2022年3月1日(火)
吉野といえば春は桜が有名ですが、まだ訪問時は3月になったばかりですので当然まだ桜の季節ではありません。おまけにあいにくの雨模様ということもあってか、奈良県を代表する観光地の一つであるにも関わらず観光客の姿は皆無です。
そんな吉野駅から今回乗車するのは、16:04発の特急〔青の交響曲〕大阪阿部野橋行です。近鉄南大阪線系統で運行されている観光特急で「あおのシンフォニー」と読みます。
吉野から大阪阿部野橋までは64.9km。途中の橿原神宮前までは「近鉄吉野線」、その先は「近鉄南大阪線」となっています。今回は終点の大阪阿部野橋まで乗車していこうと思います。
ホームに入ると、さっそく列車が停車中。16200系という電車で、通勤車両を改造し2016年に「青の交響曲」としてデビューしました。
濃い青色の車体側面に金色の帯や装飾が入り、外観だけでもとても高級感があります。あいにくの天候のため空はどんよりとしていますが、晴れていれば車体が太陽に照らされてさらに光り輝きそうです。
列車は3両編成で、このうち1号車と3号車が座席車両。社長の椅子のようにゆとりのある2+1列の座席配置で、これまた大変な高級感と大人っぽさがあります。
車内の一部の座席には、大きなテーブルの設置された「サロン席(3~4人用)」・「ツイン席(2人用)」もあります。こちらはリクライニングできないようですが、それ以上にゆとりがありますのでそれほど窮屈さを感じることはありません。
列車は定刻通りに吉野駅を発車。次の吉野神宮を発車すると、吉野川を渡り大きく左へカーブを描きます。
途中停車駅は吉野神宮、大和上市、六田、下市口、福神、吉野口、壺阪山、飛鳥、橿原神宮前、高田市、尺土。吉野線内はかなり細かく停車していきますが、南大阪線内では一気に飛ばすことになります。
2号車の車端部には、何とライブラリーコーナーまで設置されています。主に奈良の観光や歴史に関する書籍を取り揃えており、ベンチに腰掛けて読むことができます。全国津々浦々観光列車は山のようにありますが、車内にライブラリーがあるのはここくらいではないでしょうか。
今回は友人と2人で乗車していたので、ツイン席を利用。リクライニング席・ツイン席・サロン席のいずれも、乗車券に730円の特急券を追加するだけで乗車することができます。元々の特急料金520円というのも安すぎますし、特別車両料金210円というのも破格の安さです。
途中の吉野口駅は、JR和歌山線との乗換駅になっています。駅の管理がJR西日本なのか(?)は分かりませんが、JR西日本仕様の駅名標に近鉄の駅ナンバリングが振られていました。
編成の中間にある2号車はカフェ車両となっており、物販カウンターのほかソファ席が並びます。これまた列車の中とは思えないような落ち着いた空間で、上質な列車の旅を楽しめそうです。
今回はカフェ車両で「西吉野の柿スイーツセット」(650円)を注文し自席でいただくことにしました。柿の豊かな甘みを存分に味わえる吉野ならではのスイーツで、コーヒーとともにホッと一息つくことができます。
他にもケーキセットやジェラート、ソフトドリンクやアルコール類のほか、カレーやサンドイッチといったお食事類も用意されています。お値段は決して安くはありませんが、ぜひお好みのものをお召し上がりになり、非日常のひとときを過ごされてはいかがでしょうか。
橿原神宮前駅を発車すると、列車は一気にスピードアップ。線路が複線となり、線形も良いため特急らしい走りを見せてきます。
最後の途中停車駅である尺土を発車すると、何と終点の大阪阿部野橋まで30分間ノンストップ。大阪市郊外のベッドタウンの中を観光特急が駆け抜けていきます。
そして17:22に終点の大阪阿部野橋駅へと到着。首都圏に住む者にとってはあまり聞き馴染みのない地名・駅名ですが、JRで言うと天王寺駅に隣接しています。吉野を出てから1時間20分ほどでここまでやってくることができました。
青の交響曲は、大阪阿部野橋~吉野駅間を週6日(水曜日以外)、1日3往復運行しています。詳しい運行情報等は上記リンクから是非ご確認ください。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。