みなさんこんにちは! わたかわです。
今回は北陸新幹線に連結されている、不思議な車両についてご紹介します。
というわけで、やってきたのは金沢駅。北陸新幹線の終点駅として、首都圏でもよく見かける地名になりました。かつては寝台特急〔北陸〕や急行〔能登〕等といった夜行列車の終着駅であった過去ももちます。
これから乗車するのは、金沢9:49発の北陸新幹線〔つるぎ704号〕富山行です。「つるぎ」とは首都圏で見かけない列車の名前ですが、それもそのはず、つるぎ号に関しては金沢~富山駅間という短い区間でのみシャトル運行されている新幹線だからです。
北陸地方へは、大阪方面から特急〔サンダーバード〕、名古屋方面から特急〔しらさぎ〕がそれぞれ運行されています。2015年の北陸新幹線金沢開業前まではこれらの特急の多くが富山駅まで乗り入れていたのですが、2015年に金沢まで新幹線が開業したことで特急がいずれも金沢発着へ変更となったのです。
そこで、金沢駅でこれら在来線特急からの接続を取り、主にサンダーバード号・しらさぎ号の代替を目的として設定されたのがシャトル新幹線「つるぎ号」というわけです。金沢~富山駅間はわずか58.6kmしかありませんので、しっかりと途中の新高岡駅にも停車します。今回はちょうどその新高岡駅まで、1駅だけ乗車していきたいと思います。
北陸新幹線で使用されるE7・W系は12両編成。金沢寄りの12号車がグランクラス、11号車がグリーン車で、その他は普通車となっています。
つるぎ704号をホームから見てみると、8号車は「指定席」の表示となっています。ドアが開き、普通に考えればこの号車は「8号車車内の指定席特急券を所持した人が乗車する」と考えるでしょう。
しかし、実際にはこの「指定席」と示されたつるぎ号8号車には乗車できないのです。
「は…???どういう意味???」と思いますよね。
実はこれ、8号車だけではありません。つるぎ号においては、8~10号車ならびにグランクラスの12号車が、同様に乗車できない車両となっているのです。
とりあえず4号車(自由席)に乗り込みます。発車後、車内アナウンスに耳を澄ましてみると、「1~4号車が自由席、5~7号車が指定席、11号車がグリーン車」と案内されていました。号車番号が飛んでいて明らかに違和感ですよね。
先ほども述べた通り、北陸新幹線は全列車が12両編成での運行です。ただし、つるぎ号においては8~10・12号車が「締切」扱いとなっているのです。すなわち、この号車に関しては指定席が発売されることはありません。例えば「つるぎ号のグランクラス」はこの世に存在しないのです。
新幹線は在来線特急と比べ、列車1編成あたりの輸送力がとても大きいのが特徴です。しかしつるぎ号には、12両分の輸送力は過剰であると判断されているものと思われます。このため、普通車の乗客は全て1~7号車のみに固め、車内の巡回等の際にかかる時間や手間を最小限にしているということです。
では「乗車できない号車に関しては物理的に入れないようにすればいい」と思うかもしれません。しかし一部の号車でのみドアカットを行うこと、乗車口にロープをかけること、ホームドアを開けないようにすること、などいずれも煩雑であると言わざるを得ません。つるぎ号は全区間乗車してもわずか20分程度であり、そうした手間のかかる作業は見合わないということなのでしょう。その代わりに「指定席」と表示することで、自由席利用者が誤って乗り込むことのないようになっているのです。
なお、車内のアナウンスにて「8~10・12号車は見学等を含め立ち入りはできません」との案内もありました。11号車のグリーン車だけが他の乗客のいる号車からかなり離れている何とも不思議な編成ですが、これほどの短区間でありながらグリーン車に乗車する乗客がいるのかというのも疑問ではあります。
10:03に列車は新高岡駅へと到着。高岡駅とは異なる位置に設置された新駅ですが、それほど大きくは離れておらず降車客もそれなりにいた印象です。
ということで、今回は「乗車できない指定席車両が連結された」新幹線つるぎ号についてご紹介しました。みなさんもつるぎ号にご乗車の際はご注意ください。
なお、一部のつるぎ号では9・10・12号車のみを締切扱いとし、8号車については乗車可能な指定席車両として運用している場合もあります。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。