わたかわ 鉄道&旅行ブログ

乗り鉄&旅好きの20代男子が全国を巡る!

留萌本線で途中下車の旅! 朝ドラ『すずらん』の恵比島駅ってどんな場所?【2019夏の北海道8】

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みなさんこんにちは! わたかわです。

今回は、2019年9月の北海道旅行記第8弾です!

4泊5日の3日目ということで、前回は札幌から札沼線を利用して新十津川へ、そこからバスで滝川駅へと出てきました。

今回は、こちらも存続の危機が危ぶまれる「留萌本線」を巡っていきます。

 

2019年9月10日(火)②

滝川からは、少しだけ特急に乗車して、留萌本線の起点駅である深川へと向かいます。

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特急ばっかり

滝川駅の発車標を見ると、特急だらけ。この滝川駅は札幌と旭川を結ぶ途中にあり、特急〔カムイ〕〔ライラックが30分~1時間に1本という高頻度で発着します。また本数は少ないですが宗谷本線方面の特急〔宗谷〕や、石北本線方面の特急〔オホーツク〕もやってきます。その一方で普通列車は極めて少なく、特にこの滝川から旭川方面へは日中最大4時間も間隔が開くことがあり、これが北海道を普通列車だけでは旅しづらい理由でもあったりします。

北海道フリーパスなら、特急の自由席は制限なく乗り放題なので、深川までは短い距離ですが躊躇なく特急に乗っていきたいと思います。

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「いい日 旅立ち」の広告が今でも残る滝川駅ホーム

乗車前にホーム上でちょっと貴重なものを発見。

国鉄時代の「いい日 旅立ち」キャンペーンの広告です。

私も生まれる遥か前のことなのでどういったキャッチコピーなのか詳しくは知りませんが、この言葉を聞くと国鉄時代のものなんだなぁということを感じます。「空かんはくず入れに!」ですからね。ペットボトルよりも缶が主流だった時代ということでしょう。くず入れなんて今や首都圏では踊り子の185系の車内くらいでしか見なくなりました。

さぁ、それでは滝川10:22発の特急〔カムイ9号〕旭川に乗車し、次の停車駅である深川を目指します。

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滝川10:22発 特急〔カムイ9号〕旭川

札幌~旭川駅間を結ぶ都市間特急は〔カムイ〕と〔ライラック〕の2種類がありますが、どちらも価格や所要時間・停車駅に違いはありません。では何が違うかというと、編成両数が違うんです。〔カムイ〕は銀色の789系1000番台5両編成、〔ライラック〕は緑色の789系0番台6両編成で、〔ライラック〕の車両は元々青函特急〔スーパー白鳥〕で使用されていたものです。〔ライラック〕は半室だけグリーン車があります。

また〔ライラック〕の一部列車は旭川駅で宗谷本線や石北本線内の特急に接続します。これはまぁそうなるようにダイヤを組んでいるというだけの話ですが。

〔カムイ〕と〔ライラック〕の2種類体制となったのは2017年春のダイヤ改正で、この時は道央・道北エリアを中心に特急の運行体系が大幅に見直されました。それまで札幌~旭川駅間を結ぶ特急は〔スーパーカムイ〕のみ(宗谷・石北直通を除く)で、その多くは札幌駅でそのまま快速〔エアポート〕の運用に入り、新千歳空港まで運行していたため、旭川方面から新千歳空港まで1本で行くことができました。

しかし現在では「スーパー」の名が外され〔カムイ〕のみとなり、この2017年春でそれまで札幌~稚内・網走駅間で直通運行をしていた長距離特急もその半数以上が旭川駅で系統分割を強いられることになり、北海道新幹線の開業で不要となっていた元〔スーパー白鳥〕用の車両をこの〔ライラック〕に充当することになりました。「ライラック」という列車名は10年ぶりの復活でした。

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北海道では数少ない電車特急なのでとても走行音が静か

歴史物語はこのくらいにして、特急〔カムイ9号〕の車内もご紹介します。

指定席にはコンセントがありますが、自由席にはありません。また〔カムイ〕なのでグリーン車はありません。

平日の昼間ということで、車内はガラガラ。日中でも1時間間隔で走っているので、本数の面ではかなり便利な特急といえると思います。

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「スーパー」はつけなくなったけど快適だよ

車内の電光掲示板には「次は 深川 深川まであと10km」と表示されました。次の駅までの距離を伝える特急というのはなかなか新鮮です。

そうして、滝川からわずか13分で深川に到着。

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よく見ると北海道新幹線に帯の色を寄せてる?

あっという間でしたが快適でした。

留萌本線の発車時刻まで少し余裕があるので、深川駅の外に出てみることにします。

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昔からある駅舎って感じがする

昔ながらの北海道の駅舎っていう感じがします。函館・旭川稚内等、近未来的で洗練されたデザインももちろん素敵ですが、こういう深川駅の駅舎の方が、いかにも北海道に来ているなという実感が湧くものです。

深川駅には売店があったので、ここで先に昼食のお弁当を買っておき、再び改札の中へと戻ります。

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これだけ見ると高頻度運転…?

さてここからは、いよいよ本題の「留萌本線」へと差し掛かっていきます。

留萌本線は、函館本線の深川から分岐し日本海側の留萌までを結ぶ盲腸線です。今となっては完全に函館本線に付随する「支線」の位置づけですが、かつてはこの留萌本線から各方面に枝分かれしていく路線がありました。

また、2016年12月に留萌本線の留萌~増毛駅間が廃止されたことも鉄道ファンであれば記憶に新しいかと思います。この末端区間が特に大幅な赤字区間となっていたことは言うまでもありませんが、今では残った深川~留萌駅間も存続の危機に瀕しています。

今回の旅では、現存する留萌本線区間で途中下車をしつつ、廃線となった旧増毛駅跡地へも向かっていきたいと思います。

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深川11:10発 留萌本線 留萌行

深川駅のホームの片隅から発車するのは、11:10発の留萌行。キハ54形2両編成ですが、乗車できるのは前寄りの1両のみのようです。

定刻通り深川駅を発車。車内は集団見合い式で、意外にも乗車率が高かったのが見てとれました。発車間際に乗り込んでも座れなかったと思います。

列車は北一已、秩父別方面へと進んでいきます。気動車独特の乗り心地ととい沿線の風景といい、とても「本線」には見えません。深川~留萌駅間は50.1kmなんですが、どうやら全国のJRで最も短い「本線」だそうです。

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恵比島駅で下車

深川を出てから23分、「恵比島駅」で下車します。日射しの照り付ける恵比島駅ホームに降り立ったのは、私一人だけでした。

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山の向こうに消えていく…

単線の線路をトコトコ走っていく気動車は、いかにも北海道らしい光景ですね。

さて、この恵比島駅で降りたのには、もちろん理由があります。

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左が「明日萌駅舎」、右が「恵比島駅舎」

それは、この恵比島駅が、1999年に放送されたNHK連続テレビ小説すずらん』のロケ地として使用されていたためです。

一見メインの駅舎に見える写真左側の建物は、「明日萌駅」として作中に登場したロケセットで、それとは別に恵比島駅の駅舎が右側にあります。こちらは北海道にありがちな「客車を改造して駅舎にした」というパターンのようで、乗車口のところがちょうど駅への出入り口になっています。もちろん無人駅です。

ロケセットである「明日萌駅」の駅舎内には、夏の期間は普段なら入れるようなのですが、私が訪問した際はなぜか入れませんでした。

この2日前に訪れた根室本線の幾寅駅といいこの恵比島駅といい、今回の旅では私の生まれ年である1999年に公開された映像作品でロケ地として使用された駅を巡ってきました。どちらの作品も見たことはありませんが、何かご縁を感じずにはいられません。

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駅構内の随所に「明日萌」の文字が

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駅舎内の様子と、駅前の「中村旅館」のロケセット

それにしても、この恵比島駅周辺にはとにかく人がいません。というか、町がありません。人の住んでいそうな建物やお店が、駅前に全くありません。なぜこんな場所に駅ができたのか不思議ですし、歩いていても人が全くいないので怖いくらいです。

駅前を散策していると、謎の大きな鳥居を発見。Googleマップで見ると「恵比寿神社」とあるので、中へ進んでみることにしました。

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突如現れた謎の鳥居

進んでいくと、明らかに本殿への参道とは思えないような険しい山道。というかもはや道ですらなく、岩登りというほうが正しいとすら思えてきます。

そうしてやっとの思いでたどり着いた、本殿…のはずでしたが…

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あれ…本殿は…?

そこには、何もありませんでした。

あれ? おかしいぞ。広さ的にここに間違いなく本殿があるはず。Googleマップでもここに立派な本殿があるという写真がアップされている。しかし自分の目の前には本殿の形跡は跡形もなく、ただ長い丸太の組まれた謎の柱のようなものが数本立っているという不思議すぎる空間に…。これはちょっと怖かったです。仮にも昔ここにあった本殿が取り壊されたとかならわかりますが、こんなにも何の痕跡もなく消失してしまうものでしょうか。台風や大雪で崩れたとかならきっとその残骸は今もここに残っているはずですが、どなたかがきれいさっぱり片付けたのでしょうか。謎は深まるばかりで、白昼堂々ですが本当に怖かったです。

ちなみに現在Googleマップでは「恵比寿神社跡」という表記に差し替えられていますので、名実共にここは「神社跡」なわけですが…。

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景色は悪くない

神社は高台にあるので、ここから恵比島駅周辺の眺めは悪くありません。駅周辺は本当に何もないのがわかると思います。

そして、ここ恵比島駅でお昼ご飯を食べることにします。先ほど深川駅で買った「深川そばめし」(650円)です。

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深川そばめし(650円)

「そばめし」というのは、焼きそばの入ったご飯ではなく、そばがらを混ぜ込んだご飯で作った俵おむすびのこと。薄味でもしっかり美味しかったです。駅弁というよりは地元の方々が手作りしたお弁当という感じなので、ちょっと量が少ないかな…という気はしました。

恵比島駅駅ノートにしっかり私が来た証を刻み、12:51発の深川行に乗車していきます。

同一方向の列車を待っていると恵比島駅で2時間以上待たなければいけなくなってしまうので、先にやって来る反対方面の列車でいったん少し戻り、石狩沼田駅で下車します。

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駅舎と反対側のホームの線路が剥がされている

石狩沼田駅には、前回もご紹介した通り、かつて1972年まで札幌からの札沼線が乗り入れていました。現在では駅舎と反対側のホームには、駅名標こそ設置されているものの線路すら剥がされ、実質棒線駅となっています。最盛期はおそらく2面3線のような使い方をして、今よりもだいぶ栄えていたことでしょう。

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駅舎はかなり立派な石狩沼田駅

正直に言えばボロボロな駅舎ですが、しかし使えるものは使うというJR北海道のしぶとい精神は嫌いじゃありません。

ここは沼田町という町の中心駅でもあるので、恵比島駅とは異なり駅前にはそれなりに建物があり、町が形成されています。駅から少し離れたセイコーマートで「わがまちご当地入場券」を買い、駅に戻ってきて13:39発の留萌行に乗り込み、いよいよ終点の留萌へと向かっていきます。

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石狩沼田13:39発 留萌本線 留萌行

本日3度目のキハ54形ですので、おそらく午前中からずっと同じ1つの編成で深川と留萌の間をひたすら往復しているのではないかと思います。

こちらはガラガラの車内。冷房のない気動車で、窓から入ってくる風は本当に心地よいものです。

そうして石狩沼田から乗車すること約40分、14:23に終点の留萌駅に到着です!

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留萌駅も昔からの駅舎という感じがする

留萌駅もまた、リニューアルなどされていない、昔ながらの駅舎のようです。2016年12月より、増毛駅に代わってここが留萌本線の終点となりました。

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新しく置かれた車止め

広い留萌駅構内を見渡すと、線路の先には新しめの車止めが。その向こうにあった鉄橋を渡ってさらに先の線路を走ることはできなくなってしまいました。

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留萌駅にはフォトギャラリーも

留萌駅の駅舎内には、往年の留萌本線の写真や、「SLすずらん号」のヘッドマーク等、貴重な展示物がいくつもありました。

さて、ここから先の増毛駅に向かうには路線バスを利用しなければならないわけですが、その様子はまた次回ご紹介していきます。

 

今回はここまで。

お読みいただきありがとうございました!

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