わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

寝台列車気分で瀬戸内海横断!「名門大洋フェリー」で12時間かけ北九州→大阪へ

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は大阪と北九州を結ぶ「名門大洋フェリー」についてご紹介します。

 

2021年3月28日(日)

さて、今回は九州の玄関口に位置するターミナル駅小倉」へとやってまいりました。

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個性的な形の小倉駅

これから瀬戸内海を一晩かけて航行する「名門大洋フェリー」に乗船して大阪へと向かっていきます。その乗船港である「新門司港」はこの小倉駅からやや離れているため、まずはそこまで無料送迎バスを利用していきます。

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わかりやすい看板

小倉駅には新幹線口(北口)と小倉城(南口)があり、駅前がより栄えているのは南口ですが、今回乗車する無料送迎バスは北口から発車します。駅構内の自由通路を通り抜けて北口に出ると、「新門司行フェリー送迎バス」と書かれた看板がありとってもわかりやすいです。

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駐車場(?)に停車中

階段を降りて駐車場のようなスペースに出ると、ちょうどバスが停車していました。路線バスのような見た目をしていますが、座席下には大きな荷物を収納できるスペースもあり、スーツケース等がある場合はここに荷物を預けることができます。また車体の側面にもしっかりと「名門大洋フェリー」の文字が出ています。

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行先を確認

もちろん無料送迎バスなので運賃を払う必要はありません。また乗車時にフェリーの予約画面等を見せる必要もありません。他のバスと乗り間違えないようにしましょう。

発車時刻は18:40とHPに案内されていましたが、それより早く18:36頃に小倉駅新幹線口を出発。時間に余裕をもって乗り込んでいたので乗り遅れることはありませんでしたが、早発したのには驚きました。どうやら2台体制での運行のようで、もし発車時刻ギリギリにバス乗り場にやってきてももう1台の方に乗ればいいということなのかと思います。

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わりあい快適な車内

バスの車内は乗車率半分程度でしょうか。コロナ禍ではありますが、思ったよりも賑わっていて驚きました。小倉駅から新門司港までの距離は約13kmと結構離れており、徒歩での移動は現実的ではありません。

バスの側面には、途中の門司駅からもお客さんをのせるという表示になっていましたが、実際には門司駅には寄らず新門司港へ直行する形となりました。駅前をかすめることすらしなかったので、もしかすると予約時点で門司駅からの乗客が一人もいなかったのか、もしくは後発のバスで拾う想定かもしれません。送迎バスは無料ですが、フェリーの予約時にこのバスを利用するか否かとその乗車地点について入力するので、会社側は乗客の人数を把握できるようになっています。

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フェリーターミナルに到着!

辺りはすっかり暗くなり、30分ほどバスに乗車して大きな山を越えれば「門司港フェリーターミナル」に到着です。バスはターミナルの目の前に到着するので、雨でも濡れることはありません。

バスの背後に停泊しているのが、まさにこれから今乗船するフェリーです! 胸の高鳴りを感じながら、まずは乗船手続きをしていきます。

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対策もしっかり

列に並ぶ前に、コロナ対策として検温を済ませます。正常な体温であることが確認されると、このような紙切れを渡されるのでこれをもって列に並びます。

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今回は2便に乗船

名門大洋フェリーは、大阪南港~新門司港間を毎日2往復運航しています。今回乗船する門司港19:50発の大阪南港行2便の航行時間は約12時間40分。1便と比べてもかなり利用しやすい時間に設定されている印象です。

列に並び、乗船券を発券してもらいます。今回私は事前に公式HPから予約し、クレジットで事前決済を完了させていたので、予約番号を伝え受付にて乗船券を発券してもらうのみでとってもスムーズでした。

乗船券発券後はエスカレーターで乗船口へと上がり、ボーディングブリッジを渡っていよいよ船内へと入ります!

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吹き抜けの開放的な空間

まず目に入ってくるのは、白を基調とした開放的なエントランス。旅客スペースは6~8階となっているようで、6階部分から乗り込むとまず大きな階段が目の前に現れます。

船内各所は後で探検するとして、まずは自分が一晩過ごすベッドへと向かいます。 

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2等寝台「ツーリスト」

フェリーといえば様々なタイプの部屋があることが大きな魅力の一つですが、今回予約したのは2等洋室「ツーリスト」です。カプセルホテルのように各スペースがカーテンで仕切られており、個室ではないもののプライベートをしっかり保てるようになっています。ベッドは2段式になっていますが、入口が互い違いになっているので上のベッドの人と鉢合わせることなく出入りができます。

各ベッドの枕元にはコンセントが完備されているほか、寝具一式、スリッパ、ハンガーが用意されています。また枕元のスイッチでベッドごとに明かりをつけることができます。

この「ツーリスト」は2番目に安い設備で、最も安い設備では「エコノミー」がありますが、そちらはプライベートがあまり保たれない雑魚寝スペースなので、12時間以上の航行ではちょっとしんどいかもしれません(エコノミーにも寝具一式は用意されているようです)。

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移動宿泊込みと考えると安い

お値段はWeb割引(2割引)適用で6,240円。Web割引の割引率については条件により異なるようです。学割でも同じく2割引となりますが、割引の併用はできないということで、今回は公式HPからの予約で自動的にWeb割引が適用されました。乗船したのが3月末でしたが、4月に入り運賃が改定されているようですので、最新の情報にご注意ください

冷静に考えて、この値段で福岡から大阪に移動できて、宿代も浮くと考えると、かなりコスパとしては良い方なのではないでしょうか。新幹線や飛行機であれば12時間もかけずに移動できますが、新幹線なら1万円以上かかる上、ホテル代も別途かかります。飛行機はLCCであれば条件次第で6,000円よりも安くなるかもしれませんが、やはりホテル代が別途かかるので結果的にはフェリーより高くなります。寝ている間に安く、効率的に移動できるのが夜行フェリーの大きな魅力といえます。

また、このような寝台設備を備えた夜行フェリーはホテル扱いとなるため、もしGoToトラベルキャンペーンの期間であればここからさらに35%OFFとなった上に、地域共通クーポンが1枚付与されていたと思われますが、残念ながらその恩恵に預かることはできませんでした。またGoToトラベルが復活したらお得にフェリーの旅もしてみたいものです。

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16人の大部屋

ツーリストの部屋は10~30人程度で一つの大きな部屋となっていて、まさに寝台列車やカプセルホテルかと思うような造りになっています。パッと見た感じでは、満員ではないものの半数程度のベッドが埋まっているようでした。

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フロント&売店

それでは少し、船内を探検してみます。6階エントランス付近には、フロントと売店があります。営業時間内であればここの売店でお土産物等を購入することができます。等級の高い個室を利用する際はこのフロントで鍵を受け取るようですが、私のようなツーリストの客はその必要はないので、特にフロントを利用する機会はありませんでした。

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懐かしのコーナー?

また船内には、冷凍食品やソフトドリンク・アルコール類等の自動販売機コーナーがあるので、多少割高とはいえ飲食物には困りません。片隅にはゲームコーナーもありますが、人気(ひとけ)はありませんでした(笑)。

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展望デッキ

また、船上には展望デッキも備わっており、ずっと室内に籠るばかりでなくここで気分転換をすることもできます。展望デッキは7階と8階にそれぞれ出入口があり、運動会でもできそうなくらいめちゃくちゃ広いです!

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いよいよ出港!

そしていよいよ19:50になり、船は大きな汽笛を鳴らして定刻通り新門司港から出港です! ゆっくりと陸地が遠ざかっていきます。駐車場ではたくさんの人が手を振ってくださり、別に運航最終日でもないのに何だか感動してしまいました。

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展望レストラン

それでは予定通り出港したところで、夕食の時間とします。船内には何と展望レストランまで完備されており、今回はここで夕食&朝食をとることにします。どちらもバイキング形式となっており、事前の予約は不要で、まず入口の受付でお金を払います。夕食1,600円、朝食750円で、セット券だと2,150円ということで少しお得になるので私はセット券を買いました。海の上でバイキングがこの値段で楽しめるのなら、決して高くはないような気がします。

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メニューが豊富過ぎる!!

そして夕食バイキングはこちら。いやもう本当に海の上とは思えないくらい豊富なメニューで、かなり迷いました(笑)。特に鰹のたたきがあるのはかなり驚きました。もちろん白いご飯もありますが、炭水化物系のおかずをたくさんとったのでこれで十分お腹いっぱいになりました。どれも本当に美味しかったです!

レストランの営業時間は19:00~21:30となっています。私が入店したのは20:30頃で、密になるのを避けるため混雑する時間帯は避けました。出港前の時間から入店できますので、小さなお子さんがいる家族連れの方などは早い時間に食事されているのだろうと思います。

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大浴場!

さて、お腹も満たされたところで続いては大浴場へと向かいます! 中は物凄く広いというわけではないですが、船の上で大きなお風呂に浸かれるというのは何とも貴重な体験です。航行中なので多少の揺れはありますが、そこまで気になりませんでした。タオルは各自で用意する必要があるため、注意が必要です。

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本当に人が多い

入浴後は船内のフリースペースでゆっくりと過ごします。エントランス付近にはソファーがありますし、奥へ進むとカウンター席もあるため、事前に用意したご飯をここで食べるのもアリですね。

22時を過ぎると寝台スペースは消灯されますが、共用スペースについては明かりが灯ったままで、引き続き多くの人で賑わっています。私のような一人客というのはほとんどおらず、家族連れや高校生の集団での利用が多いように見えました。高校生の集団は部活動の遠征か何かのようですが、確かに夜行バスで九州から関西へ移動するのではとんでもなく疲れますから、そういう時に夜行フェリーというのはなかなか賢い選択ですよね。

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現在地を随時確認

船内のモニターでは、船の現在地をいつでも確認することができます。出港からまもなく4時間が経過しようというところで、船は松山市付近を航行中のようです。

船の唯一の欠点を挙げるなら、海上のため電波が入りにくく、基本的には圏外になるということくらいかと思います。名門大洋フェリーに関しては島が無数に散らばる瀬戸内海の中を航行しますので時々電波が入るのですが、それでも全体的には弱い状態が続きます。フリーWi-Fiもありますが、これはそもそも電波が繋がる前提ですから、もし通信機器を利用した作業がある場合は出港前に済ませておくのが無難でしょう。航行中はインターネット検索くらいは辛うじてできますが、YouTubeは永遠にクルクル状態のままでした。

そろそろ夜も更けてきたので、眠ることにしましょう…。

ベッドは一人分としては申し分ない広さです。夜行列車や夜行バスと比べ、窮屈に感じることもなく、揺れも圧倒的に少ないので、気づけば夢の中でした…。

 

2021年3月29日(月)

朝6時半過ぎ、「船はまもなく明石海峡大橋の下をくぐります」との船内放送で目が覚めました。6時間以上一度も目を覚ますことなく、ぐっすりと寝ていたようです。

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明石海峡大橋!!

大慌てで再び展望デッキに上がると、ちょうど目の前には明石海峡大橋が迫っていました!! 今まで列車内からは何度か見たことがありますが、船の上から眺めるのは新鮮です。朝焼けに照らされながらゆっくりと橋の下をくぐります。過去に別のフェリーで明石海峡大橋の下をくぐったこともありますが、その時は深夜帯の通過だったので見れていないんですよね。

大阪南港到着まではあと1時間以上ありますが、既に船内では多くの人が活動を始めていました。とりあえず朝食券をもって、再びレストランへと向かいます。

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朝食もメニュー豊富

朝食バイキングもやはり豊富で、朝からお腹いっぱいになれます。朝のレストランの営業時間は8:10までということで、入港ギリギリまで食べていられるわけではないので注意が必要です。

食後は部屋に戻り、身支度を整えます。8時を過ぎると既にエントランス付近には少しでも早く下船しようとするお客さんが詰めかけており、かなり驚きました。

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大阪南港に到着!

そして8:30、船は定刻通り大阪南港に到着です!

昨晩の新門司港と同様にボーディングブリッジのようなものが繋がれ、到着次第すぐに徒歩客は下船可能となるようです。隣には愛媛からのフェリーも停泊していて、いかにも”フェリーターミナル”の名にふさわしい光景が広がります。

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自動車も次々に出てくる

長いボーディングブリッジを歩き下船します。船の方に目をやると、船体から次々に自動車やバスが出てくる光景も眺めることができます。

下船後は特に何か特別な手続きやゲート等はなく、そのまま公共交通機関に乗り継ぐことができます。大阪南港の場合は本当に大きなフェリーターミナルなので、船を降りてからかなり長い距離を歩くことにはなりますが、ニュートラムの「フェリーターミナル駅」まで雨に濡れることなく向かうことができます。

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ニュートラムフェリーターミナル駅

ニュートラムというのはいわゆる新交通システムのようで、コスモスクエア住之江公園駅間を結びます。地下鉄ではないのですがOsakaMetroが運行しているようで、言うなれば東京都交通局が「日暮里・舎人ライナー」を運行する状態に近いのだと思います。コスモスクエア駅からはOsakaMetro中央線で弁天町・本町・森ノ宮方面に進み近鉄けいはんな線直通で生駒・学研奈良登美ヶ丘方面へも向かうことができ、また住之江公園駅からはOsakaMetro四つ橋線でなんば方面へ出ることができます。大阪南港は新門司港と異なり、市街地にありますのでかなり便利な立地といえそうです。

 

というわけで今回は「名門大洋フェリー」についてご紹介してきました。

フェリーの旅というと首都圏民にはなかなか馴染みが薄い印象ですが、関西~九州間は今でも多数の航路があり、往年のブルートレインに乗車することができなかった世代でも気軽に夜行の旅を楽しむことができます。

一度乗ればハマること間違いなしですので、是非利用してみてください!

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。