もかなり風情があり、一度機会があれば降り立ってみたいところです。

列車は11:14に彼杵(そのぎ)駅へと到着。初見ではなかなか読めない難読駅名です。

実はこれから向かう嬉野温泉は、今現在鉄道の通っていない街なのです。新幹線の線路は新大村を出ると武雄温泉方面へ大きく右に曲がっていくため、この先大村線にいくら乗り続けても新幹線の線路や駅が見えてくることはありません。

そこで彼杵駅からは、路線バスを利用して嬉野温泉へと向かっていきます。ホーム上にはその旨を記した看板があり、フォントやデザインからみてかなり古くからある看板のように見えます。

駅舎を出ると、目の前に真っ赤なJR九州バスの車両が停車していました。発車時刻の20分も前ですが、既に乗車できるようです。

時刻表を見てみると、本数は平日・土休日ともに1日わずか7本。午後は4時間ほど開くところもあり、しっかり前もって時刻を調べてからいかないと待ちぼうけを喰らうことになります。果たして新幹線ができた後、これらのバスがどうなるのかも気になるところです。

バスは定刻通り、11:35に彼杵駅前を発車。乗客は私のほかもう1名のみで、様子を見るにどうやら同業者の方のようです。ちなみに交通系ICカードは利用できません。

バスは東彼杵町の市街地を抜け、国道34号線へと入っていきます。ここから嬉野方面へは県境の大きな山を越えることになるので、しばらくは登り坂が続きます。バス停はこまめに設置されていますが、バスを待っている人の姿は一人もなく次々に通過していきます。

しかしそんな山の中を、西九州新幹線の線路が貫いています。坂本郷バス停~俵坂バス停間では一時期SNSでもバズった「凄い法面トンネル」が車窓後方に見え、現代の土木技術の凄まじさを見て学ぶことができます。バスの車窓から見えるのはほんの数秒間ですので、見逃すことのないよう車窓右後方に注目しておきましょう!

この「凄い法面トンネル」を過ぎると、県境を越えて長崎県から佐賀県へと入ります。また勾配も登り坂から下り坂へと変わり、次第に嬉野の市街地が見えてきます。

20分少々バスに揺られ、11:58に嬉野温泉バスセンターへと到着。すぐ後方から別のバスも到着してきており、交通の要衝であろうことが窺えます。

バスセンターの窓には西九州新幹線のポスターもたくさん貼られ、地元での期待は大きな高まりを見せているようです。

それにしてもこの嬉野温泉バスセンター、一見するとバスターミナルには見えないような古さの目立つ外観で、これが今日に至るまで嬉野温泉最大の公共交通の拠点であったことは俄かには信じがたい気持ちです。一応観光案内等も行っているようですが、せめて遠くから見ても分かるよう建物の上の方に大きく「嬉野温泉バスセンター」という文字でも取り付けてくれればいいのに…と思わずにはいられません(笑)。

嬉野温泉バスセンターから通りへと出てみますが、どこを見渡しても新幹線の駅や高架らしきものは見当たりません。お盆だというのに人気もなく、1ヵ月後にはここに新幹線が来るという実感がわきません。

それもそのはず、実は嬉野温泉バスセンターと新幹線の嬉野温泉駅は約2.2kmも離れているのです。温泉街や観光施設等は主にバスセンターの近くに集まっていますので、実は新幹線の駅を降りてもすぐ駅前に嬉野温泉の温泉街が広がっているということにはならなさそうです。

2.2kmは歩けない距離ではありませんが、既に暑さと湿気でかなり体力を奪われていますので、ここで温泉に浸かっていくことにしましょう。嬉野温泉には数多くの日帰り入浴宿や温泉施設がありますが、その最も代表的なものの一つが「嬉野温泉シーボルトの湯」。バスセンターから歩いてすぐです。

館内は吹き抜けになった開放的な空間で、入ってすぐのところには嬉野温泉駅開業カウントボードが設置されています。「嬉野に新幹線が来る」ということももちろんですが、それ以上に地元にとっては「嬉野に鉄道の駅ができる」という部分が歓迎されているように見受けられます。

温泉は無色透明ですがぬるっとしており癒されます。私が訪れた時は空いていましたが、入場料も420円とリーズナブルですので、新幹線開業後はより多くの人で賑わってくれることを願ってやみません。

バスセンターへと戻り、いよいよ嬉野温泉駅を見に行くことにします。乗車するのは13:43発のJR九州バス たけお競輪場行です。

バスの車内は先ほどよりもやや乗客が多めで、旅行客のみならず地元の方も乗っていらっしゃるようでした。

7分ほど乗車し、嬉野医療センター前で下車。目の前に見えているのは…そう、嬉野温泉です!!

近づける限りで近づいてみると、やはり駅舎は完成している模様。バスロータリーは砂利道のようになっていて未完成にも見えますが、もしかするとこれが既に完成形なのでしょうか…?

駅舎の目の前には、やはり新大村のように開業を知らせる看板が。こちらは「嬉野」という地名に「嬉しい」という感情表現をかけた「うれしいを、いっしょに。」というキャッチコピーが用いられています。またここでも「西九州新幹線」ではなく「九州新幹線(西九州ルート)」という計画段階での呼称が用いられており、掲載されているN700Sのイラストはとてもリアリティがあります。

ちなみに駅前一等地にはバス停の名前の通り「嬉野医療センター」がありますが、外観はどう考えても温泉旅館にしか見えません。ある意味では嬉野温泉の玄関口であることを象徴する建物ですが、先ほども述べた通り実際には嬉野温泉の温泉街まで1km以上離れています。

駅の東側(温泉街と反対側)へと回り込んでみました。こちらには大きな駐車場があるようですが、その他駅前一等地に目立った建造物はなく、広大な田園風景のみが広がっています。

まるで北海道に来たかと思うほど辺り一面には本当に何もなく、人通りはおろか車通りすらほとんどありません。

実は西九州新幹線の列車はその全ての便が全ての駅に停車するというわけではなく、一部の列車は新大村やここ嬉野温泉といった駅を通過することになっています。中でもここ嬉野温泉駅は武雄温泉~長崎駅間で最も停車する列車の本数が少なくなる予定で、また一つ新たな”新幹線秘境駅”が誕生する予感さえします。”温泉”と名の付くほど立派な観光地の玄関口となる駅ですから、くれぐれも閑古鳥が鳴くようなことになってほしくはありませんが…。

駅を出て国道沿いに来ると、先ほど駅前にあったものとは別の看板がありました。西九州新幹線の全線フル規格開業を目指す団体(?)により設置されたもののようですが、描かれているのは東海道・山陽新幹線で活躍するN700系。すなわち東海道・山陽方面から直通列車を走らせることを願う意味にも取れますが、仮にもそれが実現したとしてその頃にはN700系は引退しているのではないでしょうか。

最後は「嬉野高校前」バス停よりたけお競輪場行のバスへと乗り込み、武雄温泉駅を目指します。実は嬉野医療センターは国道から少し脇道へそれた場所にあり、医療センターへは立ち寄る便と立ち寄らない便があるので、嬉野温泉駅から国道沿いまで歩いて出てきました。

所定14:30発のバスですが4分ほど遅れて発車。引き続き車窓にはちらちら新幹線の高架が姿を現します。

しばらく山あいを走行してきましたが、ちょうど平地に出る交差点に来たところで目の前を新幹線&佐世保線の高架が横切る形になっています。ここまで来れば武雄温泉駅はもうすぐです。

15:00頃、武雄温泉駅に到着!

乗ってきたバスは駅の南側へと到着し、ちょうどこの南口側が真新しい新幹線駅舎となっています。やはり駅舎は概ね完成しているものの、駅前のロータリーは明らかに未完成のようで、資材やシートなどがまだあちこちに置かれたままになっています。

まずは駅の観察を…と思いましたが、その前にせっかく武雄温泉に来たのでここでも温泉に浸かっておきましょう。武雄温泉の温泉街は駅から歩いて20分ほどのところにあります。

今回は楼門をくぐってすぐ右手にある「元湯」へ入浴。お値段はこちらもリーズナブルでわずか450円です。中へ入ると「ぬる湯」と「あつ湯」の2種類の浴槽がありますが、ぬる湯でも42~43℃くらなので十分熱かったです。あつ湯の方は46℃くらいのようで、ほとんど誰も入っていませんでした(笑)。

そして改めて武雄温泉駅へと戻ってきました。こちらが以前からある北口駅舎で、立派ではあるものの新幹線の駅舎とは大きくデザインが異なります。

西九州新幹線の始発駅となる武雄温泉駅は、元からある在来線の駅舎にそれほど大きく手を加えずにすぐ隣に新幹線駅舎を造ったという感じなので、在来線の方はこぢんまりとした特急停車駅といった様子で、特段大きな変化は見られません。

北口の方から入っていくと、新幹線の駅舎に入るところで巨大な白いシャッターが立ちはだかります。この位置から新幹線の駅舎内を詳しくうかがい知ることはできないものの、南口へ出る際はその横の通路を通ることができるようになっているため問題はありません。

また一部分には、ガラス越しで新幹線の改札口付近の様子が窺えるポイントもありました。自動改札機・待合室・券売機等の一式が確認でき、当たり前ですが在来線の改札口と比べると非常に立派な改札口です。

なお、リレー特急に関しては在来線改札口ではなくこちら新幹線改札口から乗車することになるようです。

改めて在来線改札口から入り、隣接する新幹線ホームの様子等も見ていきたいと思います。

自動改札機でないどころかICカードさえ利用できないという残念感の強い在来線改札口ですが、せめて新幹線開業に合わせて自動改札機くらいは導入されるのでしょうか…いやしてほしいんですが…(笑)。

改札口付近には、「嬉野温泉行バスは南口へ」と大きく書かれています。今現在では鉄道の通っていない嬉野温泉への玄関口の役割も果たしている武雄温泉駅ですが、新幹線開業によりこの区間の移動が劇的に便利になればこの文字も見られなくなることでしょう。

在来線のホームは2面3線ですが、実質的には上下列車とも2番線の1つのみで捌くことが多いようです。下りの特急も上りの特急も同じホームへとやってくるので注意が必要です。

3番線には頑丈な柵が設置され、その向こう側にはすぐ新幹線ホームが見えています。

ここ武雄温泉駅では博多方面を結ぶ在来線特急〔リレーかもめ〕と新幹線〔かもめ〕が対面接続を行うため、在来線規格の線路が敷かれている3番線をリレー特急の専用ホームとして転用し、3番線からの乗降は不可能として新幹線改札内にある10番線ホームからのみ乗降可能としているようです。

柵さえ取り払ってリレー特急へは3・10番線のどちらからでも乗降可能としてしまえば非常に便利だとは思うのですが、なかなかそうもいかないのでしょう。

発車標は稼働こそしていないものの、特にシートで覆われたり隠されたりすることなくその姿がはっきりと確認できます。

10番線と11・12番線では発車標の仕様が異なっており、10番線(リレー特急専用ホーム)には佐賀・博多方面のほか下りの「ハウステンボス佐世保方面」も記されています。これは在来線特急〔みどり〕〔ハウステンボス〕も一部時間帯でリレー特急としての役割を果たすためで、10番線へと入線した列車はそのままハウステンボス佐世保方面へも発車できるような配線になっているのです。

リレー特急専用ホームの駅名標は両隣りの駅が隠されていますが、おそらく上り方面は武雄温泉を出て最初の特急停車駅である「江北」、下り方面は同じく最初の新幹線駅である「嬉野温泉」が記されていると予想します。

在来線ホームから最も遠い12番線の駅名標は、既に隣の駅が隠されることなくはっきりと「うれしのおんせん」と記載されていました。12番線は在来線との対面接続ができないため、あまり積極的に使われることはないホームかもしれませんが、この「うれしのおんせん」と反対側にも何かしらの新幹線駅が現れる日は果たして来るのでしょうか。

 

そんなわけで、今回は開業が間近に迫った西九州新幹線の5駅全てをあえて開業前に巡る様子をお届けしてまいりました。

今回立ち入ることができず詳しく見ることのできなかった新駅の駅舎内等は、9月23日の開業の日までのお楽しみということで、ますます期待が膨らみますね!

それほど距離の長くない新幹線ではありますが、開業の日を心待ちにしたいと思います。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。