わたかわ 鉄道&旅行ブログ

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【速報】1年の歴史に幕…夜行急行の生まれ変わり「快速信越」下りラストラン

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2022年3月11日(金)

まだ夜が明けきらぬ早朝の直江津駅。いよいよ(?)ダイヤ改正前日の朝を迎えました。

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かつて早朝の直江津駅といえば、上野・大阪・青森など各方面からやってきた夜行列車がひっきりなしに発着していたことでしょう。そんなにぎわいのある光景も今は昔、ひっそりとした改正前日の朝を迎えています。

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乗車するのは、直江津6:15発の快速〔信越〕新潟行です。2021年3月のダイヤ改正から運行を開始した列車で、直江津新潟駅間で1日1往復運行されています。今回は朝の下り(新潟行)ラストランへと乗車していきます。

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快速信越号には、特急しらゆき号で主に使われる特急車両E653系が充当されています。全車指定席での運行で、18きっぷ等のフリーパスに指定席券を買い足して乗車することもできる乗り得列車です。

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停車駅は柿崎、柏崎、来迎寺、長岡、見附、東三条、加茂、新津のみ。快速列車ですが特急との停車駅の違いは来迎寺だけなので、かなり停車駅は絞られていると言えます。ちなみに夜の上り(新潟→直江津)ではこれより少し停車駅が多いようです。

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特急だと車両側面の行先表示器に列車名が表示されますが、今回は快速運用なので「快速 新潟」とあるのみです。

4両編成の列車ですが、特急しらゆき号として使用される場合は3・4号車が自由席になっています。ただ先ほども述べた通り快速信越号は全車指定席なので、3・4号車で指定席の表示を見られるのはこの列車ならではといえます。

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快速信越号そのものの真のラストランは、本日新潟駅を20:58に発車する上り(直江津行)となります。ではなぜあえて私が今回上りではなく下りのラストランを選んだかといえば、この快速信越号の下り列車が往年の急行〔きたぐに〕とほぼ同じスジを使用して運行されているためです。

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手元に2004年時点での急行きたぐに号の時刻表がありましたので比較してみます。

急行きたぐに号は大阪を前の晩に出発し、北陸経由にて直江津に翌朝5:55到着。25分ほど停車していたようで、直江津駅の発車時刻は現在の快速信越号の方が5分ほど早まっています。

途中停車駅に大きな違いはありませんが、急行きたぐに号の下り列車は新津~新潟駅間を快速列車として運行しており、途中の亀田駅にも停車していました。朝の新潟地区での通勤通学列車としての需要が高かったことが窺えます。

急行きたぐに号は2012年に廃止となってしまいましたが、これを補完する目的で「おはよう信越」(直江津→新潟)、「らくらくトレイン信越」(新潟→直江津)の運行が始まりました。

そして2021年にこれらを統合する形で「信越」として運行開始。しかし今回のダイヤ改正での廃止が決まり、「信越」としてはわずか1年の歴史に幕を下ろすことになりました。

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朝の直江津駅では、E653系うしの縦列停車を見ることができます。かつて長編成の優等列車も行き交っていた名残でホームは非常に長く、しかしそうした列車は今はないことの表れでもありますのでやや複雑な思いではあります。

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列車は定刻通り6:15に直江津駅を発車。車内はガラガラで、とてもラストランとは思えません。

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E653系には便利なチケットホルダーも備わっています。

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最初の停車駅である柿崎駅を過ぎると、車窓左手には雄大日本海が広がります。「日本一海に近い駅」の一つとしても知られる青海川駅もあり、朝日を浴びながら列車は海のすぐそばを走っていきます。

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柏崎駅では向かいのホームにえちごトキめき鉄道妙高高原行が停車していました。トキ鉄の車両がここまで乗り入れてくるとは驚きです。

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柏崎を出ると車窓はたちまち雪景色へと変わりました。日本海縦貫線は雪の多い地域を長く走りますので、急行きたぐに号をはじめとする夜行列車が大幅な遅延をもって運行されたり、最悪運休になったりすることも珍しくなかったのだろうと思います。

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下り信越号と特急しらゆき号の停車駅の違いは来迎寺駅のみ。E653系の車内表示で「来迎寺」の文字が見られるのは今日を最後に当面ないかもしれません。

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宮内駅は上越線との分岐駅ですが、快速信越号は颯爽と通過していきます。尤も、長岡~宮内駅間には分岐駅通過特例があるため、快速信越号のように一度宮内駅を通過する列車に乗って長岡駅で折り返して水上方面の列車に乗車しても問題はありません。

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直江津を出て約1時間、7:13に列車は長岡駅へと到着。ここでは何と9分間の停車時間があります。急行きたぐに号時代にもここは11分間の停車が設けられていたので、他の路線との接続が考慮されているのでしょう。飯山線方面から直通してきた列車と接続を取り、7:22に長岡駅を発車します。

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長岡を出てしばらくすると雪もなくなり、車窓には越後平野の田園風景が広がります。

かつての急行きたぐに号の乗客は、この田園風景を眺め「もうすぐ新潟か…」と思いながら朝の身支度をしていたことでしょう。

若干スピードを落とし気味であるかに思われましたが、停車駅は見附、東三条、加茂…という風に特急や往年の急行きたぐに号と何ら遜色ありません。

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新潟市内に入り、8:09には新津駅へと到着。ここでも8分間の停車時間があります。ホーム上では鉄道ファンの姿がちらほら見えましたが、混雑や混乱とは程遠い穏やかなラストランを迎えています。

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新津を出ると車窓には住宅も多くみられるようになり、いよいよ市街地へと入っていく実感があります。最新の混雑度ランキングでは新津~新潟駅間が全国2位にランクインしているようで、かつて急行きたぐに号がこの区間を快速列車として運行していたのも頷けます(全車指定席となった今では短区間の利用はしにくいかもしれませんが…)。

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終点新潟の一つ手前、越後石山駅では時間調整のため1分間ほどですが運転停車もありました。

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越後石山駅を発車すると列車はゆっくりと左にカーブを描いていきます。車窓右手には新潟のランドマーク「朱鷺メッセ」も見えました。

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8:35に列車は終点の新潟駅へと到着。急行きたぐに号よりも5分ほど遅い到着ですが、当時を思わせる在来線地上ホームへと入線しました。結局最後までそれほど激しい混雑を見せることはありませんでしたが、最長片道切符でも利用した思い入れのある列車でしたので、最後に乗り納めることができてよかったです。

急行きたぐにおはよう信越、快速信越…と列車名を変えながらも長年に渡って新潟地区の朝の通勤通学を支えてきた有料列車の運行は本日のこの運行をもって最後となりました。明日からは快速信越に代わり料金不要の快速列車が直江津長岡駅間で運行されることになります。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。