わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

上野も水戸も通らない! 前代未聞の特急「ひたち92号」に乗ってみた!

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は上野にも水戸にも行けない不思議な特急ひたち号ついてご紹介します。

 

2021年10月9日(土)

さて、今回は宮城県仙台駅にやってきました。これから不思議な特急に乗車するべく、ホームへと向かいます。

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仙台にも最新型の発車案内モニターが!

この日の朝の仙台市内は雨が降っていたため、地下鉄との乗り換えに便利な仙台駅地下の改札口を初めて利用しました。改札口の横には各方面の発車時刻を示す大型のモニターがありますが、中央上段の「常磐線上り」を見てみると…何やら見慣れない表示がありますね?

そう、今回は仙台8:36発の特急〔ひたち92号〕勝田行に乗車していきます。

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いつもは1日3本

常磐線の特急としておなじみ「ひたち号」ですが、基本となる運行区間は品川・上野~いわき駅間となっており、いわき以北へ乗り入れる通称”仙台ひたち”は1日3往復のみとなっています。仙台発の上り「ひたち号」は10:13発、16:11発、18:02発となっており、しかも3本ともが品川駅まで乗り入れるため、仙台~いわき駅間や仙台~勝田駅間などというような「東京都心へ乗り入れを行わないひたち」というのは通常1本も存在しません。いわき発着を含めた全てのひたち号が品川駅または上野駅を始発・終着として運行されています

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朝早い時間は特急の空白地帯

しかし先ほども述べた通り、この「ひたち92号」は勝田どまり。すなわち品川・上野へ行かないどころか、茨城県の県庁所在地である水戸にすら行かず、その一つ手前で終点となってしまうのです。

実はこの列車、茨城県ひたちなか市にある「国営ひたち海浜公園」でちょうどコキアが見頃を迎えているのに合わせ、仙台・いわき方面からひたち海浜公園に観光客を輸送する目的で運行されている臨時特急なのです。ひたち海浜公園へのJRの最寄り駅は勝田駅となっているため、今回は仙台~勝田駅間での運行ということになっています。

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いつものE657系

車両に関しては、他の定期ひたち号と同様にE657系10両編成が運用に入ります。2020年3月の常磐線全線復旧以降、この車両が仙台駅にいるのもすっかり日常の風景とはなりましたが、しかしこんな朝早くから停車しているのは珍しいことかもしれません。

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行先表示器もしっかり表示

車両の側面を見てみると、臨時列車にも関わらず号数と行先までしっかり表示されています。通常「92号」という号数のひたち号はもちろん存在せず、また勝田行のひたちも存在しないため、今回のために用意したものと思われます。臨時列車ながら定期列車と同様にしっかり表示されるのには驚きました。

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たくさんのお見送りが

発車間際には、ホーム上で横断幕を掲げた駅員さんらによるお見送りもありました。車両自体は観光列車っぽくはないですが、このようなお見送りがあるとちょっと特別な列車に乗っていると実感するものです。

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ガラガラの状態で発車

8:36、列車は定刻通りに仙台を発車。車内へ入るとお客さんは全然おらず、座席上方のランプもほぼ赤(=空席)となっています。定期列車と同様に今回この列車も「全車指定席」として運行されており、また特急料金についても定期列車と同額です。

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車内の表示も対応

車内に設置されたディスプレイにもしっかり「ひたち92号 勝田行」との表示が。車外の行先表示器もそうでしたが、臨時列車でありながら対応できるのはかなり凄いことのような気がします。

途中の岩沼まで、列車は東北本線の線路を走ります。ひたち92号よりも5分先行して仙台を出発した仙台空港行の列車があるため、空港方面に線路が分岐する途中の名取までは前の列車に追いつかないようにかなりゆっくりと徐行して走っているようでした。名取を通過した後は少しばかり速度が上がります。

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えきねっとでお得に乗車

今回はえきねっとで「お先にトクだ値30」を利用し、乗車券+特急券を事前に3割引で購入しておきました。仙台~勝田駅間では乗車券+特急券で通常7,060円かかるところ、これなら4,930円で約2,000円も割引になります。

また、実はこの列車には「赤色ふわもこコキア号」という愛称がついています。ただ基本的にはホーム上や列車内での案内には「ひたち92号」の方を多用しているようで、車内で車掌さんがご丁寧に何度か言うくらいでしか耳にする機会はありませんでした。上の画像を見ていただければ分かる通り、特急券の券面にも印字されることはありませんでした。

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岩沼に停車

8:54、列車はまず最初の停車駅となる岩沼に到着。ここ岩沼は定期のひたち号が1日1往復しか停車せず、上下どちらも夜間の停車のため、こんな午前の明るい時間に特急が停車する光景はなかなか珍しいはずです。

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亘理にも停車

岩沼から先はいよいよ常磐線へと入り、すぐに次の停車駅である亘理に到着。駅に隣接してお城のような立派な博物館があるこの駅ですが、岩沼と同様に特急の停車は1日1往復のみ。仙台市内からずっと雨も降り続いており、先が思いやられます。

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新地で運転停車

亘理の次の停車駅は相馬…のはずですが、その手前の新地で4分ほど運転停車。対向の下り普通列車との行き違いを行いました。

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相馬に到着

9:29に相馬へと到着。定期列車と大差ない所要時間でここまでやってきました。

列車はすっかり福島県へと入り、これから浜通りを南下していきます。

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かつては原ノ町始発も

9:44に原ノ町へと到着。ここは普通列車の運行系統が変わる主要駅で、仙台からここまでは東北地方の車両が使われていましたが、これより先は首都圏で活躍するE531系が走る区間となります。

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浪江を通過!

原ノ町を出ると通常のひたち号は浪江、双葉、大野…とこまめに停車しますが、何と今回のひたち92号、原ノ町を出ると次は富岡まで全くドアが開きません。浪江・双葉・大野の3駅は特急を含めた全ての定期旅客列車が必ず客扱いの停車を行う駅ですが、ひたち92号は3駅に目もくれず通過していきます。これは普段なかなかできない貴重な体験です。

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まさかの夜ノ森停車

そしてなかなか面白かったのは、この地域では珍しく普段特急が通過する夜ノ森運転停車をしていた点です。ドアは開きませんが、窓越しに夜ノ森駅のホームを確認することができました。下り列車との行き違いということです。

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ホームに入りきらない

列車はその後末続にも運転停車します。ここではちょうど前方3両分ほどがホームからはみ出していたようで、私の乗車する4号車付近がほぼホームの先端部分となっていました。

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凝り過ぎたLED

10:55にようやくいわきへと到着。ここまでで仙台を出てから2時間以上が経過しています。ここいわきにて、乗務員の交代が行われました。

ホーム上の発車標を見てみると、かなり凝ったデザインのLED表示が目を惹きます。いわきからはそれなりの数の乗車があるか…と思いきや、実際はほとんどなく、もとより仙台を出発した時点から4号車の車内は少ししか増えていないように見えました。しかもそのうちの何割かは私を含め鉄道ファンであることを考えると、純粋にひたち海浜公園への観光アクセス目的で利用している人はほんの一握りに見えます。

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湯本、泉に停車

10:57にいわきを出発すると、その先は湯本と泉に停車。そして泉の次は何と終点の勝田までノンストップで走り抜けます。途中には勿来、磯原、高萩、常陸多賀など一部の特急であれば停車する駅が数多くあるほか、普段全列車が必ず停車する日立さえもこの列車は通過してしまいます

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颯爽と日立を通過

お客さんをのせた特急が日立駅を通過する――。こんな光景は日立市民の方でもまず目にしたことのない光景ではないでしょうか。運転停車さえもすることなく、物凄いスピードで颯爽と通過していきました。

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盛大なお出迎え

そして11:54に終点の勝田へと到着。仙台から所要時間3時間18分ということで、定期列車でも3時間以上かかる距離であることを考えると、臨時列車でありながら定期列車とほぼ同程度のスピードで駆け抜けていったことが分かります。

勝田駅のホーム上では、駅員さんらによる盛大なお出迎えのほか、改札口付近ではひたち92号の乗客に向け特産品のほしいもを使ったお菓子の配布が行われていました。

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ひたちなか海浜鉄道改札内乗り換え

この先、多くの乗客はひたち海浜公園へ向けてさらにひたちなか海浜鉄道または茨城交通の路線バスへと乗り換えます。

ひたちなか海浜鉄道では偶然にもうまく特急と接続するかのごとく勝田12:04発の阿字ヶ浦行があり、終点まで乗車してその先臨時無料シャトルバスへ乗り換えれば12:45頃には海浜公園(海浜口)へと到着できます。

茨城交通の路線バスは勝田駅前と海浜公園西口・南口を結び、12:00発の便に乗車できれば15~20分程度でひたち海浜公園へ到着可能。多くのお客さんがこちらを利用されているようでした。

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上野方面への接続は絶望的

一方でこれは余談ですが、勝田といえば都心方面への特急「ときわ」の始発駅としても有名です。というわけで、ちょうど勝田から始発のときわ号に乗り継げられたら面白いのですが、残念ながらひたち92号が到着するわずか7分前の11:47に発車済み。さらに普通列車も11:49に発車してしまっているので、上野方面への特急は12:21のひたち号まで待たないといけません。また一駅隣の水戸までも12:11発まで列車がなく、これは待ちぼうけを喰らってしまいます。もっとも所詮は20~30分程度ですし、上野方面への接続を考慮する必要はない列車なので仕方ありませんが。

 

というわけで、今回はいろいろと特殊すぎる臨時「ひたち92号」をご紹介しました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。