わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

(54)山陰の大動脈が不通なので代行バスで乗り越え山口へ【最長片道切符の旅2021】[米子→居能]

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は最長片道切符の旅31日目の様子をお届けしていきます。

 

2021年9月5日(日)31日目

最長片道切符の旅、31日目のスタートは鳥取県の米子から。快活CLUB米子店を退店し、米子駅へと歩いていきます。入店時刻が0時過ぎと夜遅かったので、8時間のナイトパックでも朝8時過ぎまでゆっくり過ごすことができました。

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3km弱の道のりを歩き米子駅へ。昨晩と異なり列車は動いているので後藤駅から境線に乗ってもよかったのですが、列車の本数もそこまで多くないというのと、昨晩歩けたのだから今日も歩けるだろうと思い結局歩きました。

米子駅は現在工事の真っ最中のようで、見てみるとどうやら昔ながらの国鉄のターミナルらしい駅舎の真ん中部分が取り壊されているようです。両端はまだ建物としては残っていますが、こちらも追って取り壊されるのでしょうか。

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現在の米子駅は簡易駅舎のような状態ですが、何と立派な自動改札機までも設置されています。県庁所在地の鳥取駅ですら設置されていないことを思うと、やはりこの米子という街が山陰でいかに重要な役割を果たしているかがよく分かります。

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本日まず乗車するのは、米子10:16発の特急〔やくも3号〕出雲市です。約1時間前にサンライズ出雲号もあったのでそちらに乗ろうか迷いましたが、はるばる西日本まで来ないと乗る機会のないやくも号の方に乗っておきたいと思いこれを選びました。

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まもなくすると列車が入線。国鉄時代から活躍する381系4両編成で、もしかすると現在我が国で走る最古のJR特急車両かもしれません。

終点の出雲市まで乗車していきます。

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列車は定刻で米子駅を発車。この先安来、松江、宍道へと停車していきます。

今回は自由席に乗車。最下等座席の割には背もたれの形状が何だか豪華です。

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実は米子から出雲市までというのはそれなりに距離があり、自由席特急券でもお値段何と1,200円かかります。普通列車でも移動できない距離ではないですが、岡山方面からのやくも号に加え鳥取方面からスーパーおき号・スーパーまつかぜ号もありますので、特急の方が便利であることは間違いないでしょう。

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車内では、米子駅で購入した山陰の定番土産「大風呂敷」(「日本の食」124品目)をいただきます。いわゆる信玄餅安倍川餅のようなきな粉のかかった餅で、山陰らしく「梨蜜」をかけるみたいです。洋風の味わいでとっても美味しかったです!

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気づけば列車は鳥取県から島根県へと入り、県庁所在地の松江駅を発車。立派な高架駅ですが、ホームにあまり人影はありません。

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松江を出ると、進行方向右手側には雄大宍道湖の車窓が広がります。淡水と海水が混ざり合う汽水湖で、対岸には一畑電車が走っています。雲は出ているものの晴れていたので夏らしい景色を味わうことができました!

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11:04に終点の出雲市へと到着。ヘッドマークの部分は「回送」の表示に変わりました。

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出雲市といえばこの特徴的な形をした駅舎からも分かる通り、縁結びの神様として有名な出雲大社への玄関口です。島根県を代表する観光地の一つと言っても過言ではないと思いますが、今回は残念ながら観光している暇がなさそうなのでお預けです。

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せめて出雲に来た証を…と思い、改札口を出た目の前のエキナカのお蕎麦屋さんで早めのお昼ご飯をいただきます。器が3段に重なった出雲の割子そば(「日本の食」125品目)です。

丸いお重のような器にそれぞれそばが少しずつ入っており、まず一番上の段につゆと薬味をかけていただきます。食べ終わったら薬味の溶けたつゆが器に残るので、それを真ん中の段のそばにかけていただきます。それが終わったらその下の段へ…と繰り返していくのです。

甘くて濃いめのつゆが自分好みでとっても美味しかったです!

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さて、お腹が満たされたのはよいのですが、実はここから先に今日一番の難所が待ち受けています。というのも、当初の予定では出雲市から益田を越えて山口方面へ特急〔スーパーおき〕で一気に移動していく予定だったのですが、8月に沿線で発生した地すべりの影響で途中の江南~田儀駅間の復旧の見込みが立っておらず、この区間はバスによる代行輸送が行われているのです。一時は山陰の特急も全て運休になり、島根県から山口県にかけての全区間を鈍行で移動しなければならないかに思われましたが、幸い運休区間よりも西側では特急の運行も再開されつつあるようなのでそれは避けられそうです。

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というわけで、続いては出雲市12:11発の山陰本線南行へと乗車していきます。通常は約90km先にある浜田まで走る普通列車ですが、今日は約10km先の江南までしか走りません。

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ホームに上がると、朱色のキハ47形が入線していました。行先表示の幕は「団体」を半分だけチラ見せするような位置で止められていました。「江南行」は定期列車では存在しないので、恐らくキハ47に「江南」の幕が入っていないのでしょう。

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列車は定刻通りに出雲市駅を発車。運休区間があるからか分かりませんが、車内は超ガラガラでした。北海道でも思ったことですが、じわじわと運用が減ってきているヨンマルをこんな独り占めできるのは首都圏の感覚からすると贅沢以外の何物でもありません。

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出雲市駅の一つ隣にある西出雲駅には車両基地があります。様々な顔をした特急やくも号の車両の姿が見えました。

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12:25頃に早くも列車は終点の江南駅へと到着。出雲市からわずか3駅ですが、定刻よりも3分ほど遅れての到着となりました。隣のホームは行き違いですぐに出雲市方面へ普通列車が発車していきます。

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江南駅の駅舎は昔ながらの佇まいでとても味のある良い駅舎…ですが、普段特急がとまったりするような主要駅ではありません。

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そんな江南駅からは12:40発の山陰本線代行バス 田儀行へと乗り継ぎます。やってきたのはJRと書かれた大型バスで、少なくともヨンマルよりは快適そうです。乗降口付近にはしっかり「田儀駅行」と示されています。

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代行バスは定刻通りに江南駅前を発車。普段このような大型バスが乗り入れることは想定されていないので駅前は狭く、何度も切り返しながらの発車となりました。

乗客は5名程度で、全員が先ほどのヨンマルからの乗り換え客です。

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江南駅を出て15分ほどでバスは一つ隣の小田駅へと到着。ここでは若干名の乗降がありました。ちょうど対向の江南行代行バスとすれ違います。

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小田駅の次は早くも終点の田儀駅となりますが、実はこの区間が非常にややこしいのです。というのも、小田から田儀へと向かうこの区間では山陰本線のみならずこれと並走する国道9号線までもが災害のために不通となっており、代行バスは南側へ大きく迂回しなければならなくなっているのです。

国道9号線よりも少し南側には山陰自動車道が部分的に開通しています。幸いにも小田駅のすぐ近くにある出雲多伎ICから山陰道へと入り、隣の大田朝山ICで山陰道を降りて国道9号線を戻る形で走れば何とか陸路で移動できるということで、まっすぐ行くよりも数倍長い前代未聞の迂回ルートが取られました。

f:id:watakawa:20220125173341j:plainこの区間山陰自動車道はまだ比較的新しいようで、見晴らしの良い高規格の道路が続いています。1区間だけ高速道路を利用し、しかも降りた後に一般道でその半分ほどの距離を戻るというのは普通ならまずしないことですが、現在はこれが陸路唯一の手段であるため仕方ありません。

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13:20頃に代行バスは終点の田儀駅へと到着。駅のすぐ目の前には手引ヶ丘公園があり、駅舎がその公園の案内所を兼ねているようです。

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駅舎内でしばし時間を潰した後、ここからは再び鉄路での移動となります。乗車するのは田儀14:22発の快速〔アクアライナー〕益田行です。山陰地区を移動する18きっぱーからも人気の高い速達無課金列車で、通常はここ田儀を含め多くの駅を通過しますが、現在は臨時ダイヤということで全ての駅に停車するようです。普段は米子始発(12:46)で運行される列車となっています。

列車は定刻(?)で田儀駅を発車。

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長い長い島根県の中部から西部にかけてのこの区間では、山陰本線の車窓から日本海の絶景を眺めることができます。いやぁこれは本当に美しい!特に国道よりも線路の方が海岸の近くを走る区間では必見です。

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大田市駅は特急や通常時の快速アクアライナーも停車する主要駅で、世界遺産である石見銀山への玄関口となっています。「おおたし」ではなく「おおだし」と読み、「太」ではなく「大」の字を使います。

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その先には馬路駅という何とも変わった駅名があり、ホーム上には若者言葉に引っかけた顔出しパネルもありました。特急は通過しますが、石見銀山への直線距離としてはここが最も近い駅となります。

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温泉津駅難読駅名の一つとして知られます。駅名からも分かる通り近くには温泉地もあるようで、その名も「温泉津温泉」。漢字5文字ですが実質3文字分の情報量しかありません。

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江津駅も特急が停車する主要駅です。昨日の夕方に通った三次駅とここ江津駅を結ぶ「三江線」というJR西日本の路線がありましたが、2018年に廃止されてしまいました。

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15:47に列車は途中の浜田駅へと到着。終点の益田はまだ少し先ですが、ここで後続の列車へと乗り換えるため下車します。ちなみに通常ダイヤでの快速アクアライナーの場合、ここ浜田駅には15:33に到着するようです。やはり各駅に停車している分、臨時ダイヤでは通常よりも少し時間がかかっています。

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大田、浜田、益田…島根県内には「田」のつく主要な街がとても多いです。かつてこの浜田駅は東京からの寝台特急〔出雲〕号の終点となっていた駅でもあり、かなり立派な街のようです。駅前には立派な櫓のようなモニュメントがあります。

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続いて浜田駅から乗車するのは、16:17発の特急〔スーパーおき5号〕新山口です。通常は出雲市や米子よりもさらに遥か手前の鳥取を始発として運行されるJR西日本最長のロングラン特急ですが、今回この列車に関しては鳥取浜田駅間を運休とし、浜田始発で運行されるようです。

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キハ187系という気動車特急が2両編成で運用に入ります。座席数が少ないため混雑することもあると耳にしていたので、私も約1ヵ月前に帯広駅で予め出雲市からの指定席を押さえていたのですが、災害によりいったん全区間で運休の発表があったため無手数料で払い戻しをしました。

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改めて自由席特急券を購入し乗車します。週末ということもあり座れるか不安でしたが、実際には混雑とはかけ離れ超空気輸送の状態でした。やはり山陰本線で不通区間があるために浜田始発では使いにくいという事情もあるのでしょう。

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列車は定刻通りに始発駅の浜田駅を発車。案の定乗客の人数は指定席・自由席合わせても5名程度で、自由席は選びたい放題です。

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途中で検札が来たので自由席特急券と最長片道切符を提示。複雑な経路図は車掌さんからも大変驚かれました(笑)。

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この区間でも引き続き列車は日本海のすぐそばを走ります。先ほどよりも少し雲が多く出ているようでしたが、ずっと向こうの方まで続く海岸線を一望でき圧巻でした。

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16:53に列車は益田駅へと到着。スーパーおき号はこれより山陰本線を離れ、山口線へと入ります。この駅を始発・終着とし鳥取・米子方面を結ぶ特急も多く、自由席車両にもやはりこの益田駅からかなりの乗車がありました。

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山口線に入ると日本海の海岸線からは離れ、列車は川沿いを走っていきます。この広く穏やかな川は高津川と言うそうです。

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途中にある津和野駅は、新山口から運行されている「SLやまぐち号」の終点でもあり、萩と合わせて一大観光地としても知られています。津和野を過ぎると列車は島根県からいよいよ本州最後となる山口県に入ります。

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18:19に列車は山口駅へと到着。まだ終点ではありませんが、ここで食べておきたいご当地グルメがあるので途中下車します。

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山口県の県庁所在地はもちろんここ山口市。しかしここ山口駅は、そんな県の中心への玄関口とは思えないほど寂れています。駅舎は屋根が高く一見立派にも見えますが、近づいてみるとかなり老朽化しており、地方とはいえターミナル駅でこんなにも古い駅舎が今なお現役なのかと目を疑うほどです。

「少し離れた場所に私鉄のターミナルがあってそちらの方が街の中心だから…」というパターンならまだしも、山口市内にはこの山口線以外に鉄道路線はありません。県庁所在地とは言っても、実質的に県下最大の都市は恐らく山口ではなく下関だと思います。新幹線の駅としては徳山や新山口がかなり主要なターミナルとしての役割を果たしているのでしょう。

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そんな山口でいただくのは、ご当地B級グルメばりそば(「日本の食」126品目)です。大きな丸い平皿に鶏ベースのスープで浸したかた焼きそばとたっぷりの野菜がのっていて、とてもボリュームがある一品です。大皿料理ではなくあくまでも上の画像で1人前(並サイズ)で、お値段は825円でした。量の割にはかなりリーズナブルだと思います。

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さて駅に戻り、まだまだ移動していきます。夜にもなると山口駅の改札口に人の姿はなく、とても県庁所在地の駅の光景とは思えません。改札口も小さな有人のラッチがあるのみで、電光掲示板が付いているのがむしろ奇跡なんじゃないかとすら思えてきます。

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山口駅ネガキャンはこのくらいにして、山口20:01発の山口線 新山口へと乗り込みます。山口~新山口駅間は区間列車もそれなりにあり、日中でも概ね列車間隔が1時間未満と比較的高頻度になっているようです。

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車両は相変わらずのヨンマルですが、何だか派手なラッピングが施されています。地元のプロサッカーチーム「レノファ山口FC」のキャラクターだそうです。

列車は定刻通りに山口駅を発車。ここで何とフォロワーの旅国さん@Knbl551T7G8trJm)が駆けつけてくださいました!

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定刻通り20:23に終点の新山口駅へと到着。すぐに階段を渡って新山口20:26発の山陽本線 下関行へと乗り換えます。新幹線も乗り入れる駅なので駅前に出れば名のあるホテルもあるのでしょうが、今夜はホテルに泊まる余裕がないので快活のある街までさらにルートを進めていきます。

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車内にはあまり見ない形の転換クロスシートが並んでいました。2ドアなのも普通列車っぽくない感じがします。

山口県内にもいくつか新幹線の駅があるので、少しの距離でも新幹線を使いたいところですが、あいにく次に下車する宇部駅には新幹線が乗り入れていません。新幹線が比較的直線的なルートを取るのに対し、在来線はかなりくねくねと曲がりくねっています。

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20:49に宇部駅へと到着。瀬戸内海に面する主要都市の一つです。

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かつて数々の優等列車も停車した宇部駅ですが、実は宇部市の中心はここ宇部駅周辺ではありません。宇部駅には山陽本線の他に宇部線という路線が乗り入れており、今日中にその途中の宇部新川という駅まで向かっていきます。

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宇部駅で少し待ち、乗車するのは21:13発の宇部線 宇部新川行。前面がスパッと切られたような顔をしており、かつては荷物車だったことの名残だそうです。

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列車は定刻通りに宇部駅を発車。山陽本線と分かれ南下していきます。

この宇部・小野田周辺はかなり細かく支線が分岐していて、最長片道切符のルートとしては宇部線を居能まで進んだ後、小野田線に乗り換え雀田・小野田方面へと向かうことになっています。しかし宿泊場所を宇部新川で予定しているので、別途150円の運賃を支払い経路外の宇部新川へと移動していきます。

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居能駅へと到着。最長片道切符31日目のルートとしてはここまでになります。終点の宇部新川まであと1駅乗車します。

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21:25に終点の宇部新川駅へと到着。暗いので分かりにくいですが、駅舎や駅前は宇部駅よりもかなり立派です。

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今夜は快活CLUB宇部中央店で夜を明かします。ロードサイド型の店舗ですが、宇部新川駅からそう遠くない位置にありました。洗濯物が溜まっていたので近くのコインランドリーに寄った後、無事にこちらにも入店。しかし翌朝、とんでもないことが起きるのでした…。

 

今回はここまで。半日分ではなく1日分をまとめたので長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。