わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

2022年は波乱の幕開け!? 東海汽船「新春初日の出クルーズ」八丈島コースに参加したら思わぬ事態に…

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みなさん、明けましておめでとうございます! わたかわです。

2022年も「わたかわ 鉄道&旅行ブログ」をよろしくお願いいたします。

 

2022年最初の記事は、大みそかの夜から元日にかけて運航された東海汽船の「新春初日の出クルーズ」の様子をご紹介します。

 

2021年12月31日(金)

2021年も残すところあとわずか。この大みそかの夜に私がやってきたのはJR浜松町駅です。

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私の中ではここ数年、初日の出を見るために毎年どこかへ出向くことが恒例になっています。

2021年:海芝浦駅(神奈川県)
2020年:津田の松原(香川県
2019年:犬吠埼(千葉県)

そして2022年の初日の出を見るべく私が今回参加するのが、東海汽船の「新春初日の出クルーズ」です。過去3年間は主に鉄道を利用して自ら初日の出スポットへ出向くスタイルでしたが、4回目の今年はツアーへ参加して初日の出を狙います。

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新春初日の出クルーズは「神津島コース」「八丈島コース」の2種類が用意されており、いずれも東京の竹芝桟橋フェリーターミナルと各島を結ぶ定期航路を利用したクルーズプランとなっています。今回私は30名限定の「八丈島コース」へ申し込みました。

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浜松町駅から徒歩5分程度で、竹芝桟橋フェリーターミナルへと到着。ここには伊豆諸島各方面へと向かう大型客船やジェット船が発着します。

直前までアルバイトが入っていたので出港40分前の到着となりかなりギリギリではありましたが、無事に間に合いました。今回参加するツアーは電話予約限定なので、事前に通知された予約番号を当日窓口で告げ、支払いをして無事に乗船券をゲットしました。ツアー代金は15,000円で、この代金に東京~八丈島間の往復「特2等」運賃や諸特典が含まれています。

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モニターにて運航状況を確認します。大型客船の夜行便は22:00発と22:30発がありますが、今回私が乗るのはもちろん後者の三宅島・御蔵島八丈島です。大島以外の各島には★のマークがついており、これは現地の天候や海面の状況次第では入港できない可能性があることを示しています。竹芝桟橋を予定通りの時刻で出港するものの、確実に到着できるかは分からないという「条件付き」での出港になります。

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各島の位置関係はご覧の通り。八丈島方面へと向かう航路は、神津島方面へと向かう航路に比べかなり距離が長いことが分かります。東京~八丈島間は10時間以上を要し、一晩かけて向かうことになります。

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22:10頃より乗船開始。案内に従って進んでいくと、まもなく黄色い大きな船が見えてきました。こちらが今回乗船する東海汽船の大型客船「橘丸」です。飛行機のようなボーディングブリッジが設置され、乗客は乗船前に検温をしてから線室内へと入ります。

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橘丸には様々な等級の船室がありますが、今回私が利用するのはこちら「特2等」です。6段階あるうちの下から2つ目で、ドミトリーや往年のブルートレインの開放寝台のような2段式の寝台になっています。遮音性はなく、またベッドは決して広いわけではありませんが、カーテンがありプライベート空間が保たれるので悪くはない気がします。

各寝台スペース内には寝具一式・ライト・コンセント・鍵付コインロッカーが完備されています。また入口付近には大きな荷物を置くことのできるスペースも確保されており、スーツケース等があっても安心です。なお船内にはWi-Fiも完備されていますが、基本的に陸地の近くでないと電波が入らないので航海中の接続はあまり期待できません。

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今回は往復セットでのツアーのため、乗船券は竹芝桟橋出発時に往復分発券されます。こちらは往路分の乗船券で、右側のミシン目は乗船時に改札口で半券を切り取られた跡です。この乗船券を手にしてようやく「これから八丈島へ行くのか…!」という実感が湧いてきます。

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そして時刻は22:30となり、橘丸は定刻通りに東京・竹芝桟橋を出港です! ボーディングブリッジが外され、係員の方々がこちらへ手を振ってくださっています。2021年も残すところあと1時間30分、いよいよ八丈島までのクルーズの始まりです!

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橘丸はしばらく波の穏やかな(←ここ重要)東京湾内を進んでいきます。後方にはライトアップされた東京スカイツリーと築地大橋がよく見えます。

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出港してから約10分後、22:40頃に橘丸はレインボーブリッジの下をくぐります。寒空の下ですが大変多くの方々がデッキに出られていました。

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お台場の方向に目を向けてみると、フジテレビ本社がギラギラとライトアップされています。大みそかの夜と言えば各テレビ局で面白い特番が組まれ、それをご自宅や帰省先で観ながらのんびり過ごされる方も多いでしょうが、大型客船で夜の東京湾を進むのもそれとはまた違った面白さがあると思います。

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あまり長く外にいるのは寒いので、程なくして船内へと戻ります。

中央には大きな階段があり、客室は4~6階に分布しています。

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案内所では2等船室客向けの毛布の貸し出しも行っています。お正月らしく、しめ飾りや鏡餅等が飾られていました(翌朝に撮影したものですが、竹芝桟橋出港時からありました)。

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案内所には、各島発着予定時刻が掲載されています。竹芝桟橋でも案内のあった通り、現地の天候次第では着岸できない可能性があるようですが、この時点ではまだそのことなど全く気にも留めていませんでした…。

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こちらは新春初日の出クルーズ参加者限定の案内および特典です。御朱印ならぬ「御船印」というものがあるようで、新春初日の出クルーズ限定のオリジナルデザインのものが配布されました。またオリジナルデザインの絵馬のほか、「船内レストラン食事券」(1回分)もツアー代金に含まれています。ツアー中の船内での飲食のうち1回はこの券を利用して船内レストランにて食べることができ、年越しそば・かき揚げうどん・カレーライスのいずれか1つを選ぶことができます。

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もちろん選んだのは年越しそば。明日葉の天ぷらつきです。深夜でありながらレストランはかなり混雑していましたが、無事に完食したのでこれで安心して年を越せます。

ちなみにレストラン内にあるテレビモニターでは紅白歌合戦が放送されていました。あまりちゃんと観ることができなかったのは残念ですが、録画してあるのでまた自宅に戻ってからゆっくり楽しみたいと思います。

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船内には位置情報の分かるモニターも設置されており、リアルタイムで航行位置を知ることができます。東京~三宅島間は約180km離れており、これは東海道本線の東京~静岡駅間とおおよそ同程度です。

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まもなく時刻は午前0時となります。2021年から2022年に変わるその瞬間は、冷たい風が吹くデッキの上で迎えたいと思います。

出港時と比べ街の明かりは遠く小さくなっていますが、まだ船は東京湾内を航行しています。上の画像は横浜みなとみらい周辺…のように見えるのですが間違っていたらすみません。

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そして橘丸が横須賀市付近に差し掛かったところで…時刻は0時ちょうどになり、いよいよ2022年の幕開けです!!

2022年になったタイミングで、東京湾内にいる船舶が一斉に汽笛を鳴らします。乗船中の橘丸も「ぼぉ~~~っ」と大きな音が鳴りました。そして直後に船内放送にて新年の挨拶が入り、年越しのセレモニー(?)は完了です。見たところ「3・2・1…!」のようなカウントダウンをしている人はあまりいなかったようですが、寒空の下で忘れられない1年の幕開けとなりました。

そして0:10をもって船内は消灯時刻となります。一部箇所を除きこの時間をもって消灯されるため、私も自分の寝台へと戻りしっかり翌朝の初日の出に向けて休むことにしました。

 

2022年1月1日(土・祝)

まだ夜が明けきらぬ早朝4:40頃、船内放送で目が覚めました。船は最初の到着地である三宅島へと近づいているようです。

…とここで、衝撃の船内放送が流れました。何と海面の状況が悪く波が高いため、御蔵島および八丈島へは欠航になるそうなんです。そして同時に、乗船中の橘丸は三宅島にてすぐに折り返し5:30発の竹芝桟橋となることが発表されました。

この時点で、今回のこのツアーで八丈島へ行くことはできなくなってしまいました。八丈島への航路はこれ1つのみですし、仮に他の航路があったとしてもこの状況では欠航確実でしょう。御蔵島八丈島へ行く予定だった乗客は引き続き同じ番号の寝台を利用して竹芝桟橋へと引き返すことができるほか、希望をすれば三宅島で下船することもできるとのことでしたが、私を含む新春初日の出クルーズの参加者については三宅島での下船もできず、強制的に船内に留まり折り返しの竹芝桟橋行にそのまま乗船しなければならないようです。

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そして橘丸は定刻より少し遅れて5:10頃に三宅島へと到着。通常であれば島の西側にある港に到着するようですが、今回は島の東側にある三池港へと到着しました。

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そして先ほども述べた通り、三宅島ではこの船がすぐに折り返し5:30発の竹芝桟橋へと変わります。しかしこれは定期ダイヤで存在するものではなく、八丈島から御蔵島・三宅島を経由して竹芝桟橋へと向かう定期航路を約8時間繰り上げて運航するものとなっているようです。

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ここで起こったことを上の図にまとめました。当初のダイヤでは八丈島まで進んだ後、折り返し竹芝桟橋まで戻ってくる予定だった橘丸ですが、この付近の海面状況が総じて悪いため、往復便とも三宅島~八丈島間で欠航になったのです。では八丈島まで往復していた分の時間ずっと三宅島に停泊しているかというとそうではなく、すぐに折り返しの竹芝桟橋行へと化けたために、三宅島の出港時刻が8時間以上も繰り上げられる事態となりました。

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案内所のボードを見てみても、御蔵島八丈島に関しては「欠航」の表示に変わっています。八丈島へ行けなくなってしまったのは残念ですが、ともかく無事に竹芝桟橋へ戻ることが最重要ですので、ここからは来た道を引き返していきます。

5:30に橘丸は三宅島の三池港を出発。この時点では竹芝桟橋への到着予定時刻は13:30頃と案内されましたが、後に11:45頃との案内に修正されました。

驚くべきは三宅島から乗船される方が相当数いらっしゃったこと。おそらく今日の午後の便で東京へ戻る予定だったのだろうと思いますが、今日の午前の予定を全て取りやめて、朝早くに起きてこの橘丸へと乗り込んでいるのでしょう。

船内の照明は5:40頃より再び消灯されました。しかし地獄はここからでした。

船は太平洋の荒れ狂う波の中を怒涛のスピードで進んでいきます。外の天候等はよく分かりませんでしたが、海面の状況が極めて悪い事は素人の私にも分かり、常に船体が上下左右に大きく揺さぶられ続けます。船室内を歩くことはおろか、寝転がっていてもしっかりつかまっていないと寝台から放り出されそうになる瞬間が多々あり、かなりの恐怖でした。

そして最近はあまり乗り物酔いをしない私ですが、さすがにこの船体の荒ぶり方では酔わないはずもなく…睡眠時間が短いこともあってかずっとぐったりしてしまい、昨晩の出港時や年越しの時の興奮はどこへやら、船内にいることがとてもしんどくなってしまいました。

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そしてこのツアー最大のポイントでもある初日の出の時刻を迎えます。当初のダイヤで航行していれば御蔵島八丈島間の往路便の船内にて初日の出を拝む予定でしたが、ところ変わって三宅島の少し北側にて拝むことになりました。まぁどちらにせよ広い太平洋の上で、他に視界を遮る障害物も特にないのでこれは大変美しかったです。少し雲が出ていましたが、その雲の切れ間から差し込む光がまた幻想的でした。日の出時刻は「6:45頃」と案内されていましたが、実際には雲が出ていたこともあり初日の出として拝めた時刻は6:58頃となりました。

初日の出もしっかり拝めたところで、船室に戻り再び仮眠を取ることにします。結局のところ睡眠不足でもあるので、電波も入らない状況の中で体調回復のためには寝てやり過ごすことが一番だということに気づきました。

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2時間半ほど寝たところでふと目が覚めると、船の揺れはだいぶ穏やかになっていました。私の体調もかなり落ち着き、再びデッキに出てみました。ちょうど進行方向左側には立派な富士山も見え、既に橘丸は東京湾の入口付近まで来ているようです。陸が近づいてきたので波がだいぶ穏やかになったということでしょう。

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復路便の乗船券も自分の手元にありますが、しかし下船をしていないため右側の「ご乗船票」がもぎ取られずについたままになっています。白い方の券面を見てみると「欠航等による払戻&変更不可」と書かれていることからも分かる通り、今回は八丈島まで行けませんでしたがそれに伴う返金・救済措置等はありません。通常の乗船券で乗船した乗客についてはそれ相応の措置が取られるようです。

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落ち着いてきたので、ここでようやく食事を取ろうと思います。レストランには様々なメニューがありますが、長旅に備えて竹芝桟橋出港前に買い込んでいたコンビニ飯があったのでそれをつまむことにしました。

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レストランには飲食物の持ち込みが禁止となっているようですが、その隣のラウンジスペースであれば自由に食べることができます。背後には自販機もあり、飲料のほかカップ麺やお菓子も販売されていました。

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しばらくすると、向こうの方にはみなとみらいの景色が見えてきました。本来であればこの辺りは往路・復路ともに真っ暗な中での航行となるはずでしたが、思いがけず繰り上げになったことで明るい景色を楽しむことができています。空は雲一つない快晴で、新年の幕開けにふさわしくすがすがしい天気です。

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東京湾岸沿い一帯は京浜工業地帯・京葉工業地域となっており、元日にも関わらずもくもくと煙を上げて工場群が午前中から稼働しているようでした。こういった景色を眺めることができるのも東京湾を日中に航行する船ならではかもしれません。

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そしていよいよ目的地・東京が見えてきました。高くそびえる東京スカイツリー、そしてその手前にあるのは東京ゲートブリッジです。

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羽田空港からはひっきりなしに飛行機が離着陸しています。年末年始ということで多くの旅行客や帰省客をのせ、全国各地へ飛び立っていることでしょう。

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東京の景色がどんどん近づいてきます。東京タワー、レインボーブリッジ、フジテレビ、船の科学館…見慣れた東京のランドマークの数々と約12時間ぶりの再会(?)です。

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そして船は再びレインボーブリッジの下をくぐります。昨晩とは違い明るい空の下でくぐるのもまた一段と迫力があります。

そしてレインボーブリッジをくぐったということは…もうまもなく竹芝桟橋に到着します。

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11:45に橘丸は竹芝桟橋へと到着。往復計約21時間の予定だった新春初日の出クルーズは、予定よりもだいぶ早く約13時間で終了ということになりました。乗船時とは異なり、ボーディングブリッジではなく陸地へのタラップが設置され下船していきます。

乗船券は下船時に往復分両方とも回収となりました。

 

ということで、文字通り大波乱となった「新春初日の出クルーズ」の様子をお届けしていきました。

今回東海汽船は初乗船、伊豆諸島へ出向くのも初めてでしたが、改めて自然の恐ろしさを痛感する2022年の幕開けとなりました。

決してずっと快適な船旅とはいきませんでしたが、年越しそばを食べ、汽笛で年越しを迎え、雄大な太平洋に昇る初日の出も拝めたので何だかんだ楽しませていただいたと思います。

本来ならば八丈島では一時下船となるはずでしたので少しだけ八丈島の地に足をつけたかったという思いはありますが、それはまたの機会の楽しみに取っておきましょう。他にも伊豆諸島は魅力たっぷりの島がたくさんあると思いますので、今後じっくり島めぐりなんかもしてみたいと思います。

 

今回はここまで!

最後までお読みいただきありがとうございました。